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チームワークについて(雑考)

本noteは五常・アンド・カンパニー("五常")の社員blogとして英語で執筆した内容を日本語に翻訳・再構成したものです。
英語版はこちら → Inch by Inch — my thoughts on teamwork
五常のチームの顔ぶれはこちらをご覧ください。だいぶ多様性が高まりとても嬉しく思っています → Our Team 

スポーツとチームワークと私

チームで何かに取り組み勝利することは、自分の人生の大切な一部です。

就職してから、皆で時間を合わせるのが億劫に難しくなり、自分で楽しむのは個人競技中心になってしまった(トライアスロンやマラソン、最近だとキックボクシング)のですが、小さい頃からサッカー、バスケットボール、ラクロスと様々なチームスポーツに取り組んできました。

最近、Taejun(五常・アンド・カンパニー 創業者)に勧められてNetflixのThe Playbookという、様々なスポーツコーチを取り上げたドキュメンタリーシリーズを観賞しました。これを観て、チームワークが自分にとって特別な意味を持っているということをあらためて感じたので、今回のnoteでは仕事や職場におけるチームワークについて今、考えていることを書いてみたいと思います。

チームワークとは何か

これまで特に記憶に残っている仕事を思い出してみると、そこにはいつも素晴らしい才能に恵まれた人たちとのチームワークがありました。投資銀行時代のM&Aアドバイザリーは、顧客、上司・同僚そして、弁護士や税理士といった外部のステークホルダーとの協働を必要としました。ライフネット生命の上場準備にも、経営陣・証券会社・社内の各部門のリーダーたちとの密な協力が欠かせませんでした。五常においても、シリーズDラウンドの資金調達、IFRSの導入…などチームで力を合わせて数多くの困難を乗り越えてきました。

そもそもチームワークとは何なのでしょう。あらためて定義を調べてみて、個人的に一番納得感があったのは、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーによる以下の定義(らしい)です。Teamwork = Abilityとしている点が興味深いですね。余談ですが、100年以上前のカーネギーの時代にもチームワークという言葉があったと知ってちょっと嬉しくなりました。

"チームワークとは、共通のビジョンに向かって協力し合う能力、個人の成果を組織の目標に向かわせる能力のことです。チームワークは、普通の人々が突出した成果を達成するための燃料となります"
"Teamwork is the ability to work together toward a common vision. The ability to direct individual accomplishments toward organizational objectives. It is the fuel that allows common people to attain uncommon results"

私の大切な師のひとりであるライフネット生命の創業者 出口さんは、人とチームについてこういうことを語っていました。

「石垣は、とがっていたり、三角形だったり、四角形だったりという異なる石を組み合わせて作ります。チームを作ることも石垣を作ることと同じなんです。適材適所で人をよく見て、どう組み合わせれば強くなるかを考えることが、強いチームを作ることのすべてです

ライフネット生命 出口氏に聞く、最強チームの作り方

ついでに言うと、アフリカにはこんな有名なことわざもありますね。個人的にとても気に入っている言葉のひとつですが、これもチームワークの効用を端的に表したよい言葉ではないかと思います。

"早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け"
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together)

ケニアで出会った象の隊列。遠くへ行きたければみんなで行け。

よいチームワークに必要なもの

さて、五常のような多様性に富み、ローコンテキストな環境においてチームとして効果的に働くためには何か必要でしょうか?まだ考え中ではあるのですが、現時点では以下のような要素が必要なのではないかという仮説を持っています。

3つの必要条件(基本的姿勢):

  • 謙虚さ (Humility):チームの誰一人として完璧ではないし、自分だけが正解を知っている訳ではないという認識

  • 尊敬 (Respect):一緒に働く人のことを心から思いやる気持ち。相手を一人の人間として扱い、その能力や功績をフェアに評価する姿勢

  • 信頼 (Trust):自分以外のメンバーは皆優秀であり、正しいことをすると信じること

なお、こちらの3つの必要条件は“Team Geek” (Brian W. Fitzpatrick, Ben Collins-Sussman)を参考にしています。

ちなみに、Team Geekには以下のような記述もあるのですが、これには100%同意します。

"あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるものだ"
(Almost every social conflict can ultimately be traced back to a lack of humility, respect or trust)

”Team Geek"

3つの十分条件(継続的な取り組み):

  • 目的・目標の共有:チームメンバー1人1人が、目的・目標を自分事として共有できるようにすること

  • コミュニケーション:意思決定の根拠となる情報の共有。相互の信頼関係・心理的安全性とそれを可能にする高頻度のコミュニケーション

  • フィードバック:誰もが成長できるという信念を共有し、フィードバックを通じて互いの成長を支援し合うこと

五常のFinance Teamについて

2019年に五常に入社するとき、以下のようなことを書きました。

「五常・アンド・カンパニーに入って何をするのか。稚拙な表現ですが、「ミッション達成のために成すべきこと(やりたいこと)と為すべきこと(やるべきこと)全部」です。ただ、自分の力だけでは到底不可能なので、最高の仲間を集め、一歩一歩着実に積み上げて前に進みたいと思っています」

五常への入社から2年半が経ちました。その間、新型コロナ、ミャンマーにおけるクーデターなど、道のりは決して平坦ではありませんでしたが、チームで力を合わせてなんとか乗り越えることができました(できそうです)。そしてなにより、金融包摂領域では世界最高のチーム作りが進んでいるという手応えを感じています。

前述のチームとしての目的・目標の共有の一環として、2020年のワークショップでFinance Teamのミッションを議論して以来、継続的にアップデートしています。以下はその最新版です。

  • Enhance the credibility of Gojo and its Partners (group companies) as an investment destination through transparent communication and amplify the financial inclusion around the world
    透明性の高いコミュニケーションを通じて、五常とそのグループ会社に対する投資先としての信頼を高め、世界中に金融包摂を拡げます

  • Enable internal stakeholders within Gojo group to make high-quality decisions and to achieve Gojo’s Mission, by delivering reliable financial information and thoughtful risk/opportunity analyses in a timely manner
    信頼性の高い財務情報とリスクや機会に関する分析を適時適切に提供することで、社内のステークホルダーが質の高い意思決定を行い、五常のミッションを達成できるよう後押しします

  • Explore and implement an optimal and resilient capital structure that supports dynamic resource allocation in collaboration with Partners
    グループ会社との協働を通じて、ダイナミックな資源配分を支える最適で弾力的な資本構成を考案・実行します

リモートで実施したFinance Team Workshop (2022年1月)の一コマ

Inch by inch

さて、つらつらと書いてきましたが、最後はチームで「勝利する」ことについて書いて締めくくりたいと思います。

まずは冒頭で少し紹介したNetflixのドキュメンタリー”The Playbook - A Coach’s Rules For Life”から。これは特にこれまでスポーツに打ち込んだことがある人にはお勧めしたいシリーズです。個人的にはEpisodo 1のDoc Rivers (現在はPhiladelphia 76ersのヘッドコーチ。ドキュメンタリーはBoston CelticsとLos Angeles Clippers時代の話が中心)に勇気をもらいました。特に印象に残ったのは以下の2つの言葉です。

“A person is a person through other people. I can't be all I can be unless you are all you can be. (…) I can never be threatened by you because you're good, because the better you are, the better I am.”

(Rule No. 3: UBUNTU IS A WAY OF LIFE)

“Champions get hit over, and over, and over. You know, it's just that the champion is the one that decides to keep moving forward”

(Rule No. 5: CHAMPIONS KEEP MOVING FORWARD) 

最後にもう一つ。入社時のブログでも紹介した映画「Any Given Sunday」よりヘッドコーチTony D’Amato (Al Pacino)による試合直前のスピーチを引用したいと思います(動画はこちらから)

“You find out that life is just a game of inches. So is football. Because in either game life or football.  The margin for error is so small. I mean one half step too late or too early you don't quite make it. One half second too slow or too fast and you don't quite catch it. The inches we need are everywhere around us. They are in every break of the game every minute, every second. 

On this team, we fight for that inch. On this team, we tear ourselves and everyone else around us to pieces for that inch. We claw with our fingernails for that inch. Because we know when we add up all those inches that’s gonna make the f****** difference between WINNING and LOSING, between LIVING and DYING!"

Any Given Sunday

五常の長期目標は、民間版の世界銀行として「2030年までに50カ国で1億人以上に低価格かつ良質な金融サービスの提供すること」という非常に野心的なものです。これからも予想もしないようなことがたくさん起こると思いますが、チームで力を合わせて一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。

五常・アンド・カンパニーの採用ページはこちらから。募集ポジションは随時アップデートされています。我こそはという方のご応募を心からお待ちしています!

このnoteによって皆さんの人生が少しでもHappyになればとても嬉しいです。