写真で見る日本の伝統色(1)朱砂
日本には、古くから多くの種類の色が伝えられています。そんな「伝統色」の数々を写真とともに紹介して行きたいと思います。
第1回目は「朱砂(しゅしゃ)」。
おそらく、あまり聞いたことのない色名だと思います。「朱砂」は「辰砂」とも呼ばれる硫化水銀からなる鉱物で、赤を代表する顔料です。中世ヨーロッパでは、不老不死をもたらす「賢者の石」としても知られていました。
ゴールデンウィークの到来。私の住む栃木県日光市は、田植えのシーズン真っ盛りです。数年前、南米ボリビアのウユニ塩湖の水鏡の絶景写真が話題となりましたが、実は日光市内でも季節限定で似たような写真を楽しむことができる場所があるのです。
日光市の今市地域には、昔から豊かな田園風景が広がっています。田植え前後の水田は、まさにウユニ塩湖のような水鏡の風景が楽しめる絶好のシチュエーションなのです。おすすめの時間帯は、何と言っても夕暮れ時。刻一刻と色合いを変えていく赤い空が田植え前の水田に映り込みます。
年に数度、空がドラマティックな色に焼ける日があります。このときはまさにその日でした。日光連山の山陰にたなびく雲が、夕暮れ時の風景に色を添えます。
田植えが終わった田んぼにも、夕暮れ時の赤い雲が映り込んでいました。
ドヴォルザークの交響曲「新世界より」の第2楽章が聴こえてくるような夕暮れ時でした。
撮影後、空は段々と鮮やかさを失っていき、やがて辺りには扁平な夜が訪れました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?