kichikichi|美術は楽しい

美術鑑賞が趣味。主に東京の美術館とアートギャラリーを巡っています。 展示を観て感じたこ…

kichikichi|美術は楽しい

美術鑑賞が趣味。主に東京の美術館とアートギャラリーを巡っています。 展示を観て感じたことや考えたことを語ります。

最近の記事

ギャラリー巡り #04 KOTARO NUKAGA(六本木)

4月に巡ったギャラリーは12か所。 その中で印象に残った展覧会を振り返る、今回は4回目。 KOTARO NUKAGA | グループ展「When I Kiss You, I Can Taste Your Soul」 ステファニー・ハイエ、川井雄仁、ハイディ・ラウ、レベッカ・マンソン、多和田有希+福本双紅という5組のアーティストによるセラミック(陶磁器)で制作された作品の展示。 面白い作品がたくさんあって楽しい。 なぜかこれを見ているとパフェを連想してしまう。 アイスとか

    • ギャラリー巡り #03 オオタファインアーツ(六本木)

      4月に巡ったギャラリーは12か所。 その中で印象に残った展覧会を振り返る、今回はその3回目。 草間彌生 「Every Day I Pray for Love」 2021年から取り組んでいる最新シリーズ「Every Day I Pray for Love」より48点のペインティングと2点のドローイングを展示。 そのなかで一番印象に残った作品はこちら。 ピンクの水玉が桜の花びらに見えて夜空に桜の花びらが舞っているイメージが浮かんだ。ちょっと切なくて、儚い感じが心に残る。

      • ギャラリー巡り #02 ペロタン東京(六本木)

        4月に巡ったギャラリーは12か所。 その中で印象に残った展覧会を振り返る、今回は2回目。 ペロタン東京 | NICK DOYLE 「American Blues」 ニューヨークを拠点に活動するアーティス ト、ニック・ドイルの日本初となる個展。 布をコラージュして制作された壁掛けの立体作品を中心とした展示。 立体的に見えるけれど、表面は完全にフラット。だまし絵みたいで面白い。 近くで見ると細かく切った布の組み合わせで陰影が表現されていて、すごく細かい手仕事であることが分

        • ギャラリー巡り #01 TAKE NINAGAWA(東麻布)

          4月に巡ったギャラリーは12か所。 その中で印象に残った展覧会を振り返る、今回は1回目。 TAKE NINAGAWA ヤン・ヴォー 個展 ベトナム生まれ、ベルリン在住のヤン・ヴォーによる5年ぶりの個展。 ルネッサンス及びバロック絵画の引用とヴォーの父親によるカリグラフィーで構成されているリトグラフ作品。 カリグラフィーの引用元となっているのはアメリカのホラー映画(1973年)の主人公の少女に取りついた悪魔のセリフ。 書き込まれたカリグラフィー(エクソシストの悪魔の

        ギャラリー巡り #04 KOTARO NUKAGA(六本木)

          コレクション展は楽しい #03 東京都写真美術館

          4月中旬、東京都写真美術館 3階展示室で開催中のコレクション展「TOPコレクション 時間旅行 千二百箇月の過去とかんずる方角から」を鑑賞した。 「時間旅行」をテーマとするこの展覧会では、所蔵作品(写真・映像・資料)とともに、戦後から現代までの時空を超えた旅が展開される。 大正時代 新たな写真表現の模索先月訪れた東京ステーションギャラリーの「安井仲治 僕の大切な写真」展でもこの時代の新しい写真表現が面白いと思っていたところなので、展覧会の基点となる1924年(大正13年)に

          コレクション展は楽しい #03 東京都写真美術館

          記憶:リメンブランス ― 現代写真・映像の表現から@東京都写真美術館

          4月中旬、東京都写真美術館を訪れた。 2階展示室で開催中の企画展「記憶:リメンブランス―現代写真・映像の表現から」を観て印象に残った作品についての感想。 篠山紀信(1940~2024年)《誕生日》2歳から13歳までの12点のイメージ 1976年 写真館で毎年誕生日に撮影されたという記念写真。 見た目の成長はもちろんはっきりとわかるけれど、表情の変化が面白い。 最初は置かれた状況が良くわからずちょっとぼんやりしている感じで、2~3年経つと活発で明るい表情、学校に入ると

          記憶:リメンブランス ― 現代写真・映像の表現から@東京都写真美術館

          コレクション展は楽しい #02 アーティゾン美術館

          「コレクション展は楽しい」の始まり 昨年アーティゾン美術館で開催された「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」(2023.06.03土~08.20日)は、コレクションの魅力と可能性を教えてくれた展示だった。 それがきっかけで「コレクション展は楽しい」と思うようになり、各美術館のコレクションに注目するようになった。 今回は企画展「ブランクーシ 本質を象る」と同時開催のコレクション展を観て気になった作品を挙げていきたい

          コレクション展は楽しい #02 アーティゾン美術館

          ブランクーシ 本質を象る@アーティゾン美術館

          3月末、アーティゾン美術館を訪れた。 今回の展示はルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957年)の創作活動全体を紹介する企画展で、彫刻作品約20点に、絵画作品、写真作品を加えた合計約90点で構成されている。 突き詰められたフォルムぎりぎりまでそぎ落とし、簡略化された形態。 うっすらと残る凹凸で表現されたまぶたがとても繊細で、眠っている女性の微かな息遣いを感じる。 卵型のフォルムで表現された人体は直感的に女性をイメージさせる。 鳥の形が面白

          ブランクーシ 本質を象る@アーティゾン美術館

          コレクション展は楽しい #01 DIC川村記念美術館

          3月中旬、DIC川村記念美術館を訪れた。 初めて訪れたのは昨年の8月。 そのときはフランク・ステラの作品がたくさん展示されていて、初めてみる造形表現、スケールの大きさに圧倒されてとても感動した。 今回見て気になった作品・面白かった作品を挙げていきたい。 101 展示室 印象派からエコール・ド・パリへパブロ・ピカソ(1881〜1973年) 「肘掛椅子に座る女」1927年 ここまで解体してするか!というくらいパーツがバラバラになっている。耳とか口とか髪の毛に見えるものがある

          コレクション展は楽しい #01 DIC川村記念美術館

          池大雅 -陽光の山水@出光美術館

          3月中旬、出光美術館を訪れた。 池大雅(1723年~1776年)の東京では13年ぶりとなる回顧展。 可愛い人物 描かれた人物がとても可愛い。「葛の葉図」(江戸時代 18世紀)は女性に化けたの動物の姿が描かれている。着物の裾からしっぽが覗いていて、ちょっとユーモラスな顔立ち。美人じゃないところがなんとも愛嬌があって可愛い。 「瓢鯰図」(江戸時代 18世紀)は大きな瓢箪で鯰を押さえつけている人物が描かれている。瓢箪を抱える剃髪の男性は力ずくで押さえる感じではなく、優しい表情を

          池大雅 -陽光の山水@出光美術館

          生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真@東京ステーションギャラリー

          3月上旬、東京ステーションギャラリーを訪れた。 安井仲治(1903年~1942年)は18歳で関西の名門・浪華写真俱楽部に入会してから38歳という若さで病没するまでの約20年という短い期間に多彩な作品を発表した。 絵画のような質感 1920年代の作品は「ピグメント印画法」という、印画の際に顔料を調整しながらイメージを生み出したり、不要な部分を取り除く技法が採用されていて、まるで精緻な風景画を見ているような独特の雰囲気の作品だった。 ソフトフォーカスで捉えた都市の風景は繊細な

          生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真@東京ステーションギャラリー