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あなたのことはそれほど(休職生活)

いくえみ綾の「あなたのことはそれほど」を読んだ。

いくえみ綾の漫画は過去に何作か読んだことがあるはずなんだけど、どのタイトルを読んだのかは余り覚えていない。ただその作風と絵柄は強く印象に残っている。キャラクターの造形や描写が魅力的だ。昔、妹が買っていた女性向け漫画を読んでたことがあったので、それで知ってるのかもしれない。

不倫の話。不倫の是非を問う話というよりは、そういう状況に置かれた人間が何を感じ、思い、どう行動するのかを描くことに主軸が置かれている。なので「不倫は断じて許すまじ」という姿勢で読むと全く楽しむ余地のない作品だと思う。

テーマは結構重いけど、意外とさらっと読むことができた。唯一感情移入の余地があったキャラクターはヘッダー画像の麗華さん。一部ではだいぶ評判が悪いキャラクターのようで、僕自身ひとりの男として見ると確かに「コワイ」という印象は否めないのだが。

「父の浮気を許容してきた母のようなみじめな女になりたくない」という、幼少の頃から時間をかけて構築されてきた彼女の「正しさ」には一片の曇りも無い。それこそが彼女のアイデンティティだった。そしてその正義を最後まで貫き通す権利が彼女にはあったはずだ。でもそうすることができなかったところに奥行きのある人間味を感じる。

誰も幸せになれない「正しさ」か。自分にも思い当たるところあるよ。「人を許す」っていくつになっても難しい。対象に愛情を抱いていたなら尚更。

ところでこの作品がドラマ化されていたことは今日まで知らなかった。

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