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大学のフランス文学専攻が将来ビジネスに活きてくるのか?


僕は、大学ではフランス文学を専攻しました。高校時代、作家になりたいと思い、多くの日本の小説家が大学でフランス文学を学んでいたので、何か、コツを得られるのだろうと思いました。実際は、そんなことは全然なかったのですが。それと、ヨーロッパへの強い憧れがあったこともこの選択をした大きな理由の一つです。アメリカには、なぜか興味を持てず、圧倒的にヨーロッパに魅了されてました。
高校三年生の時、大学受験の選択希望を担任に伝えた時に、「就職に困ることになるけれども、それでいいのか?」とぶっきらぼうに質問されたのを今でもよく覚えています。

都内の私立大学のフランス文学科に一浪して入学しました。フランス文学を徹底的に学ぶ学科だと思ったら、実際は、フランス語の授業ばかりで面食らいました。教師は非常に厳しく、小テストが数かぎりなくあったと思います。「フランス語を勉強をしに入学したわけではない」とよく愚痴っていましたが、それでも、大学三年生の夏にフランスを二ヶ月ほど一人旅した時に、自分のフランス語が通じるのでたまげました。あの体験が、今の僕をベースを作っているように思います。

タイトルに書いた、大学の勉強がビジネスにどう活きているのか?という点ですが、やはりキリスト教文化を結構真面目に勉強したことが、現在、多くの西洋人のビジネスパートナーと協業することにとても役立ったように思います。

僕は在学時代、田中仁彦先生の授業を熱心に聴いてました。

https://www.kokusho.co.jp/np/result.html?writer_id=11093

この先生は、フランスのロマネスク、ゴシック時代の教会の芸術の分析をされていたのですが、授業中に、教会に彫られているさまざまな彫刻のモチーフを通じて、その時代のヨーロッパ人の人生観、個人主義が確立するまでの経緯、社会の成り立ち、そしてキリスト教の位置づけなどを説明され、自分とは圧倒的に違うと思っていたヨーロッパ人が身近な存在になっていく気がしました。

それから阿部謹也の著作を片っ端から読んでました。ヨーロッパ中世の分析によって、日本社会特有の「世間」という存在をあぶり出していく先生独自の理論に魅了されました。阿部先生の本でも、別世界に住んでいると思っていたヨーロッパ人が俄然身近な存在となりました。

僕は、1989年に広告会社に入社後、2011年からフランスのスタートアップとの協業の責任者となり、それから、ずっとさまざまな国のスタートアップとのビジネスを続けているのですが、振り返ってみればヨーロッパ人との仕事が圧倒的に多いのです。意識をして、ヨーロッパ人を選んできたわけではありませんが、少なくとも、ヨーロッパ人と付き合うことに抵抗や、ストレスがないからこそ、個人対個人の関係になって長く付き合っていられるのだと思います。それは、やはり大学時代に西洋人に対する理解を深める勉強をしたことが大きく影響しているように思います。

僕は、ヨーロッパ人のビジネスパートナーと二人で飯を食べに行き、いろいろ世間話をして、その中で、個人的な話を相談され、アドバイスをしたら、泣かれることがよくあります。僕の英語は大したことありません。英検一級とってますが、日常生活の話になれば拙さが露見します。それでも泣かれるのは、やはり、ヨーロッパ社会の成り立ちを歴史を遡って、数年間懸命に勉強したことが役立っているように思います。

高校の先生からは、心配されましたが、大学のフランス文学で学んだことは実社会で活きていると思います。経済や財務会計を習得するのは、他の人より遅れましたが、若い時に、回り道をしたのはよかったと思ってます。


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