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時間を超える絆、家族写真の物語。

自分が生み出したものが、誰かの幸せのほんの一部でも貢献していたら、満点を超えて120点と言っていいだろう。

ある友人の結婚式で、私が撮影した写真を使ってくれた。手前味噌だが2人の関係性をよく表した温かい空気感の良い写真だった。

たくさんの写真を使ってもらい、多くの参列者に見てもらい喜んでもらえたようだった。写真を撮っていて、これが一番幸せな瞬間だと感じた。

その後、私は、土日を中心にお金をいただいて家族写真を撮り始めた。以前はカメラマンの派遣サービスに登録をしていたが、今はフリーで活動している。

写真は「誰に撮ってもらった」かが重要だと思う。写真を見ながら「結婚前の春に出掛けてあの人に撮ってもらった写真だね」と撮影も1つの思い出にしてほしい。だから、自分を信頼して頼んでくれた方に全力で応えたい。そんな想いで活動をしている。

少し真面目に、これまでを振り返りながら、私にとっての「家族写真を撮ることとは」について、記したいと思う。


風景写真から始まった、写真の旅

写真を真剣に始めたきっかけ

私が真剣に写真を始めたのは2017年頃。当時、会社員と大学院生の二足の草鞋を履いていた。仕事は好きだったし、大学院で学んでいた経営学も仕事に活きるもので、平日は仕事、土日は大学院と多忙だが充実した日々を過ごしていた。

その一方で、心も身体もやや窮屈な時期だった。左脳ばかりを使っていたので、自由な発想で創作活動をしたかった。自分の内面を自由に表現し生み出せる媒体を考えた時に、昔から自分の身近にあった写真だった。

当時の会社の同僚に感化されたことも真剣に写真に向き合うきっかけの1つだった。彼は写真がすごく上手で、公私共に尊敬できる人だった。彼の写真を見る度に、「自分らしい写真を磨いて、表現をしたい」と思うようになった。

気付けばその彼は本職のフォトグラファーになっており、主に雑誌などで活躍の場を広げている。今でも進化し続ける彼の写真が大好きだ。

はじめは風景写真から

私は旅行が好きだったので風景の写真を中心に撮り始めた。まずは、都内の主要スポット。少しずつ写真に慣れてからは、四国に行ったり、明け方の高ボッチ高原や冬の長野の山奥に行ったりした。

出掛けるだけでも楽しかったのだが、そこに写真を撮るという目的が加わることで遠出をするモチベーションになった。

この時期は、ひとりで出掛けるだけでなく、大学時代の友人と出掛けることも多かった。友人たちは写真が好きと言うわけではなく、夜中に出発する弾丸な遠出を楽しんでいるタイプだった。友人と出掛けられて、写真も撮れて、なおかつ毎回温泉も入って、一石三鳥と言える恵まれた遠出だった。

東京・東京スカイツリー
長野県・高ボッチ高原
愛媛・綱掛岩
長野・松本城

風景との静かな対話

じっくり撮影するプロセスに没頭

風景写真を撮るのは好きだった。日の出や夕暮れといった良い時間を狙い、じっくり構図を決めながら撮影するプロセスが好きだった。

画角や場所をじっくり決めながら徐々に集中していく様は、温泉でじっくり“整う”感覚に近い。試行錯誤しながら、シャッターを切る。調整をして、シャッターを切る。このプロセスで段々と没頭していく感覚が心地よい。

撮影した写真は、デジタルカメラの特性を活かし、そのときの空気感を現像で表現した。撮って出しでは、どんなに丁寧に撮ってもカメラを通して見えるもの以上の表現にはならないので、その場の空気感や感動は自分の手で加える必要があった。

このようにして、私にとって自分らしい風景写真が完成していった。

風景写真の葛藤

それと同時に、風景写真を撮る難しさを感じていた。

一生懸命撮っても誰かの写真と似たり寄ったりになってしまう。撮影場所を探す際にリサーチした元写真と同じ構図になってしまう。自分の写真を撮っているのではなく魅力的な場所に撮らされている、そんな状態に陥っていた。

こうした問題から、次第に撮影を目的とした外出の機会が減っていった。

自分らしい写真を撮りたいと思っていたのに、結局は誰かの写真と同じになってしまうことが写真に対するモチベーションを大きく下げた。

四季を彩るふたり、家族写真の始まり

四季で夫婦の写真を撮る

そんななか、ある友人夫婦の写真を撮らせてもらう機会があった。

秋からはじまり、冬、春、夏まで四季の撮影をした。秋は代々木公園、深い黄色のイチョウと色づき始めたモミジの紅葉と共に。冬は自宅。冬晴れの日差しが差し込む部屋で。春は山梨の公園。桜の開花状況を見て咲いていた場所へ。夏は千葉の海岸。青が美しい海のそばで。

夫婦の協力もあって、季節を表現できる1番良い場所で撮影した。

2人の写真は、とにかく自然体な2人であることを意識して撮った。2人のキャラクターもあるが、カメラマンがいてもいつも通りの2人でいてくれて、“カメラマンの存在を感じさせない写真”を何枚も撮れた気がする。この時に、“自然体な2人の空気感を残す写真”は自分の目指すべき写真だと感じた。

結婚式で飾ってもらえた嬉しさ

こうして出来上がった写真は、結婚式でたくさん飾ってもらえた。本人、親族、友人などたくさんの人に見てもらい、喜んでもらえたようだった。

参列者の待合スペースは、入口から向かって両サイドに写真が飾れるつくりになっており、たくさんの写真が丁寧に並べて飾られていた。本人たちがプランナーの方と一緒に工夫して並べたんだろうな。そんなことを思うと、大好きな夫婦の結婚式を一緒につくれた気がして嬉しかった。

人の幸せに貢献することで自分まで幸せになれる、その気持ちをここまで感じたことは初めての経験だった。

カメラマンとしての活動

写真でつなぐ家族の絆

“夫婦の四季を残す”経験をして、カメラマンとして家族写真を撮ることを決めた。

それからはとある出張撮影サービスでの研修を受け、プロとして現場に出るようになった。様々な家族の節目や記念に撮影をさせていただくのはとても光栄なことだった。

周りの方々も素晴らしいカメラマンばかりで恵まれた環境だったが、平日は別の仕事をしているためなかなかシフトに入れないこともあり、出張撮影サービスへの登録は辞めてしまった。

そんなこんなで、現在はフリーで活動をしている。友人が中心だが、ありがたいことに友人の友人の方に紹介していただいて撮影をすることもある。

私の場合、撮影できるのが休日の限られた時間になってしまう。だから、自分に声を掛けてくれた人たちの期待には全力で応えたい。

もし、周りにそんな方がいれば是非お声掛けいただけたら泣いて喜びます。

家族写真のテーマ

家族写真を撮る上で「今しか撮れない写真を未来に残す」「現在の関係性をしっかり残す」ことを大切なテーマにしている。

1年後、5年後、10年後、30年後に見返した時には、家族が増えたり関係性が深くなったり、色々な変化があると思う。そんな時に「あの時、撮っておいてよかったね。」と思ってもらえるような写真を撮りたい。

カメラマンの活動・作品例

最後に、一部になってしまうが、Instagramにも載せている作品写真を一部紹介したい。

プライベートはフィルムカメラで撮ることが多いが、お仕事として受ける家族写真はデジタルカメラで撮影している。それでもちょっとしたエモさやじんわり感じる温もりみたいなものを写せたらいいなと思っている。

※掲載写真は全て公開の許可をいただいているものです

Instagram:https://www.instagram.com/kaoru__gram/?hl=ja
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