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デザインリサーチを通して一番学んだこと

Xデザイン学校マスターコースでの学びの振り返り。前回、今回はユーザー調査ということで、ダブルダイヤモンドの前半部分を進めています。

リサーチ計画をたてる=目的が明確になる

私たちのグループでは、移住やワーケーションに関わる調査として、移住経験者や移住に興味がある人へインタビューを実施しました。幸い、メンバーの中にユーザー調査を本業にする方がいてしっかりリードしてもらえたので、本格的な調査計画書を作って臨むことができました。ありがたい。この計画をたてるプロセスを通して、調査目的についてのディスカッションが進み、クリアになっていくのだなと実感できました。インタビュー結果の整理も手早く行え、結果から気づきを拾うことに集中できたと思います。何事もかもしれませんが、ほんと準備が大切。

調査結果から価値を見つけ、ユーザ像をつくる

インタビュー結果から、価値を抽出していくところでは、KA法を使ってみました。一つの行為から一つの価値を抽出していくので、上位下位関係分析よりも細かく価値を抽出できるのがメリット、との説明には納得です。自らインタビューした人について分析をしましたが、価値を概念化していくことで、その人が何を大事にする人なのか、より理解が深まりました。
インタビュー結果から、共通する価値を見出していき、ユーザ像をつくっていく過程では、自分の仮説を入れず、ありのままの事象を整理していくことが重要だと思いますが、価値を抽出した後、ユーザー像を設定していく作業では、どこか感情移入できるというか、”この人、何とかしてあげれないかな”みたいな気持ちが芽生えてくる人を選んで設定していたような気がします。これもリサーチの結果から得られるインスピレーションの一つでしょうか。

デザインリサーチとマーケティングリサーチの違い

さて、リサーチのフェーズは一旦終わりということで、改めてサービスデザインにおけるリサーチについて振り返りをしようと、講義の中で紹介のあった『デザインリサーチの教科書』を読みました。

私は、本業ではマーケティングをしているので、デザインリサーチとマーケティングリサーチの違いについて述べられている章はとても興味深かったです。確かにマーケティング施策を立案するときに、似たような手法(ぺルソナやカスタマージャーニー)を使うので混乱するのですが、何が違うのかスッキリ言語化ができていませんでした。本書では、そもそもの目的が違うというご指摘からこの章が始まります。

マーケティングリサーチでは、マーケットの状況に応じて、既存の製品やサービスをどのように改善すればより消費者にとって受け入れられやすくなるかを探るために実施されることが多い。一方で、デザインリサーチは新しいプロダクトを創出するために、あるいは既存のプロダクトを改善するために、言い換えれば新たなイノベーションを起こすために実施されることが多い。(抜粋)

ここでいうプロダクトにはもちろんサービスも含まれるという理解でいいと思いますが、この目的の違いによって、リサーチ対象も変われば、何に注目するのかも変わってくるということなんですね。こう書くと当たり前ですが。

如実に違いを実感したのが、観察調査の練習として行ったスーパーマーケットでのフィールドワークです。ネットショッピングのヒントを得るためにリアルなショッピングの現場を観察しようというものでした。何を見るかは以下の通り。人間を見ましょう、ということです。

3つの観察対象
・人間を観察する
・人間の活動、タスクやインタラクション(操作)を観察する
・モノ、空間や環境を観察する

行き先は最寄りのスーパーです。週に何度もいく馴染みのお店です。実際に行ってみると、これまでいかに自分が人間を観察していなかったかが分かりました。”人間観察が好きです”なんて言っていた自分が恥ずかしくなるくらい、これまで買い物客を観察したことがなかったことに気づきました。

これまで自分は何を見ていたのか?商品や値段、POP、どこに何が置いてあるかのレイアウト、棚割り、レジ作業のプロセス・・などです。唯一見ていた「人間」は店舗のスタッフの方でした。つまり、自分の買い物の目的以外は、「店舗の運営」という観点でしか見ていなかったんです。

自分以外のユーザーを見ていない、という気づきに愕然としました。マーケティングリサーチとデザインリサーチの違いはこういうことなんだと、自分の中でものすごく腹落ちしました。いつも見る風景を視点を変えて見る、ということが、こんなに身近なところでもできるということにも気づけたのも良かったことでした。

Xデザインにお世話になって3年目。ようやくこんなことに気づくとは情けない限りですが、ヘレン・ケラーの ” Water!! ”並みの発見があったので、ここに記しておきます。まだまだ学びは続く・・

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