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桜区一家無惨帳

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一体何をどうしようというのか。
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2018年11月の記事一覧

ギロチナイゼーション 1582 パート2

ギロチナイゼーション 1582 パート2

 男は空間から隔絶された部屋の中で、牢獄の様子をじっと窺っていた。白亜の部屋には時の流れもなければ距離もなく、ただ意思だけ、男の意思だけが横溢していた。ゆえに部屋は時空間の制限を受けず、主の望む方へ舵を切ることができた。部屋は男をギヨタンの幽閉された牢へと運んだ。彼がそこへ向かったのは煮えたぎるような憎悪のためだった。

「聞けギヨタンよ」男の無貌の顔に開いた口は、それ以上開きもしなければ閉じもし

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ギロチナイゼーション 1582 パート1

ギロチナイゼーション 1582 パート1

 焼け落ちんとする本能寺は炎の中で光り輝いていた。

 信長はじっと畳の上に座するがまま。目前には一本の小刀が横たえられている。手勢が謀反人の軍勢に勝てぬと見るや殿中に引き返し、ここを終焉の地と決めた。その戦の音も今は遠い。彼の耳に届いてくるのは周囲を焼き焦がす火の音と、今にも押しつぶされようとする梁の軋む音だけだ。

 彼が割腹した後は、燃え盛る火が介錯人の代わりとなろう。言うなれば自らの野望に

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