いつもより、1mmだけやさしくする。
バスでの通勤が少し苦手だ。
人がたくさんいるし、なんかどよーんとしていて、
別に嫌なことがあったわけでも無いのに、気持ちが勝手に塞ぎ込む。
雨の日は特にそうだ。
少し暗い車内とじめじめが、陰鬱な気分に一層の拍車をかける。
雨が続いた8月3週目、
そんな事を考えながらバスに乗っていた少し沈んだ僕を、
明るいところへ引っ張りあげてくれる出来事があった。
「いってらっしゃい」
バスの運転手さんのたったこれだけの言葉だった。
目的地に到着しては、次々に下りていく乗客を、
ほんとうに一人ひとり丁寧に送り出していた。
正直、別に誰も気に止めていない。
止める必要もない。
ぶっちゃけ、大多数の人の日常になんの影響も与えない瞬間に、
僕は救われたのだ。
とても素敵だと思った。
思えば、発着時のアナウンスもとてもやわらかかった。
声を届けようという意思を感じた。
たぶん、この人はプロだ。
朝のバス、
働く人々を運ぶという意味を、
きっとこの人なりに解釈しているのだろうと思った。
なんだか僕は嬉しくなって、
いつもより、ゆっくり、
「ありがとうございます」
と言ってバスを降りた。
1つの気配りで、心があたたかくなる瞬間ってありませんか。
その相手が大して親しくも無い、全然知らない人だったとしても。
振り返ってみても、
なんであんなに些細な言葉だったのに、
元気をもらえたんだろうって。
逆に、自分が誰かに優しくした時に、
「あ、いまの自分、とても好きだなあ、良いなあ」
って思う時もありませんか。
あ、こっちはあんまり無いですか、なんかすみません。
とてもナルシスト的な考えかもしれませんが、
僕はそう感じる時があって。
”誰かに優しくすることで、自分自身を勇気づけているんだなあ”
と勝手に解釈しています。
すごい壮大な話ですけど、
僕たちって意外と簡単に誰かを救って、意外と簡単に傷つけているんだなと思ってます。
もちろん、自分のことも。
まあだから、行動や発言に責任を持とう!とかもっと周りを見よう!とか
そうゆう事を言いたい訳では無くて。
ほんのちょっと、たとえば1mmくらい。
いつもより、他人にも自分にもやさしく生きてみるのってありかもなあってことです。
できる範囲で、ゆるく。
とりあえず、僕は、
あいさつを元気よくしたり、
お礼はしっかり目を見て言う、
なんてことから心がけてみようとおもう。
もしよかったら、一緒にぜひ。
Shall we...?
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