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外資系コンサルはワーママ(ペアレンツ)にとって快適な環境なのか?

外資系コンサルティングファームについて、どういったイメージを持っていますか?
高給取りだけど激務?はたまた、日系企業と比べると多様で先進的な社風?

中で働く私が、仕事と育児をバランス良く楽しみたいタイプのワーママ(ペアレンツ)にとって外資系コンサルは快適な環境なのかを考えてみました。

数あるコンサルファームの中での限られた経験のみをもとにした意見ですので、こういう風に考える人も居るんだなあ〜程度にご覧いただけると幸いです。


私の経歴

  • 新卒で日系大手企業へ入社後、5年間勤務

  • 外資系コンサルティングファームへ転職/総合系/大規模/非IT職、4年間勤務

  • 別の外資系コンサルティングファームへ再度転職/総合系/小規模/非IT職へ転職し、現在2年目(管理職)

総合系やら戦略系とはなんぞや?という方は下記のカオスマップをご覧いただけると分かりやすいかなと思います。

「フリーランスの歩き方」Webサイトより

なお、役職についてはファームごとに微妙に名前が違いますがざっくりこんな感じです。私は現在、マネージャーです。
【非管理職】
コンサルタント、アソシエイト:プロジェクトにメンバーとして参画する。
【管理職】
マネージャー:プロジェクトのリーダーとして参画する。
シニアマネージャー、パートナー:プロジェクトの全体管理(予算、人員調整)や営業をする。

コンサルの仕事の特徴を簡単に説明

コンサルタントってよく聞くけどどんな仕事をしてるの?という方向けに、特徴的なところをまとめてみました。

【仕事の仕方:プロジェクトベース】
色んなクライアントに対していくつもプロジェクトが走っており、コンサルタントは数ヶ月単位でそのプロジェクトにアサインされてお仕事をします。
イメージとしてはプロジェクトが終わるたびに毎度社内にある求人サイトで新しいお仕事を選ぶような感じです。私の場合だと3〜6ヶ月毎にプロジェクトが変わることが多いです。

【仕事内容:非ルーチンワーク】
プロジェクトはひとつとして同じものはありません。
その都度「何に向かって(ゴール)」と「どうやって進めるか(プロセス)」を考えて実行していきます。

結論:外資コンサルはワーママにとって快適な環境なのか?

本題です。外資系コンサルはワーママ(ペアレンツ)にとって快適な環境なのでしょうか?

結論から申し上げると、「非管理職で熱望分野が特に無ければ快適な環境」と言えるが、「管理職にとっては結構辛い環境」と思います。

要するに、ポジション(非管理職と管理職)で快適さに違いが出るということです。
それぞれのポジションについて、いくつかの切り口で考察してみます。

①ヒト:人事制度や一緒に働くメンバー

巷でよく聞く「外資系」のイメージとはあまりずれていないです。概してダイバーシティや女性活躍を推進している傾向にあると感じています。私は1社目が日系企業ですが、そちらと比較しても推進傾向は強いです。
それゆえに、ワーママ(ペアレンツ)にとってありがたい人事制度も沢山あります。
私の勤めた2社の例だと、時短勤務(1日の労働時間を縮めるだけでなく、週3,4日勤務といった形も選べました)、フレックスタイム制、有給休暇とは別の家族の看護休暇が数日分、ベビーシッターの割引などがありました。

自分のやるべき仕事をしているという前提ですが、非管理職の場合はこれらの制度は基本的に不自由なく使えると思います。

一方で管理職の場合は、使える制度は少し限定的です。
個人的に特に辛いのが時短勤務制度が使いづらいことです。
私の勤めた2社の外資コンサルでは、管理職以上は裁量労働制が適用されています。
つまり、お給料は「働いた時間×時給」ではなく「やるべき役割」に対して定められており、労働時間はそもそも管理されていないのです。
そうすると、はて?労働時間が管理されていないということは時短勤務とはどうやって取るの?となるわけです。
聞くところによると時短勤務ではないのですが「やるべき役割」の期待値を2、3割減にしてお給料も同率で割引く、という制度もあるようです。しかしながらそうすると下のポジションの人から「管理職の役割を果たしてないのに管理職と名乗るなんて!」みたいなお声も上がったりするので、こちらも中々取りづらい…
その結果、人事制度上は時短勤務は管理職含め全員が取れることになっているものの、実際に時短勤務を取っている管理職はかなりレアケースという状態になります。

また、外資系に関わらずですがコンサルは製造業のようにプロダクトを持ちません。商材はまさにコンサルタント=人材そのもの。それゆえ、管理職の仕事内容として「若手の育成・ケア」の比重が結構高めになります。
一昔前は「激務でキツいので8割の若手は3年以内に辞める」と言われていたコンサル業界ですが、昨今のハラスメントやメンタルヘルスケア対策の流れを受けて、かなり若手に優しい社風になってきています。
そうすると、例えば自分の部下が「すみません、働きすぎて、もうしんどいです…」なんて言ってきた日には、管理職は「ありがとう!分かった、後は私がなんとかするね(白目)」と部下の仕事を引き取らざるを得ないことも。こういうの台風くらい、いや大雨洪水注意報くらいの頻度では起こります。
そうした状況も、時短勤務を取りづらい理由のひとつではあるかと思います。

②モノ:お仕事内容

前段でご説明の通り、プロジェクトベースでの働き方になるため、自分の希望する働き方の条件にあったプロジェクトを選ぶことができます。
例えば、「出張不要」「フルリモート可」などのプロジェクトも結構あります。事業会社と比較すると、かなり柔軟な働き方が許されていると感じます。

また、このプロジェクトベースの働き方のもうひとつのメリットが、産休・育休に入りやすいことです。
プロジェクトの切りがいいところで勤務を終えれば引き継ぎ業務は無し。復帰後はその時期に始まる新しいプロジェクトにアサインされるだけなので、事業会社のように「私が産休入るまでにやっていた仕事が、後輩に取られている…!私の仕事が無い…!」というようなこともありません。

ファームの人事育成方針にも依りますが、非管理職の場合、割と自由に色んなプロジェクトに応募することが許されており希望すれば柔軟な働き方が可能になります。
しかし、熱望分野(こうい内容のプロジェクトをしたい!)がある場合、必ずしもその熱望分野のプロジェクトで柔軟な働き方が適用されている訳ではありません。
特に総合系の大規模ファームだとプロジェクトの種類は千差万別すぎて、熱望分野かつ柔軟な働き方ができるプロジェクトに出会える可能性は低いかもしれません。ちなみに私は少しでも熱望分野に当たる可能性を高めるため、2社目(大規模コンサル)から3社目(小規模コンサル)に転職しました。

管理職の場合は、プロジェクトを自由に選べないことが多いです。制度的にはできるが、実質的にはしづらいです。
売上目標を持つので、過去の自分の実績をベースに得意分野・繋がりの深いクライアントなど、ある程度自分のカラーを持つことが求められます。
それゆえに「柔軟な働き方ができるからこのプロジェクト選ぼうっと」みたいなチョイスができないことが多々あります。そう考えると、非管理職時代のプロジェクトチョイスは超重要です。ワーママになってからもうまくやり抜けるタイプの分野やクライアントを選んで実績を積んでおくことが大事です。
私の例だと、非管理職時代には長らく古き良き重厚長大系のクライアントを担当していました。当然管理職となったあともその路線のプロジェクトを任されます。
しかし、ワーママとなったあとは、クライアントのリモート不可といった制度や馴染むためには飲み会必須といった文化に対応できず苦しむことがありました。
※もちろん、全ての重厚長大系がそういった企業ではありません!

③カネ:お給料

良いです。十分にもらえます。
同年代の日系大手事業会社と比較すると、2〜3割増しくらいでもらえてるのかなと思います。
一方で、勤務時間が長くなってしまう場合は、時給換算すると高給取りと言えるのか…?と思うこともあります。
非管理職の場合は年俸+残業代が出るファームもありますが、管理職は特殊な休日勤務などを除き残業代は出ない場合が多いと思います。

まとめ

外資系コンサルは、働き方や制度としてはかなりワーママ(ペアレンツ)にとって快適な環境が整備されています。
しかし、管理職の場合は色んな事情でそれらが十分に活かしきれない状況に立たされることもあり、快適とは言えない時がしばしばあります。

もちろん、コンサルタントとしてのスキルや部下のマネジメント力がきっちりある人は、短い労働時間で成果を出し、家庭と仕事を両立しながら十分なお給料をもらえる素晴らしい職場です。

外資系コンサルへの就職や転職を検討しているワーママ(ペアレンツ)の方のご参考になれば嬉しいです。

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