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日本企業と海外スタートアップの間に入ってギャップを埋めていく仕事について

日本企業と海外スタートアップの間に入ってプロジェクトマネジメントや、コーディネーション業務をやるようになって十数年経ちます。始めた当初は、英語という道具を持ち合わせていなかったので、英語が得意な人に頼りつつ、それまで、広告代理店で働いてきた中で、培ってきたマーケティングのスキルを使いながら2社間の間に僕が立つ意義を見つけ出し、所を得てきました。最初はいても、いなくてもどうでもいいポジションだっと思います。
それでも、今では、英語という道具をなんとか装備することができたので、一人で、翻訳や通訳の役割をこなしながら、2社間のプロジェクトがうまく行くよう伴走する仕事ができるようになりました。

僕は、なぜこのような仕事が好きなんだろう?と時々振り返ることがあります。その答えを先日見つけました。それは、この仕事を始める時に、やり方を教えてくれた元同僚と夕飯を食べた時のことです。彼女は、今ではトップランクのグローバル企業のブランディングにたすざわる仕事をしています。僕は、彼女の仕事の流儀に強く影響を受けました。

彼女の強みは何と言っても国語力と一般教養の深さをベースにした英語力です。僕が英語が全然話せなかった頃、彼女に全面的に通訳をお願いしていたのですが、彼女の英語が、話している人の性格を捉えながら訳すので、人によって主語を「俺」にしたり、「僕」にしたり、あるいは、言葉の意味する所の背景を細かく説明しれくれたりして、文脈を深く理解できるように通訳してくれていました。僕がその能力に驚いて「どうして、そのような訳し方できるの?」と聞いたところ「心理というか文化人類学というか、言語だけでなく非言語コミュニケーションも含めて受け取って、そこにある解をみつけるのが大好きなんです。」と答えてくれました。そうなんです。彼女の英語は通訳ではないんです。

彼女は、現在、その才能を遺憾なく発揮して、多数の世界各国のクリエイターを配下につけてブランディングの責任者になっていました。ネパール料理を食べながら、彼女が今、どのような仕事をしているのか話を聞き、まさに彼女がやっているような仕事が自分の天職だと思って、清水の舞台から飛び降りるようにして、海外スタートアップとの協業の仕事に深く入りこんでいきました。

僕から言わせると彼女の才能とは、教養と洞察力と英語を組みわせたユニークなスキルによって、一緒にする仕事仲間が、いったん、国籍とか、性別とか、所属する会社とかポジションとか、人が頼りがちな属性を、一度傍に放っておけるような環境を整えてあげて、その上で、彼らのクリエイティビティが最大限発揮するように支援することができる力です。こういう仕事を何て表現すればよいのでしょうか。

僕もそのような仕事をしたいと思ってさまざまな国の起業家や投資家と仕事をして、たくさんの失敗を乗り越えて、彼女のようなレベルには遠く及ぼないものの、自分なりの型がようやくできてきました。
ロールモデルになるような同僚に十数年前に出会えたらこそ、今の僕があります。彼女に深く感謝しました。

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