Hip spine Syndrome 〜前額面と矢状面におけるアライメントチェック〜
こんにちは!腰痛マガジンメンバーのこじろう(@reha_spine)です。
前回はHip Spine Syndrome(以下、HSS)について以下の点についてまとめました。
✔︎ HSSの4つのパターン
✔︎ 姿勢を確認する上で重要となる「C7垂線:C7 plumb line」
✔︎ 「Spine to hip」と「Hip to spine」について
HSSの4つのパターンについておさらいしておきます。
① Simple hip-spine syndrome
「股関節、脊椎の両方に病変を認めるが、いずれか一方が病状の主原因である場合」
② complex hip-spine syndrome
「股関節、脊椎の両方に病変がみられ、主原因が不明瞭な場合」
③ secondary hip-spine syndrome
「股関節、脊椎のいずれかに主病変があり、その病変が他方に影響を与える場合」
④ misdiagnosed hip-spine syndrome
「股関節、脊椎の主原因を誤診し、誤った治療を行った場合」
今回はこの中の、「③ secondary hip-spine syndrome」に関連した、骨盤(股関節)と腰椎のアライメント評価についてまとめていきたいと思います!
今回の記事を読んで頂くと、骨盤傾斜と腰椎前弯の関係性について理解が深まり、より詳細に姿勢分析と腰痛解釈が行いやすくなります!
今回の記事は特に以下のような方にオススメな内容となっております!
✔︎前額面と矢状面におけるアライメントのチェックポイントを知りたい方
✔︎骨盤傾斜と腰椎前弯との関連性について学びたい方
✔︎姿勢分析から腰痛の原因を考える力をつけたい方
また、以前にも腰痛マガジンにてHSSについての記事がありますのでこちらの記事もぜひ参考にして頂きたいと思います!
では今回の内容に移っていきましょう!!
▶︎前額面での姿勢のチェックポイント
前回の記事では矢状面上にてアライメントを評価する際に用いるC7垂線(C7 plumb line)についてご紹介しました。
まずは、矢状面上でのC7垂線について復習しておきましょう!
【C7垂線;C7 plumb lineについて】
C7垂線(C7頚椎の椎体から下ろした垂線)が股関節中心の後方(仙骨底後縁)を通ることが理想的であると考えられています。
では今回の内容でもある、前額面においてC7垂線を指標にアライメントを確認していきます。
前額面では、「C7垂線と仙骨の中心からの鉛直線であるCSVL(central sacral vertical line)が一致する」のが理想的な前額面でのアライメントになります。
腰痛マガジン Lee:「Hip-spine syndrome~骨盤帯から脊柱アライメントを考える~」より引用
側弯症などでC7垂線が左右のいずれかに偏位すると、偏位した側の股関節への負荷が増大します。上の図では右側にC7垂線が偏位しているので右股関節への負荷が増大します。
逆に、股関節OAなどで下肢の短縮がある場合には、脊椎の側弯によって代償しようとすることで、脊椎への負担が大きくなります。
脊椎の可撓性が十分ある場合には、C7垂線はCSVL上に一致するように代償が生じますが、乏しい場合にはC7垂線は短縮した側に移動し、脊椎と股関節の各々に影響を与えることが考えられます。1)
▶︎「Hip to spine」〜股関節異常が前額面脊椎アライメントに及ぼす影響〜
股関節疾患を有する患者が脊椎疾患を併発することはしばしばあります。
股関節異常が脊椎アライメントに影響を及ぼす、いわゆる「Hip to spine」の病態もHSSの特徴になります。
また、術前に脊柱側弯を有する変形性股関節症患者の79%が人工股関節全置換術(THA)により、側弯が改善したとの報告もあり、股関節の異常が脊柱の前額面アライメントに及ぼす影響は大きいと考えられます。
特に前額面での脊椎アライメントには脚長差が影響を及ぼすことが指摘されています。
前額面のアライメント指標である、C7-CSVL(C7垂線-仙骨の中心からの鉛直線)は脚長差と低い正の相関(r=0.35)が認められています。2)
C7-CSVLは大まかに体表からでも確認しやすいと思います。そのため、前額面からアライメントを確認する際の第1ステップとしては、脚長差や側弯、C7-CSVLを確認するのが個人的には良いかと思います。
そしてその後に詳細なアライメントチェックを行っていく方がスムースかと思います。
▶︎変形性股関節症と矢状面アライメントの関係性
脊椎矢状面アライメントの指標の1つでもあるSVAはJOA hip scoreのROMスコアと低い負の相関(r=-0.37)、OAの病期と正の相関(r=0.52)が認められています。つまり、股関節の変形とROM障害は脊椎の矢状面アライメントに影響を及ぼすことが示唆されています。2)
【SVA】
・C7椎体中央を通る垂線(C7垂線)とS1後上縁との距離
・理想的なアライメントとしてはSVA<5cm
▶︎矢状面における骨盤回旋と脊椎アライメント
矢状面における脊椎アライメントを評価する場合には、胸椎後弯角や腰椎前弯角などがよく指標にされますが、骨盤の回旋(前傾・後傾)を含めた全体のアライメント評価が腰痛を解釈する上では重要となります。
骨盤の回旋を評価する際に参考になるのがJacksonらの方法になります。3)
評価方法をご紹介します。
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