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本当はキーマカレーにのせるはずだった温泉卵も添えて

よーし今日はもうよかろう、と仕事を切り上げて
帰宅したのが21時半。そこそこの空腹状態。

家では、同居人がキーマカレーを作ろうと奮起していた。

数種のスパイスを調合し、テキパキと玉ねぎを刻み、G・Gと炒め始める同居人。

我々はカレー好きが一巡し、もはやカレーが食べたいという気持ちよりも、スパイスを使いたいという気持ちに引っ張られてカレーを作っている説があるので、家にカレールーがない。
本質に近づいたのか、本質から離れているのかは、自分たちでもよく分からない。

ちなみにG・Gとは、ガーリック&ジンジャーのこと。一般用語なのかは不明だけど、いつからか家の中でG•Gという呼び方が横行している。
ジージー。

うーん、いい香り。
同居人が味見をする。私も、味見をする。

「・・・」「。」

喉が、燃えるように辛い。辛すぎてむせあがる同居人と、言葉も発せぬ私。

辛みの強いカイエンペッパーを大盤振る舞いしすぎたみたいだ。

祈るような気持ちでココナッツミルクを入れてみたものの、マグマのような色のカレーを前に、その効果は薄い。

時刻は午後10時半。
せっかく作ってくれたのに、食べられず忍びないという気持ちやら、疲労やら、尋常じゃない辛味の刺激やらで、ヘラヘラと笑うことしかできない。

とはいえ、何かしらは食べたい。仕方ない、今日のところは最寄りのコンビニで…

と思っていたら、同居人が「今日はいったんこのラーメン食べようか」と、ストックしていたピリ辛チゲ味ラーメンを指さす。

いやいや、マグマカレーで燃え盛る口には、その"ピリ辛"でさえ厳しいものがあるだろう、と思いつつ、すぐさまコンビニへ駆け込もうとしていた自分に気が付く。家に他に食べられるものがないか、想いを巡らすことさえしなかった。

目の前のマグマカレーをひとまず脇に置く明るさと、それでもなお、家にあるもので賄えないかと考える粘り強さを備えた同居人が眩しい。

そうか、一度の失敗でポキッと折れているようではまだまだなんだ。
自炊道は、失敗してからが本当の始まりなのだ…!


とはいえ、やはり今回はピリ辛チゲラーメンは見送り、そうめんをゆがくことにした。

いつか水餃子のタレとして大成功だった豆鼓×オリーブオイル×塩 を温かい麺に絡ませて。

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本当はキーマカレーにのせるはずだった温泉卵も添えて   (←短歌ね)

ああ、疲れた体にすいすい吸い込まれていくそうめん。
味は美味しくても美味しくなくても、見た目は映えても映えなくても、自分がゆがいたそうめんを食べているという事実に、胃袋も心も満たされる。
自炊道の真髄ここにあり、という感じだ。



ちなみに翌日、気を取り直して激辛カレーに考えられうる限りのマイルドネス(牛乳やチーズなど)を混ぜ込んで、
どうにかカレードリアにして食べました。

皿から溢れそう


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