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ひとりの妊婦が出産後に死亡してしまった事件について、担当産科医が医療ミスを疑われ逮捕されてしまった。出産・死亡から1年も経ったあとの突然の逮捕に疑問を覚えた主人公の女性記者が、真相を追いながら「出産とは?」「この時代に子どもを持つ意味とは?」を深堀りしていく物語。

知らないうちに、いつの間にか、わたしたちの想定以上にこの日本は、子どもを産み育てにくい国になっているようです。

扱っている題材はデリケートなものであり、男性が読んでもピンとこない種のものかもしれませんが、だからこそ男性が読むべき小説であると感じました。女性であるわたしが読んでも知らなかった事実がたくさんあった。事実を知ったことで余計に「子どもを持つ」ことから離れたい気持ちが芽生えてしまいましたが、それはそれとして。

性や出産の話題はとてもデリケート。だからこそ、もっとライトに情報を摂取できる媒体が必要であり、それをつくって広めることが急務であるとも感じます。

たとえばですが、「出産するのに分娩台やベッドの予約が必要」である事実を、あなたは知っていましたか?

作品内でも書かれているのですが、恥ずかしながらわたしは知りませんでした。というよりも、出産がわかり、産婦人科に行って診察してもらったら、あとはそのまま同じ病院で定期的に診察を受けるじゃないですか(出産経験はありませんが、想像の範囲内で)。

あとはそのまま、時がきたら同じ病院で出産できるものと思っていました。

診察はあくまで診察。産みたいのならばしっかりと予約が必要。それでさえ時期によっては断られる場合もあるそう。ひとえに出産できる施設が限られていることと、年々産婦人科医の人数が減少しているためです。

「産婦人科」と書かれている看板があっても、大抵は診察のみか不妊治療を主に取り扱っている場合がほとんどなんだとか。そんなことさえも、知識・経験がなければ一切わかりませんよね。

こちらの記事にも同じようなことが書かれていました。

……と、ここまで書いてきて不安になってきたのですが、きちんと婦人科系の定期検診とか行ってる方は出産未経験でもこのあたりの知識がしっかりあったりするのかな?

もしかして常識?

生理周期も乱れたことがなく、生理痛を経験したこともないため、そういったカテゴリとは一切無関係でいままで生きてきてしまいました。「日本しっかり!少子化対策するならもっと施設とかお医者さんとか増やす対策とってよ!」という論調で締めようと思ったのですが、とんだ常識はずれはわたしのほうだったかもしれません……。

まあ、こちらの小説を読むと、出産しなければわからないような知識が一気に吸収できるのでたいへんおすすめです。

今はどちらでもいいと思っているけれど、来年再来年になって急に「子どもほしい!」ってなった時のために、勉強だけはしておこうかなあ。


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