自由に感じてくれればいい
「写真の良し悪しはよくわからないんだけど」
そういう断りを入れてから感想を伝えられることがままある。モデルさんも「設定とかよくわからないんですけど」というような枕詞を使う子は多い。「技術的なこと詳しくないのに偉そうなこと言ってすみません」というような意味合いなのかな、と思っている。
よくよく考えてみれば僕自身も、自分が写真を撮るようになるまでは写真の感想を求められると似たようなことを言ってた気がするし、今でも人の写真の良し悪しは分からない。ただ良し悪しは分からないけど、好き嫌いは分かる。
厳密に言えば、好き嫌いという物差しを持ち出すことは決して後ろめたいことではない、という認識が根付いているということだ。
調理方法を知らなくても料理の好き嫌いがあるように、音楽理論を知らなくても音楽の好き嫌いがあるように、撮影技術のことを知らなくても写真の好き嫌いはあっていい。
それは自分が撮った写真を見てもらうときに、使用機材や各設定値を併記しないもう一つの理由。
機材や撮影技術に詳しくない人にハードルの高さを感じてほしくない。カメラのことなんか何も知らなくていい。ただ自由に見て感じてほしい。僕は技術や機材の評価を求めているわけではない。
「なんか好き」
こういう言葉がシンプルに嬉しい。好きな理由なんて説明できなくていい。
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