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『一回しか言わんぞオジサン』の取扱説明書

『一回しか言わんぞオジサン』とは?

『一回しか言わんぞオジサン』とは、新人に何かを教える前に「一回しか言わんぞ」と前置きをする人を言います。二度目を教えることをすごく嫌がります。

一度教えたことを再び聞かれると、機嫌が悪くなります。

その際は怒りながらも教えてくれる人、「前に教えた」と二度と教えてくれない人、2パターンあります。後者はどうしようもありません。

『一回しか言わんぞオジサン』は社会には沢山生息しています。ゆえに取扱いには注意が必要です。彼らの特徴、対処法を一緒に勉強していきましょう。

なぜ「一回しか」言わないのか?

「一回しか言わないこと」「一回で理解すること」が立派な社会人の振る舞いだと思い込んでいるためです。

本人は「忙しいから」を理由としていますが、そこそこヒマな『一回しか言わんぞオジサン』も大量に存在するため、それは本来の理由ではないです。

ただ単に「面倒くさいから」「皆が言ってるから」という理由もあるでしょう。

『一回しか言わんぞオジサン』の良いところ

「一回しか言わんぞ」と前置きをすることで、教えを乞う人に緊張感を持たせることができます。

聞く側は「一回しか言わんの!? なんで!? マジウケるんですけど!」となり、否が応でもメモを取るなどして、一回で理解しなくてはいけなくなります。

教える側は一回しか言わないことで、二度目を教える手間と時間が節約できます。

『一回しか言わんぞオジサン』の悪いところ

一回で理解できなかった部下が、わからないまま仕事を進めてしまう恐れがあります。

筆者の前の上司は同じことを二度訊くと「息子を殺した犯人」に接するぐらいの態度になります。正直ウンザリなので、わからないまま仕事を進めてやりました。案の定失敗しました。こういうことにもなりかねません。

オジサンにとっては「これくらいのこと一回で理解できて当然だ」と思うかもしれませんが、右も左もわからない新人にとっては「これくらいのこと」すらとても難しく感じるものです。

『一回しか言わんぞオジサン』はこの辺の思いやりが欠けていると言えるでしょう。

まれにですが、酒の席、軽い雑談、運転中、ポロっと教えたことも「一回」にカウントされることがあります。「この前、飲み会で教えたやろ」とか言われます。

運転中は運転に集中しており話半分ですし、酒の席では酔ってるので、その辺はカウントしてほしくないところですね。

『一回しか言わんぞオジサン』の対処法

「一回で理解すること」。コレに尽きるんですが、コレができてりゃ誰も苦労しません。

しっかりメモを取りましょう。メモを取り、わからないことはそのつど質問。「これを逃したら永久に理解できない」くらいの意気込みで話を聴きます。

話の聴き方にも注意が必要です。メモばかりに気を取られず、時折相手の顔を見てうなずきましょう。「あなたの話をしっかり聴いていますよ」というアピールになります。

メモばかりに気を取られると筆者みたいに「お前はメモばっかりで話が理解できていない」と怒られます。

「お前らが頑なに一回しか言わんからやろがい!」とブチ切れてはいけません。

一番良いのは「二回目は違う人に訊く」です。

さいごに

一回で理解することは大切です。でも、できないこともあります。「三回」とは言いません、せめて「二回」は許してほしいところです。

ちなみに私が勤めていた仏壇屋の店長は「わからんことあったら、何回でも訊いてや」と言ってくれました。

だからといって何回も訊きにいったワケではありません。ほとんどのことが一回、たまに二回で理解できました。

物覚えの悪い私が、仏壇屋でどんどん知識を吸収していけたのは、店長のその態度にありました。厳しいこともありましたが、質問、相談がすごくしやすかったのです。

店長は頭の固いルールに縛られない、ある意味社会人らしくない人でした。だからこそ、私もある程度はイキイキと働けたのだと思います。

「一回しか言わない」ことは社会人ルールとして確立してはいますが、やり過ぎて効率が悪くなっている気がして仕方ありません。緊張感でガチガチになった頭では覚えるものも覚えられません。

筆者のように「一回しか言わんけど、メモを取るな」とか言われるとどうしようもありません。もはや意味不明です。

こういうルールがあるから、日本社会はやたらと「余計なところで疲弊する場面」が非常に多いのです。

『一回しか言わんぞオジサン』は一度社会人らしさを忘れ、「どうするのがベストか」というのを人間ベースで、しっかり考える必要があるでしょう。

#エッセイ #社会人 #ルール #対処法

働きたくないんです。