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【美しい日本語】⑥「綺羅星」

本日のお品書き📝

前菜🥗: 体調はどうですか?

皆さんこんにちは!
相変わらず暑い日々が続いていますが、体調はどうですか?
家の中にいても、外にいても暑くていつも以上にだるさを感じる私ですが、皆さんも体調にはお気をつけてお過ごしくださいね。
さて、今回は小説に星を登場させようと思っております。
理由は、、夏の星々を寝転がりながら見たくなったという単純なものです🥹
よろしければ最後まで読んでいただけたら嬉しいです✨



スープ🍲: 「綺羅星」の意味

「綺羅星(きらぼし)」↬夜空にきらきらと輝くたくさんの星のこと。


メイン🍖:「綺羅星」にまつわるオリジナルストーリー

「起立。さようなら!」
「はい、さようなら。また明日ね」

先生との挨拶が終わると、すぐに私は同じクラスの沙羅のもとに向かう。

「はやく部活行こ~!」
「行こ行こ!」

教室は3階にあるため、私たちは2回階段をかけ足で降り、体育館へと向かった。

私と沙羅は小学校の頃からの幼馴染で、中3になった今でも仲良しだ。
部活を決める時も、もちろん2人で部活体験へと足を運んだ。
そして、「ボールがラケットに当たったのが嬉しかった!」という単純な理由で卓球部に入部することになったのだ。

体育館に着くと、もう何人かの部員が準備を始めていたので、急いで私たちも卓球台を倉庫から引っ張り出し、ネットを張っていった。
明日はこの辺では強豪校だと言われている学校との練習試合がある。
今日は練習試合に向けての最終調整をしていく。
準備がある程度終わり、ピン球を数個ズボンのポケットに入れ、私たちは卓球台へと向かった。



日付が変わり、沙羅といつもの様にお互いの家に近い公園で待ち合わせた。
時刻は朝7時30分。
天気予報で「真夏の暑さになるでしょう」と言っていたが、まだ家を出て5分くらいしか経っていないのにもう汗が額から垂れてきている。
公園に植えられている、緑で覆われた木々からは蝉の大合唱が聞こえるが、これが、今が正真正銘の夏であることを強調している。
夏を体全体で浴びているうちに、沙羅の「おはよう」が耳に入ってきた。 
「おはよう」と少し手を振り、私たちは同時に自転車のペダルを踏んだ。


学校の自転車置き場に自転車を停め、体育館へ近づくと、対戦相手のチームが隅の方にかたまっているのがチラリと見えた。

さすが、強豪校だ。
これだけで相手のやる気がひしひしと感じられる。

私たちは急いで体育館に入り、既に来ていたチームメンバーと準備を進めた。

今回は団体戦のみ行うことになっている。
私たちのチームメンバーは5人だ。
同じ学年の女子は私たちを含めて3人。
あと2人は2年生で1年生はいない。
私と沙羅以外のメンバーは小学校の頃から卓球を習っており、普段個人戦でもベスト8くらいまでいくくらいの実力者たちだ。
中学から卓球を始めた私と沙羅が、猛者たちがいるチームになぜ属せているかというと、うちの卓球部の女子メンバーがこの5人しかいないからだ。
そんなわけで私と沙羅は運がいいのか悪いのか、一応レギュラーメンバーとして体育館に立てている。

「お願いします」

私たちチームと相手チームがお互い向き合うようにそれぞれ横に1列に並び、試合開始の挨拶を交わす。
私と沙羅の出番は3番目だ。
私たちはダブルスとしていつも出場している。
基本的に、ダブルスは1チームにつき1組存在する。
これまでの数々の試合から考えると、私たちダブルスの勝率は50%くらいだろうか。
私たちは他のメンバーに冷ややかな目で何度も見られてきた。
もちろんいつも勝つ気で臨んでいるのだが、気持ちだけではどうしても勝てない試合も多いのだ。

練習試合は2人目まで終え、いよいよ私たちの番がやってきた。
2人目まで、見事こちらのストレート勝ち。
強豪校相手でこの結果は同じチームメンバーとして誇らしさを感じると共に、この流れにのらなきゃというプレッシャーも感じる。
ラケットケースからラケットを取り出していると、4番目に控えているメンバーが少し距離を取り、素振りなどのウォーミングアップを始め出したのが目に入った。
このまま私たちダブルスが勝てば、3本先取なので4番目のメンバーまで試合を進める必要はない。
ただ、私たちに期待していないからだろうが、4番目のメンバーが、今にも始まろうとしている私たちには一切目を向けようとしていない姿が、心の奥底をズキズキさせる。
とはいえこれから始まる試合になんとか意識を全集中させ、卓球台に2人で向かった。
試合は3セット目に入った。
3セット先取なのだが、0-2で私たちは負けている。
もう後がない。
そして、1セット11点先取なのだが、このセットの点数ももう2-9で思い切り点数を離されながら私たちが負けている。
チームメンバーに目をやると、誰1人、私たちの試合を見守ってくれている人はいなかった。
4番目に控えるメンバーにお水を渡したり、背中をさすってあげたりしていて、私たち2人なんて頭の片隅にもないというような状況だ。

もう私たちを応援してくれている人なんていないし、どうせ4人目が勝ってくれる。
それに点数差が開きすぎて、逆転なんて不可能だ

私は一気にどうでもよくなった。
勝たなきゃという思いなんてどこかに吹き飛んだ。
そんなことより早くこの場から去りたい気持ちが心の中で膨らんでいく。

残り2点分は私たちのサーブ権で、私がサーブを出す番だった。 
普段はサーブを出す前に沙羅に台の下で、今からどんなサーブを出すか指でサインを出すのだが、それすら面倒になり、適当に回転をかけボールを相手コートに返した。
案の定ボールは強烈なスマッシュやドライブで返ってきて、試合終了となった。
結果的に私たちダブルスの試合の後、こちら側の4番目のメンバーが勝ち、チームとしては勝利で終わった。

結局私たちのチームが勝ったんだし、誰も私と沙羅に期待なんてしてなかったんだから、私たち2人が負けたって別にいいよね
強豪校相手にそもそも私たちが勝てるわけないよ

気持ちを切り替えようと努め、「暑いし、アイスでも買って帰ろう」と沙羅に近づいた。
しかし沙羅は私とは目を合わさず、走って自転車置き場へ行き、1人で学校を去ってしまった。
少しの間驚いたが、明日にはまた普通に話せるようになっているだろうと、私も自転車に荷物を積み、学校を出た。  


昨日の試合から1夜明け、今日から2日間は学校も部活も休みだ。  
沙羅に「今日遊びに行かない?」とLINEを午前中にしたが、気がつけば日は暮れてしまい、未読状態のままだ。
いつも沙羅からの返信は早い方だ。
ここまで返信がないのは初めてのことだった。

よっぽど昨日の試合で私たち2人が負けたことが悔しいのだろう。
明日の朝までに返信がなければ、沙羅の家に直接行こう

いつの間にか眠りに落ちていた。

日が昇り、ムシムシとする暑さで目が覚めた。
目をこすりながらスマホを手に取ると、LINEの通知が入っていた。
LINEを開くと沙羅からの一言が目に飛び込んできた。

今夜、公園にきて

沙羅の気持ちも落ち着いてきたのだろう。

「相手が強かったし仕方ないよ」
「次の試合で勝ってチームメンバーを見返そうよ」

沙羅を励ます言葉を頭の中にメモしながら夜が来るのを待った。 

時間はゆっくりと過ぎ、昼間にこれでもかというくらい照りつけていた太陽の役目が終わろうとしている。
完全に太陽が沈み、電気をつけなければ部屋が真っ暗になってしまう頃、私は家を出た。

いつも待ち合わせしている公園に着いたが、まだ沙羅の姿は見えない。
とりあえず2つぶら下がっているブランコの片方に座り、ゆらゆらと揺られながら沙羅を待った。
数分後、沙羅が公園に入ってきた。
「おーい」と手を振るものの、沙羅はそれには応えず、ムスッとした表情でもう片方のブランコに座った。
それから5分くらい経ったが、沙羅は何も語らない。
ただ、ギーコーと、ブランコが揺れる音が響くのみだ。

私から何か話した方がいいのだろうか

口を開こうとしたその時、

「一昨日は残念だった」

夏夜の暑さが溶かしてしまいそうな、小さな沙羅の声が耳に入ってきた。

「うん、私たち2人の試合は負けちゃったもんね」

正直私は開き直っていたのだが、ここは沙羅の気持ちに寄り添おうとした。
ところが沙羅からの返事は意外なものだった。

「いや、そうじゃなくて。愛佳に対して残念だって思ったの」

予想外の返答に頭が真っ白になった。
沙羅は、言葉を発することができない私を横目で見てから再び口を動かし始める。

「愛華が3セット目に手を抜いたのすぐ分かった。たしかにもうあの時点で2セットとられてたし、点差も大きかったから諦めたくなるの分かるよ。でもさ、強打されるようなサーブを2本連続出された時は悲しくて手が震えたよ。」

沙羅には私が手を抜いてしまったことが伝わってしまっていた。 
自分の手抜きを棚に置いて、試合の結果で沙羅は落ち込んでいるんだろうと、安直な考えを持ってしまっていた私にやるせなさを感じる。

「私は相手が強くても、たとえ誰も応援してなくても、愛華とならいい結果を残したいよ。でもさ、私へのサインもなく適当にサーブ出されちゃったら、もうどうにもならないよ。ダブルスは支え合いながら試合できるところがいい所だよねって話したことあったよね?愛華1人の試合じゃないんだよ?私も一緒に戦ってるじゃん。どんなボールでも私はつなぐ気持ちであの場に立ってたのに、隣の愛華はもう明らかにやる気がないんだもん。手も足も固まって動かなかったよ。愛華は勝手に1人で試合を終わらせようとしちゃってるんだなって。私を信頼してくれてないんだなって思ったらさ、悲しみを堪えるだけで精一杯になっちゃった」

月や星が真上で光っているはずなのに、乗っているブランコから私の体まで、じわじわと暗黒な夜に吸い込まれそうになっていく。

私はとんでもない事をしてしまっていた。
もちろん沙羅を信頼していないわけではない。
ただ結果的にそう思われても仕方ないことをしてしまった。
沙羅にここまで言われないと、私がしてしまったことが、沙羅をないがしろにしてしまっていたという事実に気づけなかった私が恥ずかしい。
1番の友達だと思っている沙羅を傷つけてしまった。
私の心には水たまりができ始め、気がつけば「ごめんね」と共に体外に溢れていた。
沙羅は私を目の中心でしっかりと捉え、静かに私の言葉の続きを待っている。

「ごめんね。一昨日の試合は、沙羅の言う通り手を抜いてしまった。こうやって沙羅が話してくれたから、残酷で自分勝手なことをしてしまったことに気づけたよ…。もう試合の勝ち負けなんてどうでもいい。私は沙羅の心さえ離さなければ、、私の隣から沙羅がいなくならなければどうだっていいよ…!本当にごめんなさい」

どんどん溢れだしてくる水溜まりに溺れそうになりながらも、沙羅に私の言葉を伝えるために必死に口を動かした。
涙で歪む視界に負けまいと、思い切り目を開くと、数日ぶりに見る沙羅の笑顔があった。

「だーかーらー!私は試合にも勝ちたいの!泣いてないでちゃんと話聞いて?ね?」
「あ、ごめんごめん…!うん、私も勝ちたい!チームメンバーにもぎゃふんといわせたい!」 

私たちはふふと笑い合い、ぎゅーっとくっついた。
汗が止まらないくらいの熱帯夜なのに、2人で築いたぬくもりはとても心地のいいものだった。
夜風が私たち2人の頬を優しく撫でてくれている。
顔を上げると、無数の小さな星々が光り輝いており、私たちに精一杯のスポットライトを当ててくれていた。


沙羅との和解から1週間経った。
次勝たなければ中学生活最後の試合となる、地方大会の団体戦に私と沙羅、そして同じチームのメンバーは今まさに挑もうとしている。
勝ち進めば来月の県大会に進むことができるのだ。

「お願いします」

私たちチームは相手チームと試合開始の挨拶を交わし、試合は始まった。
相手チームは優勝候補の学校だった。
いつものように順調に2番手までこちら側のチームが勝ち、私たちダブルスの出番がやってきた。
そしてこれもまた、いつものように同じチームのメンバーは私たちダブルスを全力で応援しようとする様子はなく、4番目に控えるメンバーのサポートにまわっている。

その光景に今までは、胸の奥をチクチクとつつかれているような感覚を覚えることもあった。
でもそんな光景さえも今はありがたい。 
周りの目なんて気にすることなく、沙羅との協力プレイだけに集中できる。
勝って、チームメンバーがこちら側を振り向かずにはいられなくしようじゃないか。

いよいよダブル戦が始まる。
最初の2本はこちら側のサーブ権だ。
ラケットとボールをいつもの位置にセットする。
台の下でグッドポーズをして、これから横回転サーブを出すことを沙羅に示した。
ボールを出す前にもう一度だけ沙羅の方を見た。
彼女の目には青色の炎が燃えたぎっている。
私のそれとまさに同じだった。

それぞれ2セットずつ取り、最終の5セット目まで試合が展開された。
強豪校との試合に、沙羅と2人で力を合わせた結果、
まともに戦えていることが、私たちが燃やす炎をさらに大きくしていた。

試合はさらに進み、10-10のデュースとなった。
1試合11点先取で、ここからは先に2本連続でとった方が勝ちとなる。

絶対に勝ちたい。
卓球は心理戦の側面もかなりある。
特に今はデュースで、お互い先に1点取りたい状況だ。
このタイミングで私たちの方にサーブ権があるのはとても運がいい。
ここは出すサーブを特に慎重に考える必要がある。

台の下で沙羅に向けて指でピースをし、これからナックルサーブを出すことを示した。

「サー」

下回転サーブを出す時のような、ラケットの先端でボールを捉える構えをして、実際にはラケットの根元にボールを当てて、ナックルサーブを相手コートに送り込んだ。  
私の作戦は功を奏し、相手からのボールは浮いて返ってきた。
私は沙羅の邪魔にならないように、後ろにすばやく移動し、1番高いところまでボールがきたところに沙羅がラケットを振りかざして強烈なスマッシュを打ち込んだ。
綺麗にボールは対角線上に飛んでいき、ラケットで触れられないまま通過していった。

よし、まずは1点とった。
今すぐ沙羅とハイタッチをしたいくらいだが、まだ試合は終わっていない。
次の1本をとらなければまたデュースになってしまう。
次の1本に全集中するために深く息を吸い込んでから吐いた。
隣をチラッと見ると、沙羅も落ち着きを保っていた。

次は相手サーブだ。
こちら側に来たボールは回転がかなりかかっており、短めに出され、沙羅のレシーブはボールが浮いてしまった。

次はきっと強烈な球が返ってくるだろう。
前回の試合ではきっと私は諦めていた。
でも、、今回は違う。
沙羅は、どんなボールでもつなぐと言ってくれていた。
私も沙羅の想いに応えなきゃ。

相手からは思った通りのボールが返ってきた。
私は片足をボールの方に動かし、体の中心でボールを捉え、ラケットをボールに軽く当てた。
ボールは相手コートにストレートに跳ね返り、逃げるようにボールはコートから去っていった。

勝った…
勝った……!

私たち2人は飛び跳ねながら何度もハイタッチをした。
後ろを振り返ると、チームメンバー皆私たちを見ており、呆然とした様子で拍手を送ってくれていた。


「県大会のためにさ、新しいサーブの練習しようよ!」
「いいね!サーブもだし、2人の動き方ももう1度見直してもいいかもね!」
 
試合直後にもかかわらず、私と沙羅は外を歩きながら、もう既に次の試合に向けての話をしている。
いつの間にか辺りは暗くなっていた。

「わあ、ねえ見て綺麗」

沙羅の指さす方向に顔を向けると、たくさんの星がきらきらと輝いていた。
その中でも特に輝いている方に目を向けると、私と沙羅のように、2つの星がぴったりと隣り合っていた。

♡fin♡






ドルチェ🍨: 今回の小説を書いてみて

今回の小説を書く中で、私が中学3年間卓球部で頑張っていたことを思い出していました。
小説のように、私もダブルスを組んでいました。
また、チームメンバーも強い人ばかりでした。
そんな中で試合に出るのはプレッシャーがすごかったです。
自分たちなりに動き方を考えたり、「このサーブを出したらこういうボールが返ってくるだろうから、ここで構えていた方がいいよね」みたいなことを考えたりと、試行錯誤しながらのプレイでした。
練習したことや考えたことが実際に試合で出せた時には本当に嬉しかったです。

これは個人戦の話ですが、試合で負けてしまった場合、次の試合の審判をしなければいけませんでした。
これが個人的に結構辛かったです、、
気持ちの整理ができないまま、他の人のプレイに集中なんてできないよ、、と密かに思っていました( ᵕ̩̩ ᵕ )ᡣ𐭩



最後まで読んでいただき、ありがとうございました✨
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