どこまでがノンフィクション?
昭和のあの未解決事件がモチーフの映画
先日観た映画、「罪の声」。
原作を全く知らなかったが、映画館で流れた予告だけを観て、この作品を観ることを即決。
僕はドラマや映画を昔からよく観る。
ほとんどの場合キャストとあらすじだけで判断しているが、この作品もそうで、映画館で観た予告以外の情報は全く入れてない状態で観に行った。
予告だけではこの作品は僕が子供の頃に世間を大騒ぎさせた、「あの未解決事件」をモチーフにしていることは気づかなかった。
すぐにわかった
観はじめてからすぐにピンときた。
「グリコ・森永事件」「かいじん21面相」
当時、僕は中学生だった。
なんだか奇妙な事件で、いわゆる劇場型の犯罪。
マスコミに送りつけられた挑戦状、青酸ソーダ入りお菓子、子供の声による脅迫テープ。
連日テレビで報道され、お店からお菓子が撤去され、とんでもなく異様な事態が起きていたという記憶がある。
あの「キツネ目の男」の似顔絵も印象的ではっきりと覚えている。
そんな事件を取り上げたのが「罪の声」という作品。
不思議な感覚を覚えた
もちろん、実際の事件とは違う架空の企業名が使われているが、映画を観ながら実際に起きた事件のことをイメージせずにはいられなかった。
そして観ているうちに、「これがあの事件の真相?」と思ってしまうような感覚に襲われた。
ちがう、ちがう
時々自分に言い聞かせながら観ていたが、最後までそんな感覚は抜けなかった。
よくできたシナリオだ。
後で調べたところによると、まったくのフィクションというわけではなく、発生日時や場所、脅迫状や挑戦状のことなど、極力史実に寄せて書かれた作品とのこと。
作品で描かれた犯人像については、実際の事件でいくつかある説の中の一つを参考にしているようだが、これが真実なんじゃないかと思ってしまうような説得力があった。
作者は、事件当時の新聞などの資料のほぼすべてに目を通して作品を書いたということだから、それだけ説得力がある作品が書けたんだろうね。
自分なら耐えられない
この作品は、事件の中の「子供の声」に焦点を当てて描いている。
声を使われた子供たちの後の人生、自分の声が犯罪に使われていることを知っていた子供と知らなかった子供。
それぞれの苦悩と葛藤、明らかになった真実。
もしも自分が当事者だったらと考えただけでゾッとした。
そんな大きなものを抱えて生きていくなんて耐えられないよ。
実際の事件で使われた子供の声も、その声の主が誰なのか特定できているとかいないとか…
その子は今頃どこでどうしてるんだろうね?
そして本当の事件の真相はどうだったんだろうね?
今回も先に映像作品を観たから、今度は原作を読むことにしよう。
映画との違いを見つけるのも楽しみのひとつだからね。
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