青りんごとパーパス
昨夏オープンした「こども本の森・中之島」にようやく行くことができました。ようやく、というのは、密を避けるための人数制限と事前予約制、土日は子連れのみOK、大人だけの参加は平日に限定、開館時間は17時まで、という、サラリーマンにとっては意外と狭き門だからです。いつも満席で予約も取りづらく、空きがでていないかマメにチェックし、やっと予定が合いました。
この図書館のエントランスには、大きい青りんごのオブジェが鎮座しています。そしてその傍には、サミュエル・ウルマンの「青春」の詩と、建築家の安藤忠雄さんから「未熟で酸っぱいが明日への希望に満ち溢れている青リンゴの精神を目指したい」とのメッセージが。子ども向け図書館だけど、大人こそ明日への活力を絶やさないようにここに来て、と言われているようでした。
この「青春」という詩。ウルマンが70歳の頃に書いたものらしいです。「年をとるから老いるのではない、人は理想を失ったときはじめて老いるのだ。要は心の持ちようが大事である(私の意訳)」と、年を重ねた大人だからこそ書ける内容になっています。私がこの詩に出会ったのは10年くらい前、グループ会社に出向していた時代に当時の社長が引用していたことからでした。当時は、年配の人が(失礼)この詩を引用することに、何か負け惜しみみたいなこと言ってるなあと思ったものです。ひどいですね。
思い返せば、当時はなんとなく社内に閉塞感が漂い、平均年齢も高齢化していく一方だし、どこか目標を見失っている病んだ状態がありました。会社の組織も夢や理想を失うと、そのまま「老い」ていってしまう。いや、すでに老いていたのかも。社長として何とかせねばという自戒を込めたメッセージだったのでしょう。
今、ますます「パーパス」が重視される時代。その企業が何のために存在しているのか、そして、社員一人ひとりが何のために働いているのか腹落ちしていること、提供するサービスやプロダクトにもその思想が反映されていること。今の世の中のアジェンダに紐づくパーパスですべての企業活動が貫かれていることは、社員がいきいきと働くための必要条件と言ってもいいかもしれません。
その後、ビジョンやバリューの見直しがなされ、5年くらいたってようやく社内に浸透してきた感じがしています。風土や文化を変えていくには時間がかかる。始まりはすべてパーパスから。
心に活力が欲しくなったら、この青りんごを見て思い出そう。
サミュエル・ウルマンの「青春(原題:YOUTH)」はこちらをご覧ください。英文の方が分かりやすいと思います。
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