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変わりめに想いをよせて

誰でも育った環境やら親の性格やらで、いつのまにか身に付いてしまっている自分の性格の一部とかあるんじゃないのかなと思う。
で、それが伸びやかに育てられました~とかならヨシヨシだったりするのかもしれないけど、なーんか自分のヤなとこだったりすると、自分で望んで得た環境・親じゃないとかってどうしても思っちゃって、場合によっては大人になってもずーっと抱えたままだったり、見ないようにしたりもしてるんじゃないかな。
で、結構それで自分責めちゃったりしてる人も多いかもしれない。

確かに生まれ出る環境は選べないから。深掘りするとそうでもなかったりもするけど、ここではまぁ置いといて。
でもね、案外その知らずに身に付いてた自分のヤなとこって、実はすごいプラスパワーに変身するかもしれない。


◇◇◇


私も当然そういうとこあって、結構もんもんとした時期は通過してきてる。 通過だからね、今はもうないけど。
私の育った環境は、結構まわりの大人が「誤魔化しの世界」で生きてる人たちだったみたいで。 みたいって言うのは、その時は全くもって気付かなかったから。 だって子供なんてとりあえずは親の世界が一番近くて、その中で色々経験値として身に付けていくでしょ。 まっただ中にいる時はそれが「アタリマエ」だから、そーゆうもんなんだと疑ったりあまりしなかった。
でも大きくなるにつれ「なーんかヘンだな」って素朴な疑問が湧いてくる。違和感とでも言うのかな。


「誤魔化しの世界」て言ったのは、自分を誤魔化して生きてきた人たち。 大人になっちゃった人たち。
うちの親は、言葉で人を操作したい人だったみたい。 相手に自分からそうさせるような言葉の使い回しが上手かった。
簡単な例だと冷蔵庫開けて「○○がなくなっちゃったね」とか。 「買ってきて」とか言わない。 言うと頼んだ自分が不利になると思ってるから。 側にいる人が「じゃあ買ってくるよ」と言うのを誘い出す。 自分から言い出したなら、それで疲れたとかなんとか後で言われても責任とらなくていいからね。
で、子供なんて買ってくれば「ありがとうー!」なんて誉めて貰えるもんだからやっちゃう。 仕方ないよね、誰でも親から誉めてもらったら嬉しいもの。

こういった人たちは自分を悪者にしたくないみたいで、あちらこちらで「いい顔」をする。 いい顔をするために、あちらとこちらで言ってる事が違ったりする。
自分が段々大きくなるにつれ、それに気が付いてくる。 だって昨日と今日で言ってることが違ったりするんだから。
で、素直にそれを「違う」って言うと、何でか分からないけど急に怒りだしたりするもんだから訳わからない。

困っちゃうのは、生活全部がそういった繰り返しの中に自分がいると、しまいには『何がホントか分からなくなる』っていつの間にかなっちゃってる事。 自分はこう思うんだけど、回りはこう言ってる。 自分が間違えてるんじゃないか。ってね。 残念なことに、そのど真ん中にいる時は自分がそうなってるって事にも気が付かない。 気が付けない。 だってまわりみんながそれで動いてるんだもの。


◇◇◇


社会人になると同時に家を出てから、ようやく自分らしく生きてると思えるようになって。
なのだけど、残念な事にある日ハタと気が付いちゃった。

どうやら知らぬ間に私も誤魔化しの技を身につけちゃったっぽい。 しかも当たり前に使っているみたいだぞ。

まあこの時のショックたるや。 なんたってあれ程嫌ってたものにいつの間にか自分もなってたんだから!
その頃まわりにはあったかい心持っている人たちも居てくれて。 大好きなその人達を、知らなかったとはいえ傷付けてたかもしれない。 そんな自分を許せなくなったりして。

どうにかできないかとあがいた後、ある日ストンと諦めモードに。
もういいや。 これが私の性格なら、真っ白にはなれなくても、せめて限りなく薄いグレーくらいまでには薄められるんじゃないか?
何でか分からないけどそう思って、それからは少し気が楽になったかな。 無理して 正しさ に戻そうとしようとしなくなったのかもしれない。

そんな頃、本だったか誰かの言葉だったかもう忘れちゃったけど、 「つらい思いをしたなら、同じ辛さをしてる人の気持ちが分かるようになる」 みたいなのを知って。
「へ?」とか思ったんだけど、なんかひっかかるものがあって。


◇◇◇


「誤魔化しの世界」に居たことで身につけた技で、その人がウソついてるかどうかと、その人の言われて嫌な事を一発で当てられるようになってた。 言葉で誘導してるかどうかも。 野生の感みたいなやつ。
で、それが大嫌いだったからそういう人は自分のテリトリーには一切入れないようにしてたんだけど、なんかさっきの言葉聞いたときに、私の中でひっくり返ったみたい。

その人の嫌な事を一発で掴めるなら、それを逆に使えば、その人の良いところを一発で掴めるって事じゃなかろーか?
そんな見えない嗅覚みたいなのあるんなら、ヤなとこ掴むんじゃなくてヨイとこ掴んでりゃ嫌いな人も減るんじゃなかろーか。
それよりも、やりたかった限りなく薄いグレーに出来るんじゃなかろうか?

結果的に「ヨイとこ掴み取り」は何の苦労もなくすぐできた。 だって意識の向け先変えるだけだから。 当の本人が気付いてなくても、その人の持っているヨイとこが勝手に出てくる。
で、今はそれにすごく助けられてる。
何よりも自分がラク。


◇◇◇


だいぶ大人になってからだけど。
これって「誤魔化しの世界」にいなかったら身に付いてなかったと思う。
自分を守るために必死でいつの間にか染み込んじゃってた事で、嫌で嫌で仕方なかった自分の一部だったし、ずっとあんな環境でなかったらとか思ってた時もあったけど。

この世の中って二極の世界だから、広いなあって思ったら必ず狭いって事もついてくる。 ついてくるって言うのは、その時気がついてなくてもどこかに隠れてるってこと。 どちらか片方だけってことはない。 そういう仕組みだから。
だからね、片方のど真ん中にいる時は気が付かないけど、必ず反対側のこともどこかに隠れてるってどっかで知ってるといいかもしれない。 もしかしたら何かの拍子にひょっこり思い出して、ちょっとだけ楽になるかもしれないから。


ヨイとこ掴み取りで楽になってからは、自分のヨイとこも見れるようになったかな。
で、「ヨイとこ見る世界」が自分のアタリマエになってから、「誤魔化しの世界」の人たちもちょっと違う目で見れるようになってた。
その人達はずっとそのど真ん中にいるから、それしか知らなかったんだと思う。 子供に対しても、そういう接し方しか知らなかったんじゃないかな。 だからと言ってあの時の状況がよかったとは全く思わないけど。
それしか知らなかったのなら、もうしょうがないかと、いつまでも抱える必要のないものは捨てちゃうことにする。
でもそう思えるようになったのも、時間というクスリが効いたのかもしれない。


◇◇◇


でも。 でも、もしもだよ? ヨイとこ掴むスキルをフル活動させて見たとして。
このスキルを身に付けるために
じゃなければ、自分で発見させるために「誤魔化しの世界」が生まれたときの環境だったとしたら。
だとしたら、すごくヤな経験ではあったけど、そのお陰でいますごく楽しくいられるのかもしれない。

だから最近は、ちょっと嫌なことがあっても
「これは何のヨイコトを教えてくれる種なんだろう」って思ったりしてる。 もちろんヤな事あった瞬間はそんなこと思えないけど、すぐ後にヨイとこ掴み取りスキルを発動させて。

環境やらでいつの間にかそうなってた性格とか自分のヤなとことか、もしかしたら最強パワーに変身する前のナニカかもしれない。
変身までしなくても、実はナニカに繋がるためのステップなのかもしれない。
それを見るためには先ずはど真ん中からちょっとだけでも抜け出さなきゃいけないけど、ちょっとだけ抜け出せたなら、そんな可能性も自分中にはあるって思い出すかもしれない。



ほんとのほんとの事を言えば
この世の中は色んな事を経験するためにあって
その経験には実は良い経験も悪い経験もなくて
どれもこれも「生きる」ことに繋がっている。
嫌な経験はそれだけ痛みも伴うけど
ど真ん中のときはとてもそうとは思えないけど
でも、その経験をしたからこその輝きが必ず隠れてる。
そしてそれは、強く美しく
どこまでも優しい。
もし辛く嫌な経験をしてるのだとしたら
あなたの中には 今は見えなくとも
必ずその輝きが育っている。
必ず。



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