満足度の高い読書経験をするために本選びで自分が実践していること.

前回は自分が”選ばない本”の特徴について書いたので今回はその逆,満足度の高い読書経験をするためにいい本を選ぶ方法について書いていこうと思う.
前回の記事はこちら

いい本と出会うと知的好奇心が最高に刺激される.一章,一段落,一文読むごとに発見があり,気づきをメモするのに忙しくてなかなか読み進められないということもある.気持ちの良い読後感も好きだ.

そしていい本は読んだ後に必ず何らかの作用をもたらす,実用書の類だったら生活習慣や会社での働き方に組み込めるし,そうでないものでも目の前で起きていることをメタに捉えるフレームワークとして「あ,こんなこと書いてあったな」と物事の見方に深みと選択肢を与えてくれる.
もちろんこういう効用が無限に続くものではなく,大抵は時の経過とともに忘れ去ってしまうものであるが,良書の中の良書に出会うと末長く,その効用が根付くものである.自分がひたすら本を読む理由はこの良書の中の良書の味を知ってしまったからとも言える.

さて本題,先日の”無のビジネス本”と同様,良書と出会える方法にはいくつかパターンがあると思うので,自分が実践していることについて書いてみようと思う.

・いい本の中で取り上げられていたり,参考文献にリストアップされている本を選ぶ:
 再帰的な観点で,いい本の中で取り上げられている本はいい本である可能性が高いと考えている.そこで紹介されている本は著者のフィルタリングをクリアしているという意味で何かしらの質が担保されているからだ.なのでこの本面白いなあと思ったら文中に出てくる作家や本の名前をメモして未来の積読リストに加えるようにしている.また参考文献が載っている本であればそこも参照する.中には異なる数冊の本で紹介される本も存在する.そういう本は人類に多大なインパクトをもたらした歴史的名著である可能性が高い.(自分が見たものでは利己的な遺伝子,1984年,カラマーゾフの兄弟etc...)

・信頼できる人に紹介してもらう:
 珍しい方法でもないが,非常に効果的な方法の一つであると思う.あなたのことを少なからず知っている人から紹介してもらう本は,あなたとその本との間に何かしらのつながりを見つけて紹介しているはずである.信頼ができる知人,友人,上司,SNS上の知り合いなどに「なんか面白い本ない?」と聞いてみるのも良いだろう.
 この方法は自分がその本を読むことと紹介者の間に利害関係が発生しないことが一つのポイントだ.もしそこに紹介料なるものが発生していたら紹介者はあなたに対して,あなたのためではないとわかっていても紹介料の手取りがいい本を紹介するインセンティブが働くが,このケースではそういったことが起こる可能性は低い.

・信頼ができる著者,翻訳者の別の本を探す:
 これも当然と言えば当然ではあるが,いい本を書いた人は他にもいい本を書いていることが多いので著者名でフィルタリングをかけて過去の作品などを手に取ると良い.また,私は翻訳者にも注目するようにしている.著者と同様に「その翻訳者が選んだ」ということが一つの質を担保するものになると考えているからである.

・アマゾンのコメントを見る:
 悪い本を見抜く方法でも述べたがレビューというのは本選びにおいてかなり参考になる.しかし,ここでは単純なレーティング数や評価数だけでは判断しない.今の時代,レビューを業者から購入することくらい朝飯前だからだ.自分が書評を見るときはその本に”低評価”がついているレビューから順に見ていき,”高評価”も一応目を通すようにしている.レビュー偽装している本は低評価レビューで辛辣なコメントが寄せられていて高評価レビューでは「おもしろかった」といった箸にも棒にもかからないコメントが多い.

以上,いい本を選ぶために自分が実践していることである.これらに共通することは「いい本を紹介するインセンティブがある」「悪い本を紹介しないインセンティブがある」ということに尽きるのではないだろうか.
著者が自著にその本の名前を出す時,紹介者がプライドにかけてあなたに本を紹介する時,著者や翻訳者が次なる作品を作る時,誰かがアマゾンでわざわざ低評価をつけて詳細にコメントをする時,上述したことが働いているのではないかと考えている.

巷の情報(ランキング,あなたに無関係な人の”おすすめ”,広告etc)に流されていると,これらのインセンティブが働かないがさも良書であるかの方に宣伝された本に晒されがちである.要注意だ.

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