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仙腸関節障害~関節内・関節外病変の疼痛解釈とアプローチ~

こんにちは!腰痛マガジンメンバーのこじろう(@reha_spine)です。

前回は、仙腸関節障害の特徴やその他の疾患との鑑別についてまとめさせて頂きました。

今回の内容は「仙腸関節障害の疼痛解釈」について深堀していきたいと思います。

仙腸関節障害は関節面の問題だけでなく、神経や靭帯との関連性も強いため、疼痛解釈が複雑になりますが、「関節内」「関節外」に分けて疼痛を解釈していくことが重要になります。

今回の記事は特に以下のような方にオススメな内容となっております!

✔︎ 仙腸関節障害の疼痛について原因組織の理解を深めたい方
✔︎ 仙腸関節内(関節)と関節外(神経、靭帯)との疼痛について理解したい方
✔︎ 仙腸関節由来と神経根由来との鑑別について学びたい方
✔︎ 仙腸関節障害に対するアプローチについて学びたい方

では本題に移っていきましょう!



▶仙腸関節内の疼痛

仙腸関節性疼痛に着目した研究をみてみると以下のように報告されています。

①慢性腰痛者213名においてX線評価により、仙腸関節炎の存在を横断的に調査した研究では31,7%の腰痛者は仙腸関節の変性または関節炎を有していた。
②腰椎固定術後に症状が3ヶ月以上継続する腰痛者のうち仙腸関節に起因する疼痛を疑われた130名のうち、関節腔内ブロックで除痛が得られたのは21名(16%)であった。1)

①,②より仙腸関節腔内の変性や炎症は腰痛と関連していることが示唆されます。



更に、仙骨ならびに腸骨の各々の耳状面には侵害刺激を感受するサブスタンスPを認めることや、仙腸関節尾部は変性や関節腔の狭小化が生じやすいといわれています。


また、歩行時の仙腸関節面の荷重部位としては,立脚初期~中期では耳状面の腹側上部が接触し、立脚終期では耳状面の背側下部が接触すると報告されています。

これらのことから、仙腸関節内の疼痛の解釈としては、関節内の炎症や変性を基盤とし、そこに荷重ストレスや刺激が加わった際に疼痛が誘発されると理解できます。



仙腸関節内の特徴的な症状としては、

✔立位時の極端な疼痛回避姿勢
✔歩行時の強烈な荷重時痛

が特徴的であり、このような病態では運動療法では改善できず、ブロック注射が適応になります。


▶仙腸関節外の疼痛

実際に臨床で多く遭遇するのは関節外病変であることが多いです。

関節外である後方靭帯へのブロックは関節内ブロックに比べて有効例が多いことや関節内ブロックに後方靭帯ブロックを追加すると疼痛の軽減に有効であったと報告されています。


では、なぜ後方靭帯にブロックを行うと有効なのでしょうか?


ここからは、「後方靭帯に負荷がかかりすぎるとなぜ仙腸関節へ痛みが出現するのか?」ということについて説明していきたいと思います。



そもそも仙腸関節面の特徴的な形態として、関節面が垂直に近く、靭帯群は剪断ストレスを受けやすくなります。


そして以下の後方靭帯へ負荷が増大します。

・短後仙腸靭帯
・長後仙腸靭帯
・骨間仙腸靭帯


下のイラストのように後仙腸靭帯は表層を、その深層部に骨間仙腸靭帯が存在します。

後仙腸靭帯と骨間仙腸靭帯は荷重の影響を強く受けます。特に後仙腸靭帯は侵害受容器が多いといわれています。

また、骨間仙腸靭帯が付着している領域で靭帯がわずかに隆起していたり、付着部に骨化などの変性所見が認められ、靭帯への機械的ストレスが生じていることが示唆されています

また、仙骨神経後枝外側枝は隣接孔の各枝と一緒になり、後仙骨孔に入った後に後方の靭帯群に向かって走行します。

そして、上のイラストのように後仙腸靭帯と骨間仙腸靭帯との間を、仙骨神経の後枝外側枝が走行し、各々の靭帯に終末します。

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