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明石市長泉房穂さんの実践。「子どものまちのつくり方」を読んで

泉市長の実践。読もうと思ったきっかけは、明石市では離婚後の養育費の支払いに関し、子どもに確実に支払われるよう独自の取組みをしている(払われない場合に市が立替え払いをして、その後市が支払い義務者に請求するという取組み)と知ったためでしたが、くしくも、最近感銘を受けた井手英策さんの持論と共通点が多く、この本の最後には対談も掲載されていて驚きました。
市の立替え払いの仕組みは、犯罪被害者の損害賠償請求権にも行っているそうです。300万円を上限に立替支援金として支給して加害者から求償するという制度です。

所得制限をかけると大多数の中間層の反発で理解を得られない、分断を生むから、所得制限はつけない。現金給付ではなく、意図した使い道に確実に使われる、現物給付。このあたりは、井手さんの考えに相当近いです。
珍しいところでは「本」を大変重視しており、駅前の一等地につくった施設に、図書館と大型書店を両方入れるなど。
企業誘致や産業振興をしたところで効果はたかが知れている、公共事業より人が集まることで生まれる需要による民間事業で潤うことはできる、と予算にプライオリティをつけて、子どもに、困っている人に、重点的に予算を配分して政策を行っていく。凝り固まっている予算配分を、福祉へ重点的に移行させる、変動が非常に困難だろうと想像するところですが、最初は何とか勢いつけて実施にもっていって、ついていくる結果で説得する。
報道レベルでしか知りませんが、泉市長はこういうように、結構直感的に「これが重要だ」というところをグイグイやっていく方法で、これまで成功している人だと思います。(とはいえ最初の5年間は相当しんどく、次第に成果がリアリティをもって受け取られはじめた、といいます)

「子どもに優しい街」からはじめ、今は「誰もがどこかで何かしらの恩恵を受けられる」というパッケージ化した施策に移行しているとのことです。井手さんの考えを、実際にこんなふうに実行に移すこともできるのだ、と希望を持てました。

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