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Vol.24「動画の中にいる人の目線になって観察すると、キヅキはもっと膨らむかも!?」プロダクトデザイナー・檜垣万里子さんのワークショップレポート

桜前線が日本を一気に北上していますが、新生活が始まってワクワクドキドキな日々を送っているこどもたちもたくさんいると思います。さて、2022年度最後となった今回のワークショップは春休みも終わりに近づいた3月30日に、プロダクトデザイナーの檜垣万里子さんをキヅキセンパイに迎えて開催しました。
プロダクトデザイナーという仕事について「実際に人々がどういう商品が必要かということから考えて製品を提案したりする」とインタビューで説明してくれた檜垣さん。キヅキランドでは誰かの見方や視点を知ることを「メガネを借りる」と言っていますが、今回は、そんなプロダクトデザイナーの“メガネ”をお借りして、ワークショップを行いました。
まずは腕慣らし、ということで最初にみんなで見た動画は、新作(!)の「ドラムの演奏、いろんな角度から」。まずはみんな自分の“メガネ”で挑戦です。

画面の中の違和感に気づいたら、次はディテールへ

「ドラムが何かは知っていても、実際に叩いているところをじっくり見たことはみんなもないかもしれないなあ」と科学コミュニケーターの本田さん(本田さんはワークショップの司会進行役で檜垣さんとワークショップに参加です)。
動画はドラムセットに座る男の人が一人ドラムを叩く姿を撮影したもので、しばらく見ていくと正面だけでなく、上や横からもその姿がとらえられていることがわかります。さらに、手元、上、正面、横と4つのカメラが撮影した映像が同時に画面に! 観察するものがたくさんありそうです。
「フフフ……みんな、同じものが気になったみたいですね」と檜垣さんが指摘したのは、動画のはじめに画面の右側に写っていたこちら。

「人?」え、どれ?……なるほど!

見えますか? 確かに人のような、なにか足がにょろんとしているものがあります。「何?」という書きこみのほかに、「カメラ?」という意見も。
「お、気づきましたねえ。みんなももう少し先まで見ると、これが何かということがわかるかも!?」(本田さん)
みんなそれぞれに動画を見進めていくにつれ、キヅキが広がっていきます。
「あ、これもかわいいキヅキです!」(檜垣さん)

バスドラムに目を描いたニャーコさんに「口みたいですね!」となのさんが重ねます

そしてだんだんと、演奏する人の動きにもキヅキがふくらんでいきます。

「ばってんになっている。」見るアングルを変えるとわかるね!

前や横からはわかりにくいですが、確かに上から見た画面を見ると、ドラムを叩く手が交差しています。さらに、シンバルにある「穴」にも注目。

「穴が空いてる!」どこどこ?……ほんとだ、たくさん!

「なんででしょうねえ。檜垣さん、プロダクトデザイナーから見てこの穴はなんだと思いますか?」(本田さん)
「うーん、なんでしょう。よくプロダクトデザインでは、軽量化するために穴を開けることがあるんです。専門用語で“肉抜き”っていうんですけど、これは楽器なので軽量化というよりは音に影響がありそうですね」(檜垣さん)
「そうかもしれません。気になった人はぜひ調べてみてください!」(本田さん)

画面の中のマヌルネコの気持ちになって想像してみる

と、場が温まったところで、次のムービー「マヌルネコこっちくる」にキヅキを探します。那須どうぶつ王国にいるマヌルネコの様子を撮影したもので、もふもふのマヌルネコののんびりした動きがキヅキランドでも人気の動画。
今回もみんなはそのマヌルネコたちの動きにまず注目が集まりましたが、猫を飼っているこどもからはこんなキヅキも!

「うちの猫もっとはげしい」このマヌルネコ、ちょっとおっとりしてますよね。

「じゃあ、次はこのマヌルネコの気持ちになって、この広いマヌルネコの住まいにどんなものがあったらいいか、マヌルネコに必要なものはなんだろう?と考えてみませんか? 文字だけじゃなくて、絵でもいいですよ」(檜垣さん)
という呼びかけに、こどもたちはキヅキをふくらませていきました。

「檜垣さんは猫を飼っているということですけど、実際に猫の気持ちになってものをデザインしたりしたことあるんですか?」(本田さん)
「猫のプロダクトをデザインしたことはないんですが、家の中では猫が快適に過ごせるように工夫したりしています。たとえば、出窓があるんですけど猫がジャンプするにはちょっと高すぎるのでスツールを置いてあげたり。そうすると上手にそれを使って出窓に上ったりしていますよ」(檜垣さん)
とおしゃべりしていたら、同じアイデアで画面にある道具を描いてくれたこどもが!

「(はしごの絵)」これは便利!

「ちょうど登りたそうにマヌルネコが見ていますよ!」(本田さん)

「つめといだから毛もときたい(ブラシの絵)」お手入れアイテムが増えます!

「爪をといでいるマヌルネコにブラシを描きそえてくれました!」(檜垣さん)
「もふもふの毛が生え変わる夏にはこれがあれば快適ですね!」(本田さん)

相手の気持ちになってみると、見えてくるものがまた違ってくる。なるほどプロダクトデザイナーの視点で、みんなのキヅキがふくらみます!
そこでもう1本、新作の動画「カレーうどんを食べる」を見てもらって、みんなに「解決策」を考えてもらうことにしました。

カレーを食べる2つの動画。違いはなんだろう? どうしたらいいだろう?

この動画は、2つの画面が並んでそれぞれの食べ方でカレーうどんを食べているのですが……

右の人が食べる姿に「あっ……」「あぁぁぁ」と、悲鳴が……!

……と、白いシャツに、カレー汁が飛ぶ! という、みんな身に覚えのある事件が起きます。この動画を見て、みんなでキヅキをふくらませてみました。

「エプロンして!!」確かに!

檜垣さんも参戦!

「カレーもようの服」なんと!

すると、こどもたちのアイデアもふくらみます!

「(服を黒くすれば)OK」がんばって塗りました!
「お皿を持ちましょう!」そうですね!
「じゃあ食べ物を変えましょう!そうめんにしよう!」白い服の時はカレーうどんは×ですね!

他にも、「はやく洗って!」「しろいカレーにして!」「水がない」など、「カレーうどんを食べる」時の“こうすればいい!”というキヅキがいろいろ書きこまれました。


「さて、今日は3本の動画を観察しましたいかがでしたか?」(本田さん)
「ワークショップの中で、みんながどんどん“あったまってきている”のを感じました。始めの頃より後半の方が何かを発見するのが早くなったり、いろんなアイデアが出てきたり」(檜垣さん)
「確かに。どこかにグッと注目するもよし、全体を通して見るもよし。檜垣さんご自身、『どうしてこういう形なんだろう』とか『どうしたらもっとよくなるかな』とか、普段ものを見る時ってこういう観察してるんじゃないですか?」(本田さん)
「はい、してますしてます! 特に今回は“みんなで”同時に同じものを見て、気づいたことをどんどん書きこんで共有することで、いろんな見方があることがとってもよくわかりました。思いかけないキヅキもあって、楽しかったです!」(檜垣さん)

今回は、マヌルネコの気持ちになって考えたりカレーうどんを食べる時の解決策を考えたり、また新しいものの見方、考え方を体験することができました。
普段の生活の中でも、ちょっと想像をふくらませたり、自分じゃない人の目線になって考えてみたりすることで、いろんなキヅキが見つかるかもしれませんね。

檜垣さん、本田さん、ありがとうございました! 参加してくれたみなさんもどうもありがとうございました!

今後も引き続きワークショップを開催する予定です。詳細が決まり次第お知らせしますので、ぜひ、キヅキランド公式TwitterPeatixをフォローしてください!
なお、当日のワークショップの様子はこちらでご覧いただけます!


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