見出し画像

6/28 禍福は糾える縄の如し 【パクセー→サワンナケート】

※文量の割に中身は薄いです。愚痴めいたことをダラダラ書いているだけでございます。

本日はサワンナケート(savannakhet)へ移動する。

以前のnote記事でも書いたが、今回の旅は予想以上に交通費がかさんでいる。街から街へと移動する際に、いつも旅行代理店で直行バスを予約しているのが理由のため、ローカルの路線バスを利用できればここの費用を抑えることができるはずだ。現在滞在しているパクセーの郊外にバスターミナルがあり、そこからサワンナケート行きの路線バスが出ているという情報をゲットした。ラオス国内でのバス移動は今後も何度かあるだろうから、ぜひとも路線バスを乗りこなしておきたい。

朝のパクセー

しかし、問題はバスターミナルが市内から8kmも離れた場所にあるということだった。8kmを歩くのはしんどいので、何かしらの手段を用いることになる。ちなみに、市内の旅行代理店で直行のミニバスの値段を確認すると、パクセー→サワンナケートで150,000キープだった。バスターミナルまでタクシーやトゥクトゥクをチャーターすると、トータルでこの価格を上回ってしまう可能性もあり、それだと本末転倒だ。数年前の情報だったが、ダオファン市場の東側にバスターミナル行きのソンテウ(乗合バス)乗り場があるということが分かった。

バスターミナルの別称である「lak 8(ラック・ペー)」という単語だけを覚えて、朝の8時にぼくはダオファン市場まで赴いた。すると、確かにソンテウ溜まりがある。最初に目についたおじさんに「ラック・ペーに行きたいんだ」と声を掛けると、「これに乗れ」と指をさす。幸先が良い。

ソンテウに乗って待機していると、運転手のおじさんがラオ語でしきりに話しかけてくる。「ナカサン」という単語が聞こえたので、行き先を尋ねられているのだと分かり、サワンナケートと答える。その後もおじさんは何か話していたが、さっぱり理解できないぼくはヘラヘラしながら応対した。

10分ほどでソンテウは発車。
乗客はぼくしかいない。
順調順調と上機嫌で景色を楽しんでいた……のだが。

車は2分ほど走ったところで停車した。停まったのは旅行代理店の前で、ミニバスが待機している。「サワンナケートに行くんだろ?バスはここから出るぞ」みたいなことをおじさんが言う。
これじゃあ全く意味がない。ぼくは「ラック・ペー」と繰り返すが、聞く耳を全く持たない運転手は旅行代理店のスタッフに「こいつ、サワンナケートに行くからよろしく」と声を掛ける。すると、スタッフが勝手にぼくのリュックをソンテウから下ろし、チケット売りのお姉さんがやって来てチケットに値段を書き込む。あまりにも早い展開で、どうすべきか考える余裕もない。チケットに書かれたミニバスの運賃は120,000キープ。ぼくが聞き込みをしたところよりは安い。この流れで再び交渉してバスターミナルまで行けるとは思えなかったので、ぼくはしぶしぶ妥協した。

希望する目的地に辿り着いていないので、本当はソンテウの運賃を支払いたくなかったが、それはそれで大人気ないので一応運賃はいくらか尋ねてみた。すると、運転手は指を2本出した。ぼくが5,000キープ札を差し出すと、彼は首を横に振る。心の底からクソッと思いながら10,000キープ札を2枚出すと、運転手はぼくの手からサッと取り上げ車ごとすぐにどこかへ去って行った。
くそっ。
ラオスの相場は分からないが、徒歩5分の距離で20,000キープはさすがに高すぎるのではないか。

ソンテウとミニバスで合わせて140,000キープ。結果的に最初よりは10,000キープ安くなったわけだが、10,000キープ以上のモヤモヤが残った。
路線バスよりも快適に移動できるぞというドライバーの親切心なのか、ドライバーとその旅行代理店が結託しているのか、はたまた朝からバスターミナルまで行くのが面倒くさくて適当なところで降ろされたのか、真相は分からない。
分からないが無性に腹が立つ。

ぼくの煮え切らない思いを乗せたまま、サワンナケート行きのミニバスは午前9時に発車した。

バスの中で考える。
ぼくがサワンナケートと答えた後、運転手のおじさんは何か喋っていた。
おそらくこの時に「サワンナケートに行くなら、ミニバスに乗った方が良い。ミニバス乗り場まで20,000キープで連れて行くぞ」というようなことを言っていたのだろう。
そうであるならば、何も理解していないのにヘラヘラしていたぼくにも落ち度はある。
しかし、客が行きたいと言っているところに連れて行ってくれないというのも釈然としない話だ。
あまり考え詰めてもしょうがないので、ぼくは「1つの教訓を得た」と思うことにした。バスターミナルが近くにない時は、おとなしく直行バスを予約した方が良い。例えうまくいったとしても浮くのは数百円程度だし、それ以上のストレスを抱える可能性が大いにある。

思わぬ展開にイラついたが、冷静になってみれば、損害らしいものは何一つ被っていない。
ただ思い通りにいかなかっただけだ。今までの旅が順調すぎたのだ。むしろ、損することなく学習させてもらえたことに感謝しなくてはいけない。

正午を回ったころに、ミニバスはサワンナケートに着いた。
到着した場所がバスターミナルだったので、次に乗るバスの聞き込みをする。
首都のヴィエンチャン行きのバスが早朝から出ているとのことだったので、それに乗れるようにバスターミナルの周辺でゲストハウスを探すことにした。
とりあえず歩いて5分ほどのところにあったゲストハウスに入ってみると、オーナーのおじさんがとても気のいい人だった上に、値段がとても安かったので即決した。

首都ヴィエンチャンに次ぐ国内第2の都市であるサワンナケートは、あまり観光地と呼べるような場所はない。博物館などはあるのだが、個人的にはあまり興味を持てない。その代わり、ぼくがどうしても行きたいと思っていた場所が1か所あり、ゲストハウスに荷物を置くやいなや、ぼくはすぐにそこへ向かった。
途中立ち寄ったカフェでは店員のお姉さんがとても美人で感じが良く、今日は散々な出だしだったけれどサワンナケートは悪いところじゃないな、なんて調子良く思ったりした。

サワンナケートでは恐竜の化石が発掘されている

地図を見れば一目瞭然なのだが、サワンナケートはメコン川の東岸に張り付くようにして発展している街だ。そして、メコン川の真ん中には国境が引かれており、対岸にはタイがある。国境の最前線なわけだが、タイと国境を接する街には例の施設が存在する。

この道の先にタイがある

そう、カジノである。
ラオスを南部から北部へ移動する際の中継地点としてサワンナケートを選んだのは、そこにカジノがあったからだ。

ポイペトで「1人でカジノに行くのはもう控える」と宣言していたが、2週間も経てばあの時の虚しい気持ちはすっかり忘れる。頭の中には、射倖心を煽るあの極上の空間が燦然と輝いているのだ。ただ、今回はテーブルゲームには参加しないと心に決めた。賭けるとしてもスロットやルーレットなど、ミニマムベットがごく少額の台のみだ。カジノ側からしたら迷惑な客だが、雰囲気を味わうことを主な目的とする。

お目当てのカジノに到着。
しかし、中に入るとテーブルゲームエリアが改装中で、カジノ全体が盛り上がりに欠ける。ちょっとがっかりだ。中途半端な気持ちのまま、大小やルーレットで細かく買ったり負けたりを繰り返して、トントンくらいになったところで帰ろうとした時に異変は起きた。

何と館内が停電してしまったのだ。まるで強盗映画のようだ。照明が復旧した時に換金所の現金がごっそりなくなっていたら面白かったのだが、全くそのようなことはなかった。『オーシャンズ』みたいなことはそう簡単には起こらないのだ。ただ、スロットやルーレットなどをはじめとして、カジノ中の全ての電子機器がエラーを起こしてしまい、ぼくのチケットがしばらく換金できなくなってしまった。1時間ほどでシステムは復旧したが、何とも間が悪い。

カジノから帰りながら、中途半端な1日だったなと思った。カジノのために途中下車したのに、大して盛り上がらなかった。こんなことなら一息にヴィエンチャンに行ってしまえば良かった。1日でも早く北ラオスに行けば、1日でも多く北ラオスに滞在できて、今日よりもずっと有意義に過ごすことができたはずだ。

ゲストハウスの近くに700円くらいでBBQ食べ放題のレストランがあり、今日はそこで夕飯を食べようと思っていたのだが、考えを改めた。この悪い流れのままBBQに行ったら、食当たりにでもなりかねない。いや、待てよ。良くない1日だったからこそ、最後に思いっきり肉を食べるというのもありだ。いやいや、明日は10時間以上のバス旅だ。これでお腹を壊したら最悪すぎる……。

ゲストハウスに着くまで葛藤は続いたが、結局、近くのローカル食堂で無難にフォーのようなものを食べることにした。これが大層おいしかった。最後に、久しぶりにアイスを食べて、「終わり良ければすべて良し」と無理やり自分を納得させてゲストハウスのドアを開けたら、

大きなゴキブリが床を這っていた。
やっぱり今日はダメな日だった。情緒が行ったり来たりする。

部屋を借りる時に「エアコンはいらないから安い部屋にして欲しい」と言ったら、離れのような部屋に案内されていた。だから宿泊代が安かったわけだが、その部屋は裏庭と直結しているらしく、そちらのドアからゴキブリが出入りしているようだった。へっぴり腰で追い払うと、ヤツはそのドアの隙間から外へ出ていった。
一件落着とシャワーを浴びて部屋に戻ると、残念ながらまた床を這っている。ぼくの弱々しい闘志を見て恐るるに足らずと判断したのか、もうこちらの攻撃にはびくともしない。太々しいやつだ。

ぼくは諦めてベットの上に避難した。床だけを這い回っていろよ、絶対に上には来るなよ、と念を送りながらベットの上で過ごしていると、視界の左隅に動く物体が見えた。あれ?と思って、ベットの右下を見るとゴキブリがいる。
2匹目だ。
くそっ。さすがにこれ以上は無理だ。部屋を代えてもらおうと荷物をまとめていると、裏庭に続くドアの下から次から次へと黒い物体が入ってくる。
なんて部屋だ!ここはゴキブリの巣窟だったのだ。結局、6匹のゴキブリが床をカサコソ動き回ることとなった。

ぼくは情けない悲鳴をあげながら外に飛び出し、その場にいたおばさんに事情を話して部屋を代えてもらった。AC付きの部屋に入れてもらい、不穏な影がないか部屋の隅々まで舐め回すように確認してから追加料金を払った。
そして今、ACがガンガンに効いた部屋でこれを書いているのだが、今のところは何も起きていない。

今日の出費

この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,919件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?