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展覧会 #13 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション @東京都現代美術館

高橋龍太郎コレクションとは精神科医、高橋龍太郎(1946~)が1990年代末頃から収集を始めた総数3500点を超える日本の現代美術コレクション。

日本人コレクターによる日本現代美術のコレクションを見られる機会は珍しいと思って観に行きました。

美術館が所蔵する現代日本美術の先を行く現在進行形の日本美術が見られる内容で、とにかく作家数が多いこと、そしてスケールの大きい作品が多いことが印象的な展覧会でした。

日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション
会期:2024年8月3日(土)~11月10日(日)
観覧料:一般 2,100円 大学生・専門学校生・65歳以上 1,350円 中高生 840円 小学生以下 無料
※企画展チケットで「MOTコレクション」も鑑賞可能

東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
交通アクセス
東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2番出口 徒歩9分
都営大江戸線「清澄白河駅」A3番出口 徒歩13分
東京メトロ東西線「木場駅」 3番出口 徒歩15分※
都営新宿線「菊川駅」A4番出口 徒歩15分※
※木場駅・菊川駅から都営バス利用の場合は「東京都現代美術館前」で下車


まず度肝を抜かれたのはこの作品。
陰刻鋳造という独自の手法で制作された6メートルに及ぶ巨大な像。迫力が半端ない。。

西尾康之(1967~)《Crash セイラ・マス》 2005年
機動戦士ガンダムの登場人物をモチーフにしているそうです。
台座に置かれた鏡でお腹の中を見られます。
森靖(1983~)《Jamboree-EP》 2014年
アメリカのポップスター、エルビス・プレスリーをモチーフにした高さ4メートルに及ぶ木彫作品。
小谷元彦(1972~)《サーフ・エンジェル(仮説のモニュメント2)》 2022年
サモトラケのニケを連想させる、6メートルの彫刻作品。
鴻池朋子(1960~)《皮緞帳》 2015-2016年
牛革をつなぎ合わせた24メートルに及ぶ幕のようなものに動植物や自然現象が描かれています。
眠っている動物たち。冬眠?

巨大な作品を見ているとだんだんサイズ感がバグってきます。

青木美歌(1981~2022)《Her songs are floating》 2007年
車に生えている菌糸のようなものがとても美しい。ガラスの繊細な表現。

こちらも大きな作品。加工して葉脈だけを残した金木犀の葉をつなぎ合わせて作られています。その数なんと6万枚。気の遠くなるような作業。。

宮永愛子(1974~)《景色のはじまり》 2011年
とても繊細で儚げ

森村泰昌の作品は根底に「笑い」の精神を感じるところが好きです。

森村泰昌(1951~)《肖像 九つの顔》 1989年
レンブラント《トゥルプ博士の解剖学講義》の登場人物全員に森村が扮しています。

加藤泉の作品はグロテスクだけれど強烈に惹きつけられる不思議な魅力があります。

加藤泉(1969~)《無題》 2009年
人間に見えるけれどずっと見ていると生命の根源的なエネルギーの塊みたいに見えてくる。

塩田千春は以前観たインスタレーションの展覧会がとても良くてそれ以来好きな作家です。

塩田千春(1972~)《ZUSTAND DES SEINS(存在の状態)》 2008年

長いキャリアの中で「もの」と「もの」、「もの」と「場」の関係性を追求し続けている作家、菅木志雄の作品もありました。

菅木志雄(1944~)《空態化-7》 2011年
作品の強度がすごいです。長年の探求が生み出す造形の力。

以前アートギャラリーの展覧会で印象に残っていた作家の作品にも出会いました。

池田学(1973~)《興亡史》 2006年
1mmに満たない極細のペンとカラーインクで描かれた作品。
細部の細部まで綿密に描き込まれた画面には様々な物語が展開しています。

昨年アーティゾン美術館の個展を見逃してずっと気になっていた山口晃(1969~)の作品も。

※タイトルの漢字が変換できなかったので、下にキャプションの写真を載せます

一見すると日本の伝統的な構図で描かれた合戦の様子。でも細部を見ると古今東西、時空を超えた世界が展開しています。

ファンタジーの中に風刺が効いていて、細部をじっくり観察したくなる面白い作品。

クレーンで操られる死神みたいな兵士
出前をとる人やパソコンを操作する人も
唐突に漫画のような吹き出しが。手前には洋装の人物も。

屋根の上に立つ滑稽な姿の人形たちから漂う哀愁を帯びた雰囲気が気になる作品。

小出ナオキ(1968~)《studio "Kunsutohausu"》 2006年
下から覗くと家の内部描かれています。

展示の終盤で興味を惹かれたのはグラフィティなどストリートアートの視点で制作された作品。

BABU(1983~)《Line11》 2023年
DIEGO(1986~)《AB01》 2018年

個人コレクターと聞いてなんとなくイメージしていたサイズ感をはるかに超える巨大な作品の多さに驚きました。
そういったスケールの大きな作品は展示の見どころだと思います。
草間彌生、村上隆、奈良美智など超メジャーな作家の作品もありますし、それ以外では自分の好きな作家の作品に出会えたことが嬉しいです。
初めて見る作家も多く、面白い作品が色々見られて新しい発見がある展覧会でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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