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あの子の香りを、私のものに

『あの子の香りを、私のものに』



STORY

ー羨ましい。あの子が羨ましい

気にするな、私は私。あの子は、あの子。
そう思っても、気付けばあの子を目で追っている。
なぜか比べてしまう。

あの子だけには負けたくない。
あの子みたいになれたらな。

密かなライバルであり、永遠の憧れ。
そんなあの子の香りを、尊敬と少しのジェラシーでつくりました。

一瞬の香りを、永遠に漂わせて。
あの子の香りを、私のものに。


PRODUCTS

「ハナは8歳」
ハナちゃんは天然パーマ。
あの子が振り向く時、綿あめみたいにふわふわなツインテールがぽんっと弾むのがかわいかった。
耳の後ろには大きなピンクとキイロのビーズ。
お気に入りのヘアゴムなんだって。
飴玉みたいできれいだな。
私はハナちゃんみたいにふわふわな髪じゃないし、ミニバスを始めたからそもそも髪の毛きっちゃった。
だからつい、言っちゃったんだ。
―天パ、かわいそう

note:コットンキャンディー・ストロベリー・パイナップル・唐辛子

「16歳のノゾミ」
―告白されちゃった
戻ってきたノゾミは私に言った。
数分前、先輩に、ノゾミちゃん呼んでくれる?って言われた時に、全部、分かってしまった。
私の恋が終わったこと。
大好きな先輩は、ノゾミの彼氏になること。
そして二人はベストカップルだねって人気になること。
私が、先輩や周りの人にこれから、ノゾミちゃんの友達の……って言われること。

note:レモネード・イエローローズ・キク・海

「才能あるヒナタ」
友達の友達にヒナタという子がいる。
話を聞くに、ファッションディレクターという仕事をしているらしい。
ある日、彼女が立ち上げたお店のHPをのぞいてみた。
ショートヘアの黒髪。真っ赤な唇。真っ直ぐ伸びた背中。細い体。
優しく笑う彼女の写真。
その雰囲気は柔らかくも凛としていて、……とても魅力的だった。
私は夢中でHPや彼女のSNSを見漁った。
彼女は創造的で、独特で、繊細で。
まるで彼女だけ別世界で生きているみたいだった。
彼女を通して世界を見れば、何もかもが美しく見えてくるようなー……
いいな、そういう考え方って素敵。
いいな、そんな生き方って……
……素敵。

note:ハーブ・リンゴ・シナモン・竹・ホルムアルデヒド


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