知らない筋肉痛と出会いたい
「自分の知らない筋肉痛と出会いたい」
室伏広治選手の名言だ。
さすが、アテネオリンピック(2004年)で金、ロンドン(2012年)で銅メダリスト。日本記録保持者。
室伏選手クラスになると、何の練習をすればどこに筋肉痛が出るかわかるそうだ。でも、「自分の知らない筋肉痛」が出るような練習をしないと、いつまでも同じ記録の周りをぐるぐる回ることになる。それがイヤだ。だから自分をどう驚かせるかを課題にして、自分が驚くような練習メニューを考える。
ベンチプレスでは、両端にハンマーを吊るす。ハンマーは振り子のように揺れる。ランダムな動きが加わる。予測できない。
さすが!!
ゴルゴ13の動きをコンピュータで予測する挑戦者が出てきた。ゴルゴはどうしたか。自分を暗殺してくれる人を雇った。
つまり、「自分はいつ暗殺されるかわからない」状況へ自分を追い込むことで、コンピュータの中にある「自分がこれまでよくやっていた行動」「やりそうな行動」から逃れるようにしたのだ。
*参考:為末大『限界の正体』(SBクリエイティブ刊)
人はできれば同じことを繰り返したい動物だ。出かけないでいいなら、出かけず、家でゲームしたりしていたい。コロナが拍車をかけた。
特に地方の人は、「これでいいや」と、外へ出ない。出なくても「ムラ」の中で問題なく仕事、生活過ごせるから。
かく言うぼくも引きこもり体質である。できればずっと家にいたい。どこへも行きたくない。
そういう自分を知っているからこそ、敢えて予定を入れる。そうして「日常習慣」に揺さぶりをかける。
人の思考は、日常習慣でできている。とすれば、揺さぶりをかけないと、新しいものは生まれないことになる。揺さぶることが、プラスになるとは限らない。マイナスを生み出すかもしれない。
でも、長い道のり、揺さぶったほうが楽しいと思う。
カールじいさんも、自分の知らない筋肉痛を味わった。最高の「老後」を手に入れたよね。