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「授業研究」を真ん中において職場をつくる!(授業づくりネットワークNo.34)

「授業研究」を真ん中において職場をつくる!(授業づくりネットワークNo.34)
こんなテーマの一冊を出せるのが,この授業づくりネットワークの強みだと思う。
私も,少しだけ執筆させていただいた。が,実はこの原稿を執筆している時は,実に鬱々としていた。
何を隠そう,自身の勤務校の授業研究が上手くいっていなかったのだ。
そんな中で,例え書評といえども,このタイトルのついた巻に拙稿を寄せることになかなか気が乗らなかったのである。
しかし,原稿が出来上がってから,完成本が手元に届くまでの間に,
その思いは消え去っていた。
そのきっかけもまた,授業研究だった。
自身が授業者としての授業研究を行い,同僚に授業を見ていただいた。
その日以降,同僚と授業の話をすることが急に増えた。
信じられないと思うが,職員室の雰囲気もガラリと変わったのを感じた。
コミュニケーション量が増し,校務もどんどんスムーズになっていった。
(ちなみに,このnoteは同僚も読んでくださっているので,嘘は書けない。笑)
そして今,授業研究で見合った現状が,次年度の授業計画に生きていることが分かる。
まさに,学校改革の狼煙が教室から上がるのを肌で感じる,この数ヶ月だった。


さて,「授業研究」を真ん中において職場をつくる!(授業づくりネットワークNo.34)の中身のお話。
巻頭の山田洋一氏と赤坂信二氏の対談では,授業研究が抱えるたくさんの課題が出される。
・トップダウンの研究課題で起こる,教室現場の実態とのズレ
・過去の知識と経験が重視される,技術的熟達者モデルの授業
・教師中心,教師のための授業研究
・変わらないベテラン,できない若手という固定観念
・埋まらない授業観の溝
こういった課題を,どう解決していくのか。

本書では,小・中・高・肢体不自由校・日本人学校と,様々な校種の実践が紹介される。
いや,その一つ一つが,実践ではなく挑戦の記録だ。
その形は一つ一つ違うのだけれど,目の前の子ども達を観る教師の真剣さはどの原稿からも伝わってくる。

本当にどの原稿も魅力的なのだが,
個人的には,聖ヨゼフ学園小学校の「授業の共同設計」に関心が近く,
ヨハネスブルグ日本人学校の「深夜急行と奥の細道」の授業に興味を惹かれ,
大阪府立泉南中の取り組みには胸が熱くなった。
子どもの実態と真摯に向き合い,過去の遺産を生かしながらも新しい知見を探る教師の姿がある。
世代を超えて学び合い,対話をくり返しながら,高め合っていく職員集団の姿がある。
上にいる偉い人を見上げて,足元でつまづいているような研究ではなく,一歩一歩踏みしめながら前進していく研究の姿がある。
この書籍から,これからの校内研究の正解が分かるかというとそうではない。
でもこの一冊には,授業研究から学校をつくる一歩を踏み出すきっかけ。
踏み出した一歩を,次の一歩につなげるヒントが詰まっている。

ぜひ,次年度の参考に手に取ってほしい。
学校をつくるのは,あなたの授業なのだから。


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