見出し画像

ダメなあなたも好きだよが言えない

「ダメダメだね、わたし。」 これはわたしがよく親しい人に吐く弱音だ。特に、パートナーに対してよく言ってしまう。すると彼は、大抵こんなふうに返してくれる。「ダメじゃないよ。すごいんだよ。」

最近この一連の流れの中で起こる自分の心の動きが面白いな、と感じたので書いてみる。

「ダメじゃないよ、すごいんだよ」 はこうして文字に起こしてみると、なんて素晴らしい言葉なんだろう。悪いことを否定して、さらに持ち上げてくれる。きっと、彼にとって最良の励ましをしてくれてることには間違いない。しかし、私はなぜかこの言葉に満足できないのだ。

じゃあ、なんて言って欲しかったんだろう。どういうつもりで自分のことをダメダメだって言ったんだろう。

5回ぐらいこのやりとりを経て辿り着いた結論をお伝えすると、わたしが求めていたセリフは、

「ダメダメでもいいんだよ、ダメダメなあなたも好きだよ。」

であった。方向性が全く違ったのである。

私は自己肯定感が低い。いつも低いと言うよりも、時々どストライクが決まったみたいに自己肯定感が損なわれることがある。それは体調だったり、人間関係が絡んで、わたしの中のストレス閾値を超えた場合に発生することが多いような気がする。

自己肯定感が低くなっている時の自分は、絶対にダメダメな自分を認めることができない。だからこそ誰かに「ダメダメでもいいんだよ」って言って欲しかったんだ。自分では自分に対して赦しを与えられないから求めている。こう考えるとなかなか幼稚で卑しい行動だな、と思う。だから、せっかくの彼の素敵なセリフに対しても、幼稚なわたしの心が反応して、"ダメダメな自分"を否定されて、"すごい自分"のレッテルを無理に背負わされると感じてしまいしんどいんだ。

ここまで理解したにもかかわらず、またもや引っかかる出来事が。

私がよくダメダメだね、と言うせいか、彼もよく自分のことをダメ、と言うようになったのである。そしてそれに対してわたしがどのように返信したのか。「ダメじゃないよ、すごいんだよ。」 あろうことか、こないだの彼のセリフと全く同じセリフを返してしまったのだ。あんなに分析したにもかかわらず。

このことを受けて、再び考える。なんでわたしはこう返したくなったのか?

今度は気付くのに時間はかからなかった。わたしは彼のことが心底好きで、自分より好きだから、彼に自分自身を否定されるのは辛いのだ。

彼のセリフの意図が初めて心に落ちたと同時に彼に対する感情が深まるのを感じた。

わたしが望んだことと同じ"ダメな自分を認めて欲しい"をきっと彼は求めてるに違いない。わたしはちゃんとわかっている。しかし、「ダメダメな私でも素晴らしい彼に愛されたい!」 なんて甘ったるい少女漫画的幻想にしがみついてしまう幼稚なわたしに簡単に先を越されてしまって、どうしても与えてあげられないのだ。なんて悲しい。

…そんなこんなでまだ達成できていないので、今度こそ 「ダメなあなたも好きだよ」 を伝えるぞ!と気張って、わたしは彼が弱音を吐くのを待ち構えている。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?