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これからデザイナーを目指すみなさんへ。ブランドデザインの考え方

この記事は、NOT DESIGN SCHOOL Advent Calendar 2023の13日目です。

現代におけるデザイナーは、手掛ける分野が多様で、一つの型に収まるものではありません。極端に言えば、デザイナーごとに型が異なると考えて良いと思います。
この記事は、そんな多様な広がりの中でデザイナーになろうと頑張る皆さんのヒントとなるよう、私の肩書でもある「ブランドデザイナー」の仕事について、ざっくばらんに書いてみよう、という試みです。


この数年、デザイン界隈ではブランディングという言葉がよく聞かれるようになってきました。

しかし、この言葉も「デザイン」という言葉同様、意味するところが広く、例えばロゴデザイン単体を指してブランディングということもあれば、マーケティングの一環としてブランディングということもある、など、多種多様でとらえどころがない言葉になっている。そのように感じます。

よく知られた話で言えば、「ブランド」とは、北欧の古い言葉で牛などの家畜に自分のものだとわかるように焼印を捺した行為を「ブランドル(BRANDR)」といい、この言葉が語源であると言われます。つまり、他者と区別する差別化の要因がブランドというわけです。

しかし、現代のブランド、ならびにブランディングの意味合いはちょっと異なるというのが、私の見解です。

これもよく言われることですが、現代は情報過多の時代。様々な情報が日々スマホやPCを通して脳に流れ込んでいます。だからこそ人々はより直感的な好き嫌いで物事を反射的に判断するようになりました。
なので、焼印を見るように、一つ一つの物事のディテールをまじまじと見て判断をするような、(つくり手にとって)優良な顧客はあまり存在しないと考えて良いと思います。

つまり、現代におけるブランドとは、「印象」なのではないか、ということです。
パッとそのブランドを見たとき聞いたとき触れたとき、抱いた印象そのものがブランドである。これが実務的な意味でのブランドの定義なのではないでしょうか。

そして、ブランディングとは、Brandの現在進行系(ing)なので、その印象を作り続ける行為のことを指します。ブランドは何か素敵なものを創って終わり、ではないのです。時間の流れに合わせて常に更新していかねばなりません。

さて、ブランドとは印象である、と一言で言っても、これもまた曖昧な意味の言葉です。もっと深く考察を進めてみましょう。

印象とはつまるところ、そのものが持つ情報の束だ、といえるかと思います。情報とは、例えば見た目、声、手触りといった五感に訴えるものもあれば、そのものが持つバックボーン(物語)なども含めます。そうした情報の、どこにどういう順番で触れるのかを、現代においては、つくり手や発信者が明確に選んだり誘導したりできるわけではありません。

なので、ブランドのデザインをするという行為は、そのものがもつ印象形成のために、全方位的に体験・情報を設計しなければならない。そんな風に考えると、ブランドデザイナーの対応領域はとんでもなく広いことがわかるかと思います。

対応領域が広いと、何にコミットしたら良いかが曖昧になりがちです。例えば私はデザイナーですから、ロゴやWEBサイトなどのデザインだけにコミットしたら良いのか。確かにそれもデザイナーの大切な仕事です。しかし私の場合、不遜にも「ブランドデザイナー」を名乗っています。ブランドデザイナーがコミットすることは大きく3つあると考えます。

一つは第一印象の形成です。例えば企業のブランディングを行う際、その企業のWEBでのファーストビューはどんな印象か、人づてに会社のことが伝わるとき、どんなキーワードで知られたいのか、など、そのブランドが初めて誰かの前に現れたとき、どんな印象を抱いてほしいのかを出来得る限りコントロールすること。第一印象のデザイン/ディレクションは大きな仕事です。

もう一つは売上です。どんなに印象の良いブランドを作っても、売れなければ、世に発信されなければ、存在しないも同然です。なので、マーケティングの知見やノウハウを駆使してブランドの売上を上げることもブランドデザイナーの仕事・責任と考えます。

最後に、コミュニケーション。これだけ幅が広い領域をデザインするわけですから、一人の力では到底カバーできません。様々な人の力を借りること。その人達のモチベーションを上げること。全員がブレない軸を創ること。これも大事な仕事だと考えています。

このように、現代におけるデザイナーの役割はとても多種多様です。
一つの決まった型があるわけではなく、一人ひとりのデザイナー、それぞれの型を作り出し、仕事をしています。そんな多様な時代にデザイナーを目指す皆さんは、シンプルに大変である一方で、自ら道を切り拓いていく楽しみも大きいと感じています。

苦しいことも多いかもしれませんが、デザイナーを目指し前に進んでいる皆さんは、もう既に戦友です。
一緒に頑張っていきましょう!


NOT DESIGN SCHOOLは2023年12月より開講したデザイナー向けスクールです。

詳細はこちら 立ち上げ/運営メンバーもちさんの想いやスクール概要について https://note.com/makko/n/n1321460e3381

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