プレイバックPart2 / 山口百恵 歌詞考察
1.はじめに
今回は歌詞考察です。前回、前々回と大橋純子さんの「たそがれマイ・ラブ」を考察し、そこから悲しい主人公のエリスにスポットを当てて来ました。
▼たそがれマイ・ラブ歌詞考察
▼ あのエリス事件の真実! / 生成AI(Suno)でやらかした
今回は以前も歌詞の考察をした「山口百恵さん」の楽曲から「プレイバックPart2」です。この曲は、全体的には知ってるつもりで考察始めたんですが、歌詞を聞き込んだことがなかったものですから、印象が良い意味で大きく変わりました。
きっと私より年齢層が上の方たちは歌詞の内容は頭に入ってるんだと思いますが、まあ、無知な私に今回も最後までお付き合い頂けたら幸いです。
まずはいつも通り、私の作ったイメージビデオをご覧頂き、歌詞の流れと雰囲気を掴んでください。※note内での再生で画質が悪い時は、以下からYouTubeに飛んで頂き、YouTubeアプリで再生すると改善する場合があります
2.アイドル山口百恵
少し「横須賀ストーリー」の紹介内容と被ります。
山口百恵さんは1973年、当時日本テレビで放送されていた「スター誕生!」という素人勝ち抜き番組で勝ち残り、アイドルとしてデビューしました。番組同期の「森昌子」「桜田淳子」と共に花の中三トリオ※1としてテレビ・雑誌等でも有名になり、清純派アイドルとして売り出された。
※1:ソロアイドル歌手なのでアイドルグループではない。仲良し3人組的な感じ
そんな清純派アイドルとしてのイメージを脱却するきっかけになったのが、以前考察しました「横須賀ストーリー」という楽曲との出会いです。ここから山口百恵さんのイメージがガラッと変わりました。
そしてその2年後(1978年)「プレイバックPart2」がリリースされます。
作詞作曲は「横須賀ストーリー」と同じ、宇崎竜童さんと阿木燿子さんご夫妻。そしてすっかり風格も出てきた山口百恵さんが見事に歌い上げます。かっこいい女と言う感じですよね。
「プレイバックPart2」は、1978年5月1日にリリースされた山口百恵さんの22枚目のシングル曲です。
とにかくイントロのギターからインパクトありすぎです!ギター演奏は矢島賢さんと書いてあります(Wikipedia)。この頃の歌謡曲ってイントロも独特でかっこいいです。まずはここイントロで引き込まれます。もちろん曲中のギターも印象的でかっこいい✨
レコード売上げに関する記録を見てみましょう。
★ゴールドディスク
▷第20回日本レコード大賞・金賞
▷第9回日本歌謡大賞・放送音楽賞
★チャート最高順位
▷2位(オリコン)
▷1978年度年間15位(オリコン)
▷2位(ザ・ベストテン)
▷1978年年間5位(ザ・ベストテン)
※以上Wikipediaより
3.歌詞考察
今回この曲の歌詞をじっくり読んでみて、歌詞の時系列の並びがすごく面白いことに気がつきました。最初は今日(今現在)を起点としてストーリーが展開されますが、あるきっかけ(ワード)で過去の出来事(記憶)と重なり、ストーリーが戻り(プレイバックし)ます。阿木燿子ワールド全開の歌詞で映画を見てるみたいでワクワクします。
私はこの曲をずっと、交差点で揉めてイライラするだけの曲だと思っていました。それが言い過ぎだとしても、彼氏とケンカ別れする物語くらいに思っていました。全然違いました。
まずは歌詞全体から見ていきましょうね。
この曲は先程ちらりと書いたように、2つの時間軸を行ったり来たりします。出だしは今現在の自分から描かれます。私の想像の物語でこの歌詞を再現してみましょう。あくまでも私の個人的な解釈でね。
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①今現在
主人公の女性は真紅(まっか)なポルシェをさっそうと乗りこなし、緑あふれる郊外を飛ばしています。同乗者はいなく一人のドライブです。
おや、ちょっと街に出てきましたよ。大きな交差点があります。目の前の信号が赤に変わりました。ブレーキを踏んで車を止めようとした時、同じ方向を行く右隣の車線にいた、国産車のサイドミラーに少し当ててしまいました。
女性が運転しているポルシェは借り物のため、あまり乗り慣れていません。左ハンドルで車幅を読み間違えてしまったようです。ほんのちょっとした接触です。
女性は、こっちの車は高級車(ポルシェ)だし、お互いの車にたいした傷跡も残っていないし、それ以前に虫の居所が悪いのか謝りもしません。…と言うより無視を決め込みました。すると、その車から頭のハゲたオッサンが降りてきて、
「よお!ねぇちゃん、車当てといて挨拶もなしか!」
と怒鳴ってきました。まあ、当たり前ですけどね。ぶつけたのはこっちの方なんですから…。女性はよっぽどイライラが募っていたのでしょう。それにこっちが女性と知った上で、甘く見られているのも気に入らない。こう言う男は相手を見て態度を変えるんだ。チッ!
「馬鹿にしないでよ!そっちのせいよ!」
いくらハゲたおっさんでも男性の言い分の方が正しい。ただ、おじさんの方(ほう)も言い方がキツいですけどね。女性とわかって怒鳴り込むのは最低!
さて、ここでのひと言が一番目のキーワードになります。「馬鹿にしないでよ そっちのせいよ」で一気に昨夜の年下の彼氏とのケンカの場面にフラッシュバックして行きます。これがプレイバック(巻き戻し)です。
②昨夜の出来事
彼は年下であまり女性の扱いが上手くありません。普段は無口で女性のことも放ったらかしです。
「ねえ、今度の休みに買い物に出かけたいんだけど?」
「あぁ?行ったらいいじゃん」
「そうじゃなくて、一緒に付き合ってって言ってんの!あんたも行くでしょ?」
「俺はいいよ、仕事で疲れてんだよ…」
こんな日常の些細な会話から、不満も日々蓄積されていくもんです。この場合、買い物が目的と言うより、彼氏と一緒に出かけたいだけなのに、全くそう言う所に気が付かないどころか目も合わせてくれません。
さらに、そんな時に限ってベッドで求めてくるので、
「やめてよ!」
「えっ?何だよ!何様のつもりだよ!」
「はあ?馬鹿にしないでよ!そっちのせいよ!」
「いい加減にしろ!」
彼は不貞腐れて、ベッドの上でこちらに背を向けて寝てしまいました。
女性はすごく嫌な気持ちと、溜まったイライラで、この男とはもう別れようと思いました。そう、いつもこんな事の繰り返しなんです。今夜に限ったことではありません。
女はいつもあなた(男)を待ってるなんて思わないで欲しい。必要な時だけ求めて来て…。こいつ、今までどんな女と付き合って来たんだろ?マジ疲れる!
「明日朝早くにここを出よう…」
女性はそう思いました。
③今現在
交差点で起きた例のおっさんとの揉め事は、女性としては全く謝る気もないので、信号が青になるとすぐに急いで走り去りました。ルームミラー越しにハゲおやじが叫んでいる様子が見えます。
でもスピードならこっちの方が上です。ビュンビュン飛ばして、キラキラ輝く水面がとても美しい海岸線の道へと出ました。あぁ、ここは横須賀!
ふと、ラジオをかけて音楽でも聞きますかって気持ちになりました。海辺で音楽でも聴けば少しは気持ちも落ち着くかも…。
いつもの贔屓(ひいき)のラジオ局の音楽番組。軽快にDJが曲の紹介をしています。
「それではリクエストにお応えして沢田研二の『勝手にしやがれ』行ってみよう!」
ジュリーこと沢田研二…。私、この人大好き!この印象的なイントロが鳴るとワクワクしちゃう!ジュリーは立ち姿も美しいし、顔の見た目もパーフェクト。この女性はジュリーの大ファンのようです。
おやっ?「勝手にしやがれ」の歌詞、なんだって?昨夜の私たちそのものじゃない。「勝手にしやがれ 出ていくんだろ」。
第二のキーワードが出ました。ここで昨夜の光景に時が戻ります(プレイバック)。
④昨夜の出来事
彼はベッドの上で背中越しに、女性が荷物をまとめる気配を感じたのでしょう。こう言い放ちました。
「勝手にしやがれ 出ていくんだろ」
「もう私たち終わりね…」
「好きにしたらいいさ。出て行っても止めないからさ!」
そう言うと、ほんとに寝てしまいました。いや、おそらく寝たフリだったのかも知れません。
この言い分が女性のイライラを大きく爆発させます。この男、本音を決して言わないの。本当は寂しいくせにプライドばっかり高くて、こういう態度をとる時は大概私が出て行かないとタカをくくってる。
今回はもう絶対に許さない!そう思うと急いで荷物をまとめて、夜の開けるのを待たずに部屋を飛び出しました。
⑤今現在
ジュリーの曲は軽快に鳴り続いています。
何これ?昨夜のあいつそのものじゃん。強がりばかりで弱虫で…。あいつ今までどんな女と付き合って来たんだ?さっきと同じ疑問が湧いてきます。
なんだか軽快な音楽と素敵な歌詞と、かっこいいジュリーと、バカな年下の彼氏と、なんかどうでも良くなってきました。「勝手にしやがれ」を聴いていて、自分の気持ちが晴れていくのが分かりました。こっちの方が大人なんだし、あの坊やに女性というものを教えてやるかな?
すると不思議と今までのイライラがスっと消えていきました。
さあ戻ってやるか!あいつの所へさ。ほんとのプレイバックだ!短い一人旅は終わりました。
追記:あの交差点での当て逃げは、当然ナンバーから身元もバレ、後日警察署に呼ばれてこっぴどく叱られたそうです。その時は隣にあの彼氏もついてきてたそうな…。良かったね。
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以上が私なりの解釈で、物語を再現してみました。簡単なストーリーなのに、映画のような場面展開。さすがは阿木燿子さんの歌詞✨情景が目に浮かぶのと、時間の行ったりきたりで、ストーリーに惹き込まれます。
この歌は、次の2つのキーワードで時間軸を戻します。
「馬鹿にしないでよ!そっちのせいよ!」
「勝手にしゃがれ 出ていくんだろ」
1つは自分から、もう1つは彼の方から発せられた言葉です。
この歌は男女の考え方の相違がトラブルの元になっている様子を見事に捉えています。これは昔からよくある普遍的な男女間の揉め事です。
女性は優しい言葉と態度を、いつも自分に向けて欲しい。男性はそんなの言わなくても伝わるじゃん。今も昔もそんなすれ違いが日常的に行われています。特にこのカップルは男性が年下で、そのくせプライドだけは人一倍高かったから尚更だったんでしょう。
大人のカップルならお互いの考え方の違いを理解しあって、まずは相手を尊重しますよね?ね?違う?
この主人公の女性は、ジュリーの「勝手にしやがれ」を聴いて怒りが鎮まります。なんで鎮まったかって?あいつが坊やだからですよ。そう思えたら母性本能的な感情が、彼女の怒りを徐々に抑えていきました。
理由がどうあれ、今回はハッピーエンドです。私の歌詞考察で初めてのハッピーエンド。私はそういう結末だとは知りませんでした。この曲の歌詞を選んで、じっくり読んでみて良かったと思いました。とても楽しかった。
皆さんもそんな男女のすれ違いを起こさないよう、毎日を楽しく思いやりの心で過ごしてくださいね!
さて歌詞から話は離れますが、「プレイバックPart2」ってなんでPart2なの?って思いませんか?「モヤモヤさまぁ~ず2(テレ東)」みたいに、単に気まぐれに2を付けた訳じゃないそうです。
そう!実は「プレイバックPart1」も存在しているんだって。当初この楽曲の曲作りを「宇崎竜童さん」に任せるか、もう1人の候補の作曲家の「馬飼野康二さん」に任せるか、プロデューサーは両方に依頼を出したそうなんです。
それで作品に番号が付けられた上で、結果、宇崎さんに決まったらしいです。作詞は阿木燿子さんで決定されていたようで、お二人には別々の歌詞が渡されてたみたい。だってオリジナルアルバムにこそ収録されていないけど、のちにBEST盤に収録されたPart1は歌詞が全く違います。
YouTubeで検索すれば聴けますから、興味ある方は聴いてみてね!話がブレるのでここには映像は貼りません。
もうひとつ補足情報。歌中に出てくる「勝手にしやがれ」はこの前年(1977年)に発売され、年末のレコード大賞をも受賞した大ヒットナンバー。ほんとに素敵な歌手と作品で、これを歌詞考察しようと途中で浮気しようとしたくらい。なので私の物語中にも歌詞を引用させて頂きました。
そして「勝手にしやがれ」の作詞はなんと「阿久悠さん」。前回の「たそがれマイ・ラブ」と一緒でした。阿久悠さんもさすが昭和を代表する作詞家さん。作品も凄い数です。
私の作ったYouTube映像では、勝手にしやがれと歌われるバックには、沢田研二さんのレコードジャケットが薄く浮かんでるの気が付きました?ちょっと目立たないように海の景色に重ねたので分かりにくかったかな?
こんな当時の最新ヒット曲を、百恵ちゃんの作品にさらりと入れ込むのも阿木燿子さんらしいですね。
さて、今回はここまでです。次回は歌詞考察するかは決まっていません。だって映像化も大変時間かかるし、歌詞の考察するのも結構時間かかるし…。
でもその歌詞考察のおかげで、過去2回の「渡辺真知子さん」、「大橋純子さん」のYouTube映像がとても視聴数が多いいんです。いつも応援ありがとうございます。
4.おまけ(noteお勧め)
最後に本文とは関係ないですが、私の知り合いがここnoteで定期的に記事を投稿しているのでご紹介します。
medibeautyとは、代表(みさみさ)自身が従事している医療業界の分野に、メイクやファッションを取り入れる事で患者様の心のケアを目的として、そこから得られる効果から、生きがいと癒し、そして笑顔を引き出そうと言う試みです。それにより、症状の緩和や病状の進行を遅らせたりする事を目的としています。
▼medibeauty公式WEBサイト
https://medibeauty.my.canva.site/
それを「医療と美容の架け橋」と称して、それを先導して行く企業“medibeauty”を立ち上げるべく日夜努力しています。分かりにくいテーマですが、医療ではカバー出来ない、人間本来の生きる力を引き出す美容的アプローチです。
これは医療関係にとどまらず、介護にも同じ事が行え、認知症予防、進行の抑制、生きがい、に繋がる事になります。
誰もがいずれ通る事になる病気や老化。誰しもが健康で生きる権利があります。少しでもそう言った方々にお手伝い出来るのが“medibeauty”です。
ここnoteでも定期的に記事を投稿しています。ぜひ読者になって応援していただければ幸いです。
過去記事も遡ってご覧いただけると幸いです🙇♀️
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