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「ことば」に救われる…?

前に、「『文学に救われる』って題で、そのうち、気が向いたら」って(たしか?)書いた(ように思う)んだけど、その第一弾、かなぁ…?

吉本ばなな氏の『キッチン』は私がまだ高校生くらい(?)の頃の話で、なんか、同年代の作家、くらいに思ってたんだけど、この本はなかなか良かった。ああ、ばななさん、こんな風に成長をなさったのよねぇ…(しみじみ。)。

 今は困難な時代で、自殺をする人も少なくありません。
 自殺というのは、心の中に愛の貯金がなくなったときにするのだと私は思っています。愛というのは生易しい意味の愛ではなく、愛という名のエネルギーのことだと私は解釈しています。
 人生の初めに親からたくさん愛をもらっていると貯金はなかなかなくなりませんが、そうでないとなにか困難なことがあったときに一気にエネルギーがなくなってしまいます。そこから這い上がるのは簡単なことではありません。
 だからこそ、私は自殺をしないでほしいと思うのです。
 愛の貯金を人にも与え、自分が成長することを学ぶために、せっかく生まれてきたので、なくなった貯金をまたためていくには、生きるしかないんです。
 しかもこの愛の貯金のいいところは、与えることでも貯金が貯まるということです。
 それからひとつほんとうに言えることは、好きな時間に寝たり起きたり、思う存分ネットを見たりするのは、健康なときにしかできないことだということです。
 手術で胃を切り取った人が急にステーキを食べたりできないのと同じで、不摂生は健康でないとできないんです。
 だから、自殺が近づいて来たなと思ったら、落ち着いて生活を整えてください。朝は決まった時間に起き、なるべく体を動かし、眠れなくても早くふとんに入ってください。インターネットに費やす時間も制限し、淡白で良質なものを食べ、煩雑な人間関係やお酒とか性欲にはあまり近づかないで、貯金を取り戻すのです。
 そうしたらまたいくらでも楽しく不摂生できる日が来ます。
 今いちばん楽しいことが、食べること、飲むこと、ネット、夜更かしなんだから生きがいを失うと思うかもしれないですが、生命エネルギーがたまるまでのほんのしばらくのことなので、できるはずです。
 これは生涯を通して役立つ教えなので、若い人にも伝えておきたいです。

『おとなになるってどんなこと?』(ちくまプリマー新書)pp.88-91

ヨシタケシンスケさんも、「しんどいときは、明るい画面を見ないようにする」って言ってた。そうだよね。

それが、こないだ、「私、note、ちょっと我慢するべきなのかな?」って書いた理由です。