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involved(巻き込まれる)

ドラッカー『非営利組織の経営』を翻訳していて、とても重要な語に出会った。

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「involved」。「巻き込まれる」という意味だ。さらに敷衍(ふえん)して、「中の人になる」。該当部分の翻訳を引用するね。アメリカ心臓協会副会長兼CEO(当時)ダドリー・ハフナーとピーター・ドラッカーの対話。

ダドリー 非常に重要なことを付け加えさせてください。私の個人的体験から感じることなのです。第一に、私どもアメリカ心臓協会をはじめ、救世軍、ガールスカウトは、支援者としてボランティアスタッフになることで自分が「巻き込まれ」て、主役になる、という点です。第二に、これはアメリカのユニークなところですが、慈善的活動が、集会、投票、報道の自由と共に、民主主義を支える大きな力になっている点です。自分自身をしっかりと表現する方法になっているのです。これが税金となるとこうはいきません。納税したからといって、自分が公共の福祉の主役になった、とは実感がわきません。しかし、救世軍や訪問看護ボランティアスタッフとして参加したなら、「巻き込まれて」主役になります。精神的にも、物質的にも主役になれるのです。大きな違いです。そして世界が変わるのです。

コロナちゃんになって、ビジネスのあり方が、「商品とお金の交換」を超えたところへ行く流れになっている。風の時代、というのはそういうことだ。この時大事なのが、involved(巻き込まれる)。

クラウドファンディングをイメージするとわかりやすいかもしれない。あなたの知り合いが始めた。「まったく興味ないんだけど、まあ、何もしない、というのもアレだから、つきあいで一番安いやつ・・・これか、3000円? じゃ、これを支援しておこう。特にTシャツなんていらないけど、まあ、仕方ない。これで『支援した』と言えるから・・・」クラファンの支援者の大半がこの心理だったら、やる意味ないよね? クラウドファンディングというのは一人でも多くの人をinvolved(巻き込む)ことで一緒に社会へ何らかのインパクトを与える仲間を開拓することなのだから。

それと同じ。ビジネスはすべて非営利組織的なあり方になる。つまり、社会へのインパクトを与えるミッション、大きなビジョンを実現するためのものであり、商品を1つでも多く売り1円でも多く稼ぐことが目的ではなくなる。そして、そこで働く人たちがみんな幸せになること。顧客を始め、関係した人みんなも幸せを感じること。

アメリカ、シリコンバレーの負の世界を見ると、納得してもらえると思う。

すべては陰陽だが、アメリカはいつも先行して社会現象を見せてくれるので、参考になる。

involved(巻き込まれる)ために必要なことは、絞りに絞ったインタレスト(興味関心)への手当としての商品(製品・サービス)。

たとえば、水を買う、という生活習慣は1981年には無かった。それが40年後の2021年の今、当たり前過ぎて話題にすらならない。ならないけれど、こうなると深化する。水は水でも、シリカ含有量の高いものが良い、とか、硬水が良い、とか。それで思い出したけど、ボルヴィック、汲み過ぎて、水源枯渇危機らしいね。

深化させたインタレストに的を絞った商品を提供する。広く、地球全体に届ける必要はない。届け過ぎたら、枯渇するんだ。

末永く、息長く。このためにも応援してくれる仲間をどのようにinvolved(巻き込む)か、それが鍵になると思います。

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