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ニーズが運転資金を決める。逆はない

マーケティングのお話をします。販売とマーケティング、どう違う?

販売は店・企業サイドの目線。マーケティングは顧客の目線。

戦略とニーズって言うよね? どう違うか。

戦略は売りたい。ニーズは買いたい。「それ、ほしー!」というのがニーズ。

ニーズから発想し顧客の目線で見るのがマーケティング。
売りたい製品・サービスから発想するのが販売。

マス・マーケティング、つまり、同じ商品をたくさんの人にたくさん売りたい、というのはもはや時代遅れ。高度経済成長時代のキャッチコピー「一億人の東芝テレビ パブリック」がその代表。

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人々の興味関心(インタレスト)がマイクロ化した、その小さなインタレストにフォーカスしましょう、というのがフォーカス・マーケティング。だから「マス(大衆)を相手にしてはいけない」。

げんにいま、大衆を相手にしている活動はすべてしんどい。

政治、ホテル、航空会社、大学、学校、結婚式、披露宴、カンファレンスルーム、JR、私鉄電車、地下鉄、百貨店、スーパーマーケット、ショッピングモール、シネマコンプレックス・・・

そういう話をすると、「とはいえ、うちは売らないといけないんです。量をたくさん」という話になる。その量は何で決まるかというと、運転資金の回転直径だ。リソース(人件費、家賃、減価償却、設備、光熱費・・・など)で決まっている。決まったのは過去。ところが顧客の「ほしー!」というのは現在この瞬間であり、時差がある。この時差が、以前であれば何十年という時間猶予があった。「会社の寿命30年」とか、言われていたのだが、それは時間猶予が30年あったということ。ところが現在、それが10年、極端にいうと5年だったりする。コロナが加速している。

「ほしー!」つまり「ニーズ」が運転資金(リソース)を決める。逆はない。

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『チコちゃんに叱られる!』。以前は大人気だった。ところがいまだに「働き方改革」として、途中、汚いスタジオを映しながらトークする時間がある。あれは「それでも見たい」というニーズのあった頃なら許された、いわば「内輪芸」であり、見るたび、時差を思い出す。

いま、大企業がしんどいのは、この、時差にじわじわやられているからだ。テレワーク中心になったら、立派なオフィスも土地も要らない。高学歴の人件費高い社員も、ほんとうは要らない。ところが簡単に縮められない。

徳川幕府がなぜ250年も長生きできたか。資産を小さくしていたから。東海道をまるごと幕府のpavement(舗装道路)にしたいなどとは一切願わなかった。重くなるから。明治以降日本の国有地になった場所は徳川所有を引き継いだところだけ。東京・築地のがんセンターは徳川家海軍練習所跡地、東大は徳川家のものではないけど、加賀屋敷を買い上げたもの、上野公園の緑地はすべて寛永寺、つまり徳川家の地所だった。それでも一国の政府の所有としては極端に少ない。フランスは革命によって王様の土地すべてを市民政府が引き継いだ。だから公有地がめちゃくちゃ大きい。

徳川家は「もたない」ことで、長寿を得た。

中国史では、大土木工事・・・秦の始皇帝の万里の長城、隋の煬帝の大運河・・・をした王朝はすべて滅びている。

せめて個人、中小企業は、「ニーズが運転資金サイズを決める」鉄則を忘れず、時差を意識して、コツコツやっていきましょう。


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