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読書記録 「海の見える理髪店」

ここ数週間ノンストップで駆け抜けてるような毎日が続いております。
そうすると、ものすごく充実してるんだけど感動したことや気づいたこと、留めておきたい記憶や記録が全然追いつかなくて
気がついたらアナログの日記も数週間書けていなかったのです。。。

なので、まずは読んだ本について振り返って記録に残すところから。

通勤が始まって電車での数十分の読書タイムを支えてくれた今回の本は、
荻原浩さんの「海の見える理髪店」

本作は家族にまつわる6つの短編集です。
ここでは、その中から特に好きな2つの話に触れていきたいと思います。

海の見える理髪店

表題にもなっている物語。主人公「僕」が評判を聞きつけてやってきたのは海辺の小さな町にある理髪店。店主のおじいちゃんがとつとつと身の上話を話し続ける、というストーリー。

私は荻原浩さんの小説は2冊目なのですが
本編を読んで何がすごいかって、店主のストーリーテリング力。
会話というより一方的にずっと話をし続けるんですが、それが全然聞いていて苦じゃないし自然に入ってくるんです。本当に自分が「僕」に変異して話を聞いている錯覚に陥りました。

タイトルからも想像する爽やか〜な話かと思いきや、途中から店主の波乱万丈なライフヒストリーが展開されるのですが、
年配の(しかも全然知らない)方の話ってなぜこんなにも重みがあってすーっと心に入ってくるんだろう...と思うくらい聞き入ってしまいます。

もちろん店主だって誰にでもこんな話をしているわけではないと言っていたけれど、こんな風に話ー友達でも家族でも先生でもない「誰か」の歩んできた人生の話ーをしてくれる人がいたらすごく凄く素敵だな。

そして、「美容院」ではなく「理髪店」。
この本を読んでからこの言葉が私の中で凄くカッコいい響きに変わりました。私は行ったことがないけれど、自分が男の人だったらなぁとちょっと羨ましい気持ちになったりしました。

いつか来た道

もう1つは、母親との折り合いが悪く家を出た娘と母との物語。
家を出て16年が経ち、実家に帰った娘が目にしたのは相変わらず強情な母だったけれど、物語後半で様子がおかしいことの真相が明らかになっていき...

この母娘のやりとりやそこに流れる冷たい空気感。読んでいてこっちまでぞっとしてしまうほどなのです。なのに、最後に母が見せた姿や仕草、表情に
思わず涙がこぼれました。

本を読んで泣くことなんてここしばらくなかったことだったので、自分でもちょっとびっくりしました。

あんなに頑固で、娘を否定し罵倒するようなことばかりで、決して弱みを見せてこなかった母親が、こんなにも愛おしい人だったなんて。

老いていくことって案外悪いことばかりじゃないのかもしれない。
歳を重ね、本当の姿や本音が溢れることだってある。

母娘は分かり合えたわけでも仲が良くなったわけでもないかもしれないけれど、娘は確実に母の思いを受け止め、過去と決別できた瞬間だったんじゃないかなと思いました。



どうにかこうにか、読了後の感想をここに留めることが出来ました。
ほっと一息ついています。

どうしたって毎日朝がやってきて、電車に乗っては本を開いて、
物語に耽って目的地についたら本を閉じて、頭を切り替えて今日の業務タスクを整理して...
おっとっとっと、全部が流れてしまわないようにしなくては!
というわけで、なんとか4時半に起きて書き始めることが出来ました。笑

だいぶ追いつくのに時間がかかりそうですが、随時書き留めてアップしていきたいと思います!

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