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写真で見る日本の伝統色

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日本の伝統色を写真で紹介します。
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写真で見る日本の伝統色(5)二藍

 日本には、古くから多くの種類の色が伝えられています。そんな「伝統色」の数々を写真とともに紹介して行きたいと思います。  第5回目は「二藍(ふたあい)」です。二藍は江戸時代からの染色法で、藍で染めた後に紅花を重ねた色を指します。紅は「紅藍(くれない)」とも表記されることから、2種類の藍を重ねたことが色名の由来となっています。このため、色味にはある程度の幅があり、それぞれの染料の濃度により色相が変わります。  自然界では、昼と夜との境目の時間帯にこの色は多く出現します。残照

写真で見る日本の伝統色(4)瑠璃色

 日本には、古くから多くの種類の色が伝えられています。そんな「伝統色」の数々を写真とともに紹介して行きたいと思います。  第4回目は「瑠璃色(るりいろ)」です。鮮やかな紫味を帯びた色を「瑠璃色」と呼びます。瑠璃は「青金石」とも呼ばれる半貴石で、西洋では「ラピスラズリ」としても知られています。  5月になると、私が撮影する写真は青色系の割合が増えます。仕事帰りに田んぼの写真を撮影することが多いからです。  時には、撮影が夜遅くに及ぶこともあります。田植え前の田んぼは、深い

写真で見る日本の伝統色(3)中紅花

 日本には、古くから多くの種類の色が伝えられています。そんな「伝統色」の数々を写真とともに紹介して行きたいと思います。  第3回目は「中紅花(なかくれない)」です。「中紅花」は、平安時代から伝わる由緒ある色名で、「なかのくれない」とも呼ばれている色です。もともと紅花だけで染められた明るく薄い紅色のことを指し、見るものを惹き付ける力を持っています。  立夏の頃、日光市内の山々ではあちこちでヤシオツツジの花が咲き乱れます。ヤシオツツジは栃木県の花でもあります。  この時期の

写真で見る日本の伝統色(2)鳥の子色

 日本には、古くから多くの種類の色が伝えられています。そんな「伝統色」の数々を写真とともに紹介して行きたいと思います。  第2回目は「鳥の子色」です。「鳥の子」と聞くと、ひよこを連想させますが、何とこの色はニワトリの卵の殻の色を指します。中世から伝わる色名で、少し黄色みの掛かった白色です。  夕暮れ時、田園で夕日を撮影していると、畦にあったタンポポの綿毛に気が付きました。  西の空に傾きつつある太陽と鳥の子色に染まる空。まさに、綿毛は旅立ちの準備をしているところでした。

写真で見る日本の伝統色(1)朱砂

 日本には、古くから多くの種類の色が伝えられています。そんな「伝統色」の数々を写真とともに紹介して行きたいと思います。  第1回目は「朱砂(しゅしゃ)」。  おそらく、あまり聞いたことのない色名だと思います。「朱砂」は「辰砂」とも呼ばれる硫化水銀からなる鉱物で、赤を代表する顔料です。中世ヨーロッパでは、不老不死をもたらす「賢者の石」としても知られていました。  ゴールデンウィークの到来。私の住む栃木県日光市は、田植えのシーズン真っ盛りです。数年前、南米ボリビアのウユニ塩湖