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風はなく、煙は静かに空へと昇っていく【Varanasi】

2024/06/10

午前6時。

早朝のガンガーボートツアー。
ゲストハウス近くのガートからボートに乗り込む。

まずは上流のアッシー・ガート(Assi Ghat)に行き、それからボートの舳先を下流に向ける。

昼間は閑散としていたガートが活気を帯び、多くの巡礼者が朝の爽やかなガンガーで沐浴している。
川は予想していたよりも綺麗に見える。
もちろん濁ってはいるが、ヘドロが漂っている訳ではないし、異臭がする訳でもない。
私はこの後ガンガーの上流の方へ旅する予定なので、わざわざここで沐浴する気にはならないが、もし目的地がバラナシだけだったら下半身くらいは川に浸していたかもしれない。

火葬場のあるマニカルニカー・ガート(Manikarnika Ghat)に立ち上る煙をボートの上から眺め、スタート地点まで戻る。
およそ1時間のボートトリップ。

その後はゲストハウスで休んでから、ちょっと早めの昼食を食べに出かける。

食後は再びゲストハウスに戻って休憩。
外はあまりにも暑く、少し歩いただけで体力を消耗する。
まだ旅は始まったばかりだし、無理してここで体調を崩すのも馬鹿らしい。

ゲストハウスを通してタクシーを手配してもらい、昼過ぎにバラナシ郊外のサールナート(Sarnath)へ出かける。

インドの紙幣にも描かれる獅子柱頭のレプリカ
タイ寺院

ここサールナートは、ブッダが初めて説法を行った場所。
ブッダガヤ(Bodh Gaya)で悟りを開いた彼がバラナシに向かう途中、この地でかつての修行仲間5人と出会い、彼らと森の鹿たちに真理を語ったと言われている。

僧院の跡
6世紀に造られたストゥーパ
細かい飾りが彫られている
ムールガンタ・クティー寺院( Mulgandha Kuti Temple)

この寺院の中の壁には、戦前に日本人画家が手がけた壮大な壁画が残っている。

ブッダが5人の修行仲間に説法を行っているところ

サールナートには各国の寺院が点在している。
ドライバーの案内で日本寺に行ってみた。

境内に入った瞬間に「和」の雰囲気が漂う。
もともとは同じ宗教なのに、国によって風情が異なるのが面白い。

太陽が西に傾きかけた頃、バラナシ市内に戻ってくる。
ダシャシュワメド・ガート(Dashashwamedh Ghat)の手前にある大きな交差点でタクシーから下ろしてもらう。
この先は歩行者天国のようになっていて、車の立ち入りができないのだ。

結婚式?
ネパール寺院

ガートの辺りをぶらぶらと歩く。

マニカルニカー・ガート(Manikarnika Ghat)

バラナシ最大の火葬場、マニカルニカー・ガート。

近くまで行って、火葬の様子を見た。
人間が燃える得も言われぬにおいがすると聞いたことがあったが、特に分からなかった。
火葬場の周りにはヤギがいて、地面に落ちたドーティ(白い腰布)を食べようとしている。
死者が死の直前まで身につけていたものなのだろうか。

ふと視線を下ろすと、鮮やかな布で包まれ人間の形をしたものが足元にあった。
すでにガンガーで清められており、濡れた布が張り付いて輪郭をあらわにしていた。
丸太が組まれた台座の上に亡骸が置かれ、火がつけられる。
火はみるみる燃え上がり、頭の部分から布と体が黒く焦げ落ちていく。
風はなく、煙は静かに空へと昇っていく。

自称スタッフが話しかけてきた内容をまとめると以下のようになる。

・この火葬場は24時間稼働している。
・1日に450〜500の遺体が焼かれる。
・1人当たり3時間ほどで火葬は終わる。ただし、男性は胸が、女性は尻が焼け残ることが多い。
・聖者、妊婦、子ども、動物は火葬されず、石をくくりつけて川にそのまま沈められる。なぜなら、彼らの魂はすでにピュアだから。
・ヒンドゥー教によると、あらゆる物は5つの要素(地、水、火、風、空)でできており、火葬して遺灰を川に流すことで、それらを自然界に帰すことができる。

近くのレストランで軽食をとって、バラナシ最大規模のアールティが行われるダシャシュワメド・ガートまで歩いていく。

ダシャシュワメド・ガートの手前で行われていた小規模なアールティ

すごい人混みで強烈な熱気だ。
儀式の近くに寄ることができず、何が行われているのかイマイチよくわからない。
混雑する前に帰ることにする。

雑踏の中、車が走る通りまで抜け、オートリクシャーでゲストハウスまで帰った。

今日の出費

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