爆弾とマシンガンの音でホテルの窓が揺れ、ついにイスラム国に囲まれたと…
これは私が講演の中でよく紹介する、私が実際に体験したエピソードです。イラク、ベトナム、アメリカと5年かけて三か国で色々な仕事をしてきたからか、日本に帰国してからはいろいろなところで講演に招かれることが多いです。
今は経営コンサルタントとして仕事をしているのでクライアントにプレゼンテーションをすることも多いのですが、ビジネスシーンで企業や政府のお偉い方々に説明をするのと、高校生や大学生などの若い方々に講演でお話をするのとでは話のアプローチが全く異なると感じます。
ビジネスでは、いわゆるロジカルな組立てが好まれ、結論を頂上に、それを支える論拠がぶら下がるピラミッドのような構造を意識します。データや分析に基づいて結論を明瞭かつ簡潔に話します。
高校生に話すときは、同じような話し方をしても面白くはありません。ロジカルな構造よりも物語を大事にし、主観に基づいた感想をより多く言うようにしています。特にエピソードが持つ力は強いと感じます。一人の人間の死は悲劇だが、数百万の死は統計上の数字でしかない、とスターリンが本当に言ったかどうかは定かではありませんが、聴衆の頭の中に映像が思い浮かぶような話ができ、かつそれが彼らにとって面白ければ、それはきっと長く彼らの記憶に残ってくれるのではないでしょうか。
ちなみに冒頭のエピソードの続きが気になる方は講演か居酒屋でご一緒させて頂いた際にでもお尋ねください。
真鍋希代嗣 東京在住
※この文章はワシントンDC開発フォーラムに2020年2月に寄稿したエッセイを「物語の力」一部修正のうえ転記したものです
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