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不動産投資におけるアセットタイプを理解しよう(その6:データセンター)

不動産投資に関する解説の第6回です。
 
投資対象となる不動産には様々なタイプがあります。
今回は産業用不動産(インダストリアルアセット)のうちデータセンターについてです。

なお、ここで説明する対象はプロ投資家や不動産が投資対象とする不動産です。実需で売買される戸建や分譲マンションではありません。
レジデンス、オフィスビル、商業施設、物流施設、事業用不動産などの区分で説明します。

6.データセンターの特徴


データセンターとは企業がサーバーなどを保管しておくためのスペースです。
基本的に1社に対して貸し出します。データセンターの中身(サーバーなど)は借主が用意します。 

産業用不動産(インダストリアルアセット)として、データセンターに投資するファンドも増えてきました。J-REITでは産業ファンド投資法人(3249)などが投資対象としています。
 
産業用不動産(インダストリアルアセット)としては、工場・研究開発施設等の研究開発、原材料調達・備蓄、保管、製造・生成、組立・加工、リサイクル等を行うための施設も投資対象とされています。
 
データセンターは都市部に建設する必要がないため、オフィスビルやレジデンスに比べると土地代が安くすむため、利回りが高いのが特徴です。この点は物流施設と同じです。
ただし、安定的な稼働が必要となるため、データセンターの建設費はそれなりに掛かります。
 
IT企業(例えば、アマゾンやマイクロソフト)はデータセンターの拡張投資を加速しています。データサーバーは技術革新が進む中で常に拡張が必要です。
IT企業でなくてもデータをバックアップするために、本社とは別の場所にデータセンターを有しているケースも多いでしょう。システム投資は企業にとって非常に重要です。
 
データが減ることはありませんからスペースの拡張は常に必要になります。しかし、スペースを確保しようとしても、自社で全てのデータセンターを建設することは(コスト面を含めて)難しいでしょう。
なので、データセンターを保有しているファンドから賃借したい企業があるのです。
 
データセンターは、スペースさえ確保できればどこにあっても問題ありません。その意味では物流施設よりも場所の制約がないと言えます。
ただし、災害(地震、停電)などへの対策が十分でないと借手が付きません。地盤がしっかりしている場所でなければ、地震でサーバーが安定稼働できないからです。
 
東京都の中目黒は地盤が固いのでデータセンターとして利用されてきました。みずほグループのデータセンターがあったりします。
ただ、中目黒は地価が高いのでこれからデータセンターとしての需要が増えるかというと……どうでしょう。分かりません。
 
データセンター投資のメリット・デメリットは以下のようになります。
 

データセンター投資のメリット
 
・テナント数が少ないため手間が掛からない
・所在地は全国どこでもよい
・投資金額が少ないため利回りが高い
 

データセンター投資のデメリット
 
・災害(地震、停電)などへの対策が十分でないと借手が付かない
・安定稼働させるために建設できる場所(地震が少ないなど)に制約がある
・借手を探すのに手間が掛かる

<その7に続く>

<前回記事はこちら>

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【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】


【図解 不動産ファイナンスのしくみ】

 

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