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涙に濡れる箱根のお月さま

ニーズ(needs)とウォンツ(wants)、どう違うか。

ニーズは探究して発見するもの。Exploring Needs

ウォンツは創造するもの。Creating Wants

iPhoneはニーズからは生まれていない。小さなチョコレート箱みたいなものがパソコン、キャッシュレジスター、旅行代理店窓口、決済手段、ゲーム機、オーディオ、ヘルスケアデータバンク、みどりの窓口、映画館チケット、ライブチケット、翻訳機、不用品売買ショップ(メルカリ)、電子書籍リーダー(Kindle)、タクシー手配(Uber)、出前呼び出し電話(UberEats、出前館、menu)、会議室(Slack)などになるとは誰も想像しなかった。想像すらできていないということは「ニーズ」が存在していなかったことになる。でも、iPhoneという製品が出た途端、みんなが「欲しい!」となった。欲しい=Wantsを創造したのである。iPhone created wants.

当時のガラケーの延長にiPhoneは生まれない。

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iPhone発売2年前、2005年に出版された『phone book』という写真集がある。

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ケータイ電話の歴史を振り返り、最新のモデルを紹介している。中に、Isamu Sanadaさんが「もしアップルがケータイを出したら」というデザインアイデアがある。

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優れたデザイナーにしても、iPhoneは着想できなかったことがわかる。

これに対して、すでに世の中にある商品群に新しい視点を加えてみてもウォンツ(wants)は生まれる。

資生堂はお肌の美のために、血流を研究している。20年も! 当時、皮膚科学のメインの研究対象は表皮や真皮コラーゲンであり、血管に着目している化粧品メーカーは少なかった。簡単にいうと、「お肌の悩みであるシミやシワをケアする成分を配合した化粧品を使っても、正直、実感が足りない。やはり内側からの解決が必要」。これはニーズの探究アプローチではなく、「体内からきれいに」という新しいウォンツを創造しようという試みだ。

断捨離しなきゃならないほどモノがあふれ、ダイエットしなきゃならないほど栄養が満ちた社会。そして少子高齢社会で財布の数も中身も年々減っていく。もはやニーズというものを探究するアプローチでは解にたどり着けない。ウォンツを創造するしかない。

ニーズとウォンツ、「お腹が空いた」がニーズで、それに対して提供する「ラーメン」がウォンツ、という解説がされることがある。しかし、これではiPhoneの出現を説明できない。

カップヌードルが生まれる前に、「いつでもどこでもインスタントラーメンを食べたい」というニーズがあったわけではなく、カップヌードルが誕生したから「いつでもどこでもインスタントラーメンが食べられる」というライフスタイルが生まれたのである。

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そもそもカップヌードルの兄貴分のチキンラーメンも、「すぐおいしい、すごくおいしい」というニーズが存在していたわけではない。お湯を注いで蓋して待つこと3分間。チキンラーメンというウォンツが生まれたからこそニーズが生まれた。ということは、ウォンツファースト、ニーズセカンドなのか。

バレンタインデーにチョコレートを女性から男性に贈る、というのも、日本のチョコレートメーカーが「もっとチョコレート売りたい」という狙いで始めたわけで、ニーズが先にあったわけではない。「バレンタインデーにチョコレートを女性から男性に贈る」というウォンツ・クリエイションが先にあって、それを受け、男性が「ぼくとこにチョコレート来るかな?」と期待するようになった。

そうそう、バレンタインデーといえば、ですね。

ここ数年、ゆるやかにチョコレートの数が減っていき、たいへん哀しい思いをしてました。ただまあ、これも致し方ないかとあきらめムードもあった。それがですよあなた。今年、なんと! 1! しかもチョコレートではなく、箱根のお月さま!

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贈ってくれた小室由歌利いわく「実質本位で、いいでしょ」確かに実質本位で、柔らかく、食べやすく、美味しいので、大事に一日1つずついただきました。しかるに・・・まさかの1!

ニーズでもウォンツでもどーでもいいので、わしはバレンタインデーにチョコレートが欲しい! これでは淋し過ぎる! とほほほほほほほほ・・・

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