前脛腓靭帯損傷について
今日も柔道整復師、理学療法士、整体師の方、新人の方に向けて、僕の実際行っていることについて書いていきます
今回は外傷で、前脛腓靭帯損傷について書いていきます
いわゆる足関節捻挫で多いのが、前距腓靭帯損傷だと教科書ではいわれていて、確かに臨床上みる機会が圧倒的に多い印象でもあります
前距腓靭帯損傷の場合、正しい固定をして、リハビリをしっかり行えば痛みを残すことは少ないように思えます
一方、前脛腓靭帯損傷はそこまで損傷が多い印象はないですが、固定を行ってリハビリを行っても腫れが残ってなかなか痛みが取り切れてくれないことが多々ありました
そこで、今回は前脛腓靭帯損傷について解説して、僕が実際行っている固定法や施術の方法をご紹介できればと思います
前脛腓靭帯の解剖と腓骨の動きについて
アトラスより 引用
脛骨および腓骨を強く連結し,遠位脛腓関節の側方安定性に貢献する重要な靱帯である
前脛腓靱帯は,脛骨前方から腓骨外果の前方に遠位外側へ走行する.
足関節の背屈運動時に外果が上方,外側に移動することは諸家の報告で統一しているが,回旋に関しては内旋する,外旋する,回旋しないとのさまざまな報告がある
足関節のバイオメカニクス より引用
足関節の背底屈時に腓骨は微妙な動きをとり
背屈には外旋して上方へ移動する
底屈には内旋して下方に移動する
神中整形外科学 下巻 より引用
前脛腓靭帯は腓骨の動きに伴って緊張しているということが重要です
内旋、外旋の動きは統一見解がないようで、参考書によって違うようでした
前脛腓靭帯損傷の発生機序について
柔整教科書上ですが
①距骨の外転、外旋、背屈強制
②底屈、軸圧強制
どちらでも発生すると記載があります
①距骨の外転、外旋、背屈強制
距骨からの突き上げと足関節の背屈の動きにより、腓骨が上方、外旋することも考えられるため図の青の矢印のようなストレスがかかって損傷する
アトラスより 引用
②底屈、軸圧での損傷
距骨の軸圧による脛骨部の突き上げと足関節が底屈することにより、腓骨が下方、内旋の動きをして青の矢印のところで損傷する
アトラスより 引用
あくまでもこれは僕の推測なのですが
いずれにせよ、前脛腓靭帯損傷には腓骨の動きが関係していると思って施術や固定をしています
検査について
前脛腓靭帯損傷の見分け方ですが
まずは前距腓靭帯の損傷などの鑑別で圧痛を確認しています
①前脛腓靭帯部の圧痛
②底屈、背屈いずれかの疼痛
③スクイーズテスト
下腿中央部を内外側から圧迫し、前脛腓靭帯部に疼痛が誘発されるか
④マリガン手技で疼痛減弱するか
底屈、背屈時、それぞれ腓骨の内旋、外旋をアシストした際に、疼痛が軽減する
こちらは固定後の施術でも使えますのでおすすめです
固定について
足関節の通常のテーピングやその他の固定をするのにプラスして、腓骨の動きを止めるようなテーピングを行います
具体的には、先程のマリガンで疼痛が消失した方向(内旋、外旋)に向かってテープをスパイラル状に巻くことを行っています
終わりに
前距腓靭帯損傷だと思っていて、なかなか腫れや痛みがとれないケースは前脛腓靭帯の圧痛を確認してみても良いかもしれません
実は僕も見逃したことがあります
前脛腓靭帯損傷の固定のキーワードは腓骨を止める
もちろん、前距腓靭帯損傷に合併することもあるのと思いますが、その際には臨機応変に固定を工夫しています
また違う形でご紹介できればと思います
それでは臨床頑張りましょう
じゃあね
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?