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【読書感想文】#4 9割の社会問題はビジネス解決できる


ソーシャルビジネス
という言葉の認知度が上がってきている中で、その日本のトップランナーと言えばボーダレス・ジャパン

代表の田口さんの初の著作となる本書には、ソーシャル・ビジネスだけで売上55億円のすごい仕組みについて書かれています。

この本を私的に一言で表すと、

社会課題解決を持続可能にする本

です。

それでは、感想文の本文へ

↓↓↓

私は本書を読む前、世界の社会課題を解決するためにNGOやNPOが素晴らしい活動をしているけど、その活動は持続可能だろうか?という疑問を持っていました。

活動の資金源を寄付や助成金などで賄うNPOは資金繰りに困ることが多々あります。
人の役に立ちたいと自分の時間、お金を使って活動することは素晴らしい。
でも、それはずっと続けられるだろうか?

また、そうやって始めた活動を自分ができなくなった時に誰が次の担い手になるのか?という問題はかなり大きい。
若い世代が社会課題を解決したい!という気持ちがあっても仕事としてできなければ、あるいは十分な対価を得られる仕事でなければ担い手にはなれない、、、

それに、一度始めたからには、その支援を頼りにしている当事者の人たちがいる。
例えば、「子ども食堂をやるためのスタッフがいなくなったので、もう支援はできません」もしくは「団体の資金が底をついたので活動をやめます」とは言えない。
そこには始めた責任が伴う。

こんな問題意識を持っていた中で、ソーシャルビジネスという言葉に出会う。
ソーシャルビジネスとは、従来のビジネスのようにマーケットニーズがあって儲かるからやるのではなく、「儲からない」とマーケットから放置されている社会課題を取り扱うものです。

具体的には、貧困、難民、過疎化、ジェンダー不平等、教育格差、食品廃棄などなど、これらは解決すべき課題ではありますが、取り組んだからと言って儲かりやすい分野ではないため、取り残されてしまいます。
ソーシャルビジネスはこれらの社会課題をビジネスとして解決することを目指します。

ビジネスを手段にして社会課題を解決する。

これはかなり持続可能だと思い、学びたいし、実践したいと思いました。

前置きが長くなりましたが、私が本書から得た一番の学びはソーシャルビジネスにおいて、最も大事なのは「ソーシャルコンセプト」であるということです。
本著では大原則として「ビジネスモデルの前に、まずソーシャルコンセプト」と書かれています。

このソーシャルコンセプトとは、簡単にいうと「誰のどんな社会問題を解決して、どのような社会を実現したいのか」を表したものです。
ソーシャルビジネスは社会変革を起こすための手段であってビジネスそのものが目的ではありません。
社会起業家本人がつくりたい社会像が明確か、そして本気でその理想の社会を実現したいと思っているか、にかかっていると著者は述べています。

では、ソーシャルコンセプトを考えるには具体的にどうすれば良いのか?
それは、社会問題の「現状(誰のどのような問題なのか)」「理想(どんな状態が理想なのか)」、「対策(どのような方法で実施するのか)」を徹底的に考えると書かれています。
その中でも「現状」の解像度を上げ、本質的な問題の原因を分析することが重要です。

では、その本質的な原因を探るためにはどうすれば良いのか?

それは対象者の顔がはっきりと見えているかをチェックする必要があると述べられています。
「アフリカの教育が受けられない貧困家庭の子どもたちのために、、、」という抽象的なものではなく、「アフリカ・マラウイのエディンゲニ村の小学生のルーシャのために、、、」としなければ、彼ら彼女らが直面しているリアルは見えない。
「現状」の解像度が低い場合、本質的な原因にはたどり着けないことになります。

これは私がJICAの事業でアフリカ・マラウイにいた時も非常に強く感じていたことで、この点について強く共感しました。
「世界に10人に1人が貧困状態」というような統計的な数字だけで物事を見るのではなく、そこに固有名詞(名前)があるのか、人の顔が見えるのか、を大事にする必要があると改めて強く感じました。

そして、「理想」のチェックポイントとして、景色として目に浮かぶか?があります。社会問題を解決した先に実現したい理想の姿がまるで景色を見るように鮮明にイメージできているかが大切と述べられています。
色付きで景色が見えるようにするまでは、やはり対象者の顔がはっきり見えていて、その人たちがどのように変化していくかをイメージしていくことが必要。
これには、自分が対象者の気持ちになって、ひたすら仮説⇄検証を繰り返しながら、想像力を働かせていく必要があると思います。

最後の「対策(HOW)」については、本当に原因に対する対策になっているか?をチェックする必要があると述べられています。
対策は原因に講じてこそ、効果を発揮するもの。
課題の裏にある本質的な原因を把握し、そこにしっかりと対策を当てていく。
「原因-対策」がちゃんと一対になっているかを意識することが重要と思いました。

著者の田口さんは本書の中で、「イケてないソーシャルコンセプトにならないように、”本当のようなウソ”に気をつけるべき」と述べています。
この言葉に、当事者のことを把握できていない上っ面だけのいかにも理想的なソーシャルコンセプトにならないよう自分を常に戒めようと思いました。

本著を読んで、やはり自分はソーシャルビジネスをやりたいと強く心に決めることができました。
社会課題解決という目的のために、ビジネスという手段を使う。
子どもの貧困、若者の社会的孤立、日本に住む海外人材の問題、過疎化などなど課題先進国の日本においてこそソーシャルビジネスは必要だと思います。

自分が世界や社会をより良くするためのリソース(資源)となれるよう、まずはソーシャルコンセプトをしっかりと作り上げていきます!

本著がきっかけにソーシャルビジネスが広がれば、日本は、世界はもっともっと良くなると思います。
社会のために何かできないかなと思っている人は、ぜひ、手にとってみて下さい!
以下のリンクから本書の購入ページにいけます。

「9割の社会問題はビジネス解決できる」
田口一成著、PHP研究所

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