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バーチャルYouTuber研究4:        バーチャルYouTuber調査① 中の人プロフィール

 今回からバーチャルYouTuber調査の結果を書いていきます。2020年12月にインターネット調査会社のモニター(東京と大阪に在住、20代~30代)に対するサンプリングを行ない、「バーチャルYouTuberの中の人として活動する人」を抽出して質問紙調査の配信・回収を行ないました。結果141名の有効回答です。当初は全国在住で3万人程度にスクリーニングをかけましたが、出現率が1%にも満たず、地域と年齢を絞り込みました。今回は回答者のプロフィールを紹介します。なお、ここで「バーチャルYouTuberとは、アバターを使ってYouTubeのプラットフォームで動画を投稿する人」と定義しておきます。

 141名の回答者は全員が「個人や少人数のグループで独立して活動している人」であり、企業に所属して企業アカウントで活動する人は含まれません。回答者は中の人に加えて「コンテンツの制作をする」が83.7%、「プロモーションや広報、管理も行う」が83.0%であり、中の人の他、8割がコンテンツ制作やプロモーションなどの業務も行っています。個人や少数グループで活動するバーチャルYouTuberのほとんどがコンテンツ制作やプロモーションなどのビジネスを兼務しているのがわかります。

 次に、アバターのビジュアル特性(外見)は何かを聞いたところ、女性が半数近くで男性も4割でした。残りは動物や架空の生物や創造物です。

図1 アバターのビジュアル特性:

 動物や架空の生物も多いと思いましたが、女性と男性のビジュアルを使う人がほぼ半数ずつで8割以上を占めました。

 次に活動期間と仕事の位置づけです。バーチャルYouTuberの活動期間は1年未満が82.3%で残りが1年以上でした。2016年から登場した「キズナアイ」など少数を除き、この1年で参入する人がほとんどであり、この市場が誕生したばかりの黎明期であるのがわかります。そして仕事の位置づけですが、「趣味の範囲であり、収入はない」が約半数の53.2%、「本業の仕事とは別に副業として収入を得る」が40.4%、そして「本業の仕事として収入を得る」は6.4%という結果でした。スタートして1年以内の多くで、半数が趣味、収入があるのは4割です。本業は1割に満たないという結果です。

図2 仕事と収入:

 マスコミでは人気のバーチャルYouTuberが紹介され、収入のランキングなども出ていますが、今回の調査でみるかぎり、そうした成功者はやはり少数者に留まるようです。さらに「収入がある」と回答した人のうち66人が最近1年間のおよそのバーチャルYouTuberとしての収入(売上高)を回答してくれました。

平均値 252万円、最大値 1億円、最小値 0円。100万円以下が77%。

 この収入の分布では平均値252万円という数字はあまり意味を持ちません。最大値1億円に平均が引っ張られているからです。全体の77%(51人)が100万円以下でした。

 では最後に具体的な活動内容の概要を見てみます。まず、動画を投稿する頻度。毎日配信投稿する人は32.6%、週に2~3本が28.4%、週1本程度が17.7%です。週に1本以上投稿する人で全体の7割以上を占め、毎日配信も3分の1程度おり、比較はできませんがバーチャルYouTuberとして毎日動画を配信する姿が思い浮かびます。

図3 動画投稿の頻度:

 動画のこれまでの投稿本数は次のとおりです。

平均値71.7本、 最大値2,000本、 最小値1本、            10本以下51.7%、 50本75.2%

 活動期間1年以内が多いなかで、半数が10本以下でした。毎日配信するような人は100本以上に上ると予想されますが、これは2割程度でした。投稿本数が毎日のように高い人と少ない人とでは投稿数の分布は大きく偏りがあります。

 以上、今回はバーチャルYouTuberとして活動する人のおおまかなプロフィールを見てきました。少数の有名なバーチャルYouTuberの活動とは異なるイメージかもしれません。もちろん、この結果は調査会社のモニターから抽出した141人という条件と制約から述べているのに留まりますが、これまでバーチャルYouTuberに関するサンプリング調査がない中で現実の1つの姿を表しているのではないかと思います。

 次回はバーチャルYouTuberが活動する動機や目的についてです。

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