オレ、何やってるんやろ。出張帰りに。
あなたの目の前に出現する現象は
あなたの中身が反映したものです。
4日間の出張を終え、新幹線。
予約した席に行くと
前の乗客が飲みさしのペットボトル置いたまま。
あいにくぼくはトクホ関係、飲めない。なぜだか、お腹をこわすから・・・ってそういう話ではない。
ちゃんと捨てろよニャロメ。
ちなみにこの「ニャロメ」は
ではなく、「この野郎め」→「コンニャローめ」→「ニャロメ」です。
関西方面の人には理解されないみたいなので補足説明。
このペットボトル、オレの中身が反映したのかー。
新大阪着いた。
新大阪駅待ちのタクシーはおそらく世界トップレベルの「最弱王」選手がしのぎを削るサービス最低エリア。サービス精神、ゼロ。
ロクな運転手がいない。これも「守られた業界」だからだろうね。
ぼくの順番であらわれたのは、昭和な古いふるい車。
おじい運転手。
みなさまにおかれましては、これで様子、理解していただけると思う。
「西天満の交差点方面お願いします」
「? ・・・・にしてんま、にしてんま・・・」
大阪市内流すプロのタクシーが、西天満を知らないことはなかろう、と、スマホチェックしてた。
「すんません。にしてんまって、どちらでしたっけ?」
「え!? 西天満知らんの? 運転手さん、大阪の人違う?」
「いえ、大阪のもんですけど・・・。東天満とは違いまっしゃろ?」
「全然違う。マジ!? それ、あかんやん! じゃ、ぼくが言うから今日覚えよう」
「すんまへん」
「とりあえず新御堂上がってそのまま行って、梅新降りて」
「へい」
しばらく走ったあと
「アタマ、検査しましてん」
「はあ。結果どうやったん?」
「なんかあるみたいですわ」
「見たん?」
「見たような、見てないような」
「そんなん、気にせんでええよ。再検査とか言われたん?」
「半年後、せやから9月にもう一回やろか、と」
「大丈夫。緊急やったら半年も置いておかへん。そんなのんきなこと、言わへん。気にしたらあかんで。ホンマになるで」
「気にしてる」
「ほら、あかんって。気にしたら。なんぼかかったん」
「8500円やったかな。3割負担で」
「そのお金で美味しいもん、食べたら良かったのに。再検査、行ったらあかんで」
「年に一回はMRI受けたらええで、医者言うてた」
「そら、医者儲かるもん。言うよ。ぼくなんか、行ったことない。それでも元気やで」
「はあ」
「大丈夫やから。楽しいこと、好きなことだけ考えて暮らしてたらええねん」
「そんなもんやろか」
「そんなもんや。思った通りになるで」
ということで到着。
後ろトランクよりスーツケース出そうとする
「いいって。ぼくが出すから」
「お忘れ物、ありませんね。スマホ見てはったけど」
「スマホある。大丈夫。ありがとう。検査行ったらあかんで。そのお金で美味しいもん、食べや」
「せやね。おおきに!」満面の笑顔。
「おおきに!」
お金払って、相談乗って。オレ、何やってるんやろ。出張帰りに。
たぶん、このおじい運転手は、この話をぼくとするために「上のサムシング」が寄越したんだと思います。いや。ぼくがキャスティングされたんだね。
ずっと悶々としてたのが、少しでも晴れたらいいなと、彼の健康を祈りながら、スーツケース転がしました。まあそれでも、再検査行く人は行く。ひととき、「そーゆー考えもあるんやねー」と温まってもらえれば。
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