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存在パーミション

仕事がクリエイティブかどうかを測る指標として、「(あなたの商品や店、会社が)社会に存在してもいいですよ」という許可=パーミションを増やすかどうか、はどうだろう。この「パーミション」のコンセプト、ポール・ホーケンに教えてもらった。

『ビジネスを育てる』(Growing a Business)の原書は1987年に出版され、ベストセラーになったが、なぜか日本では未翻訳だった。ぼくが訳した。2005年、バジリコ刊。そこから引用しよう。翻訳書p.195。

第八章 まず、顧客に「パーミション」をもらうことから始めよう

「市場からのパーミション(permission)」より重要なコンセプトほど、創業する起業家にとって重要なものはない。あなた自身も、あなたの会社も、市場とは切っても切り離せない。会社と市場とは、互いに身体の一部といってよい。

 別の表現をしてみよう。帳簿を開いたとすると、片面が市場、もう片面が自分の会社。そう考えて間違いはない。それだけ市場と密着することが大事なのだが、では、どうすればいいかと言うと、ビジネスを成長させるためには、市場から「あなた(の会社)がビジネスをしていいですよ」という「パーミション」(許可、許し)をもらうのである。起業家は顧客から、「商品を販売してもいいですよ」というパーミションを与えてもらわなければならない。

 顧客は、あなた、あなたの提供する製品・サービス、そしてあなたの会社や店との実際の接触を通じ、その体験の全体を評価してから、初めてあなたにパーミションを与えるか否かを判断する(リピーターになるというのは、こういうプロセスを経た後のことだ)。品質は良くなっているにもかかわらず、デトロイトの自動車メーカーが車の販売でゆきづまっている理由はここにある。

 デトロイトの顧客は、これまであまりにもひどい扱いを受けてきた。克服するまでは時間を要するはずだ。ひょっとすると、車の市場そのものがひっくり返るような事態にならないと、ことは改善しないのかもしれない。日本やドイツ製の車の足音はすぐそこまで迫っている。

 人は生来、人間としてのたしなみというものを持っているはずだ。そしてそのたしなみは、ビジネスを始め、行うときにも、維持し続けるべきものなのである。

品質の良さと正直さで創業したとするなら、そのことはずっと守り通さなければならない。やめていい理由は、ない。顧客に本当のことを言うのをやめれば、あるいは、そもそも創業時から言っていないとすれば、後になって取り返すことは難しい。正直さの価値は、純潔さと同じく、かけがえのなさにある。
 お断りしておくが、ぼくは「イメージを作り上げろ」と言っているのではない。「ほんものとはどうあるべきか」、について言っている。有言実行を心がけよう。そして、言ったことで、人は作られていくものなのである。

ここで阪本が横入り。

朝オフィスに着いたら、気分一新のためもあり、掃除します。今朝、新しいフワフワのやつ(ウェーブハンディ)手にして、違和感が。

小さい。

こんな小さかった!?

手は、サイズを覚えている。ものさしで測定するようなものじゃない。スマホを替えたとき、感じる最初の違和感が、サイズだろう。それくらい、手と指は、サイズを覚えている。

小さい。

おそらく、いろんな事情で原材料が上がり、価格据え置くために、サイズを小さくする「小手先」をやってしまったんだろう。

ここのところ、そういう目にあうことが多い。

ティッシュの上級ものを使ってる。洗面台に飛び散った水を拭うのに必要な厚みと耐久性があるから。ところがこれも薄くなってしまった。濡らすと指先にくっついて欠ける。それなら5箱いくら、といった安物と同じだ。わざわざ高いプライスを支払う必要なんかない。

ポール・ホーケンの言葉「品質の良さと正直さで創業したとするなら、そのことはずっと守り通さなければならない。やめていい理由は、ない。

守ってる企業が、いま、どれくらいあるのだろう。存在パーミションは儚く、すぐに消えてしまうものだ。市場から退場宣告されはしまい、と高をくくっているとするなら、それは残念な思考と思う。

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