見出し画像

重荷おろして 昼寝かな

「おつり」を知らない子どもがいるらしい。

キャッシュレスの世の中だから。

これで「接客」に続いて、絶滅危惧種語がまた1つ増えたことになる。

すると、ですね。

「はじめてのおつかい」は番組として成立しなくなるのか?

いや、PayPayで支払うからいいのか。

というか、これからの「はじめてのおつかい」は、ジジババがスマホで店の場所を検索し、無事たどり着き、お買い物リストにある商品をちゃんと棚から見つけ出し、セルフレジでPayPayバーコード支払いできるかどうか、「ああ、袋そこにあるのにー!!」「そこそこーーー!!」と画面へツッコミ入れながら見て、そして無事買い物できて帰宅する姿に涙する番組になるのだ。

店に店員さんがいないから助けてくれる人もいない。
考えてみると、こっちの方がよほど難しいし、コワいよ。

ぼくが「セリフレジはデジタル化によるバージョン・ダウンだ」と言うのに対し、

「レジ係りがモタモタしてたらイラッとするし、前の客がぐずぐずしてたら『財布くらい、先に出しとけよ!』とストレスになる。ぼくのこの貴重な時間を奪われなくて済むから、セルフレジは大賛成、どこがいけないのか」

と若い人に言われた。この人に限らず、若い人は概ねセルフレジ好意的である。

ただね。

「便利」というのは、その「便利の量」に比例して、「重荷」も背負ってる。

たとえば、エレベーター。ぼくがいるこの階は16F。地上48メートル。一度あったんだけど、火災報知器の誤作動で、「火事です!!」「火事です!!」となった。あの音は巨大で、耳を塞いでも消えない。部屋から人を出すための音の設計になっているからだろう、いたたまれない。

火災報知器が鳴ると、電気が止まる。電気が止まるとエレベーターが止まる。水道止まる。トイレ使えない。
16Fから1Fまで階段で下りたが、あれはこたえた。
結果、何もなかったので部屋に戻ることになったが、エレベーターは混むので階段上がった。こたえた。

便利の裏側には同量の重荷も背負ってるとわかった。

バリ島から帰る朝、その日はニュピだった。地元のお祭りで、静寂の日。何か起きそう、と思ってたら停電した。停電すると、空港が動かない。航空チケットの照合もできない。

おかげで、トランジットのジャカルタ空港から乗ってきた乗客たち、自分の席がなくて困ってた。ぼくは座ってたが、正直、その席で合ってるのか、合ってないのか、よくわからなかった。こういう時、ガルーダ・インドネシア航空の客室乗務員はきれいにどこかへ消える。

実は月曜日発熱した。翌火曜日から出張だ。検査は陰性だったが、37.8°あるからこんなので新幹線乗れないし、ホテルも泊めてくれないし、そもそもクライアントさんオフィスに入っちゃいけない。
了解いただき、ぼくだけオンラインで参加となった。火曜日、水曜日、木曜日と、オンラインでミーティングした。金曜日、土曜日、お休みもらって、一日寝てた。今朝ようやくなんとか動けるようになった(平熱)。徒歩で会社来てる。

発熱時、子規のこの句が響いた。

ネットでつながりっぱなしである。誰でもぼくとダイレクトにつながれる。しんどいときは、「重荷」に感じる。これ、ぼくに限らず、SNSでつながりっぱなしのみんなも同じ感じ、あるんじゃないかな。

さて今日は、そろそろ重荷おろして、昼寝します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?