「物音・騒ぎ・火事・油断」重大なエラーを未然に防ぐ忍者のチェックポイント【義盛百首 忍歌73】

「夜回りの 心掛けには 物音や 敵の騒ぎと 火事と油断と」
忍歌 義盛百首 第七三首

【現代語訳】夜回りの心掛けることは物音・敵の起こす騒ぎ・火事・油断

【解説】夜回り（夜の巡回警備）で注意すべきポイントは物音、敵襲や敵忍びの工作による騒ぎ、火事、警備の油断である。物音は敵の侵入を察知する手がかり。騒ぎは味方の混乱を引き起こし統率力と行動力を低下させるので危険。火事は武器や食糧にダメージを与え、また混乱を引き起こすので危険。油断は注意力を散漫にさせ、防御力も低下させるので危険。夜回りと歌ってはいるが、夜回りでは特に注意しろということで、昼の警備任務でもポイントは大方同じ。

【超訳】物音で異変を察知、騒ぎや火事の混乱に惑わされない、油断で足をすくわれないようにする。目で見るよりも耳で音を聞いて異変に察知し、問題発生に気づく。騒ぎは人的トラブル、火事は物質的な損害とそれによって引き起こされる二次被害（人的トラブル等）のこと。どちらも思考を混乱させて迅速な問題解決をできなくするので注意。油断していると異変の察知ができないばかりか、トラブル発生時にまんまと混乱し、最悪取り返しのつかない結果を生む。

義盛百首とは…
伊勢三郎義盛に仮託し作られた忍者の心得を読んだ計百首の歌。伊勢三郎義盛は伊賀出身で、源義経の配下で忍者として活躍したとされる。義盛百首は忍歌と呼ばれることもあり、軍法侍用集や万川集海などの忍術書に登場する。