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【規制強化】アドトラック(広告宣伝トラック)利用規約を読み解いてみた【東京都】

利用規約ウォッチャー みなしボウイです。

アドトラック」は、公道を走行するトラックの荷台スペースを広告面として活用した広告宣伝車・広告宣伝トラックのことを指します。アドトラックは、人通りの多い場所を何度も回って商品・サービスを宣伝できる利点があり、直前に見聞きした広告で購買意欲を喚起する「リーセンシー効果」が高いとされています。

一方で、風俗やホストクラブを宣伝するアドトラックが流入し、住民から苦情が寄せられる等の問題も発生しています。

今回、アドトラックを保有し運行している「アドロケッツ」の利用規約をウォッチします。利用規約をWEB上で開示しているアドトラック運行業者は少なく、アドロケッツ社はその点で透明性のある企業だと思われます。

アドロケッツWEBサイト

重要な3つのポイントに注目して利用規約をウォッチしていければと思っています。


最後までよろしくお付き合いください。


既存の法規制について

屋外広告物法

屋外広告は常時または一定期間、屋外で公衆に表示される看板類のことを指しますが、アドトラックも該当することから屋外広告物法の対象となっています。

千葉県「屋外広告物のしおり」より引用

屋外広告物法では、「屋外広告物の表示」、「屋外広告物を掲出する物件の設置と維持」、「屋外広告業」について、良好な景観の形成・風致の維持、公衆に対する危害の防止のため、必要な規制の基準について定めています。

屋外広告物条例

屋外広告物法が定める規制の詳細については、都市や地域によって風習や景観、人口密度などが異なることから、都道府県や政令指定都市、中核市といった自治体ごとに屋外広告物条例で定められています。

屋外広告業の登録

屋外広告物法や屋外広告物条例で定められていることの一つに、「屋外広告業の登録」があります。これは、広告主から広告物の表示・設置に関する工事を請け負い、屋外で公衆に表示することを「業」として行う者(法人・個人)は、屋外広告業の登録が必要とされる、というものです。

今回、利用規約をウォッチしているアドロケッツ社は千葉県の業者ですので、千葉県の屋外広告業登録がされていることを確認しました。

道路使用許可

交通以外の目的で道路(一般的に公道のこと)を使用する場合、道路交通法第77条の定めにより「道路使用許可」を得る必要があります。許可権限を持つのは、管轄の警察署長になります。アドトラックによる広告宣伝は、道路交通法第77条第1項4に該当するので運行するエリアを管轄する警察署に道路使用許可申請を行う必要があります。

アドロケッツ利用規約においても「道路交通法に則り「道路使⽤許可」の取得が必要」な旨が明記されています。

広告運⾏を実施するためには、道路交通法に則り「道路使⽤許可」の取得が必要となります。
そのため、運⾏のお申し込み前に「広告内容及び掲出デザイン等の審査」が必要となります。
過度な露出や公序良俗に反する内容等の場合、お受けできない場合もありますので予めご了承下さい。

アドロケッツ利用規約

環境条例、業種ごとの規制

自治体により環境条例が定められており、アドトラックの運行に影響のある条項がある場合があります。例えば「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(東京都)では、屋外でのスピーカー使用について一定の制限事項や遵守事項(拡声機に対する規制)が設けられています。

その他、風俗業やギャンブル関連、貸金業などには広告規制が存在し、もちろんアドトラックにも適用されます。


規制の課題点

自治体ごとに屋外広告物条例があることは、先ほど述べました。東京都では「東京都屋外広告物条例」があり、アドトラックを運行する際に、東京屋外広告協会の審査を受ける必要があります。公序良俗に反しない等の審査基準が存在し、審査に合格したアドトラックのみが運行できることになっています。

東京屋外広告協会WEBサイト

しかし、この審査を受ける必要があるアドトラックは、東京都内でナンバー登録を受けている車両のみ(=東京都で登録を受けた業者の車両)となっていて、都外ナンバーのアドトラックであっても、都外で屋外広告業登録を行っていて、かつ道路使用許可を得ていれば合法となってしまいます。そのため、都内で走行しているアドトラックは、ほぼ全てが都外ナンバーといわれています。

条例の抜け穴という状態が続いていましたが、東京都では条例施行規則を一部改正し、2024年6月30日から、都外ナンバーのアドトラックに対しても条例規制が適用されることになりました。

東京都の広告宣伝車規制に関する説明会(令和6年3月)より抜粋
東京都の広告宣伝車規制に関する説明会(令和6年3月)より抜粋
東京都の広告宣伝車規制に関する説明会(令和6年3月)より抜粋
東京都の広告宣伝車規制に関する説明会(令和6年3月)より抜粋

アドトラックは無くなるのか?

これは私の観測混じりですが、アドトラックが無くなることはないと思います。アドトラックが持つ広告効果(リーセンシー効果)は絶大であり、それに代わる広告媒体も見当たりません。

現在問題となっている、ホストクラブ広告や高収入求人広告などが広告審査によって締め出されて、イベントや商品(アパレルやコスメ等)の広告でかつ刺激を抑えられたものとなり、景観の保持にもつながってくるのではないかと思います。


今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。


なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。

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