見出し画像

一人よりも二人、ツーマンセルで仕事を行う。忍者の働き方【義盛百首 忍歌99】

画像1

「窃盗(しのび)には 二人行くこそ 大事なれ 一人忍ぶに うき事は無し」
忍歌 義盛百首 第九九首

【現代語訳】忍び働きには二人で行くことが大事である。一人忍びに良い事は無い

【解説】忍びの任務には敵国に潜入しての情報収集、謀略や戦場での敵陣・城に火をかけたりなどの破壊工作、自国内の怪しい人物をマークして敵の諜報活動を阻止する防諜など色々あるが、どの任務も一人では限界がある。二人忍びで任務に当たれば、工作と連絡や攻めと警戒、陽動と潜入など作戦の幅が広がり、生存率と任務達成度も上がる。

【超訳】一人で仕事をするよりも、二人で仕事をする方がいい。一人では前のめりになり過ぎて客観性に欠けてミスに気づけない。疲労が溜まっても交代要員がいないので対処できない。などのリスクに対する用意が甘くなる。二人なら互いの不注意を補い合いながら、長所を生かしてハイレベルな成果を上げ、攻守共に良い仕事ができる。但し、お互いに能力があり信頼関係を築けていてコミュニケーションと行動が迅速に取れるなければならない。


万川集海、義盛百首といった忍術書では二人以上で任務を行うことが多く、甲伊流忍術では双忍の術として推奨されているが、正忍記では一人忍びを勧めているなど流派によって違いがある。これは、各地域が抱えている忍びの人数や彼らの練度による所が大きいと思われる。

また、ここでいう忍びは孫子「五間」のうち生間(任務を完遂し生きて帰ってくる)を指すもので、現地住民を買収して協力者にする郷間やダブルスパイの反間などは指さない。

そういう意味では、義盛百首は生間のための忍びの心得が書かれた忍術書で、現場に赴く忍びに向けて作られた指南書と言える。伊勢三郎義盛が書いた書では無いにせよ、忍びに必要な基本事項がまとめられている良い忍術書だと思う。さすが軍法侍用集にまとめられただけはあるなと感じる。


義盛百首とは…
伊勢三郎義盛に仮託し作られた忍者の心得を読んだ計百首の歌。伊勢三郎義盛は伊賀出身で、源義経の配下で忍者として活躍したとされる。義盛百首は忍歌と呼ばれることもあり、軍法侍用集や万川集海などの忍術書に登場する。


🥷忍者の思考と精神を身につけるべく、日々修行を行ってますので見届けてもらえると幸いです。あとお仕事のご依頼もお待ちしております🙇‍♂️。サポートは兵糧(ひょうろう)に使わせていただきます。 WEB:https://shinobi-design-project.com/home